犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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社会がつくり出す病気

2015年10月04日 | LGB&T
[前提] 私は、身体的には女性だが、性自認は女性ではない。と言って男性になりたいわけではない。
そして、恋愛対象は女性。


自分が生まれてきた性別がイヤで、もう一方の性別になりたい人は、
性同一性障害と言われる。
1998年に、日本で初めて女性から男性への性転換手術が行われたり、
10年くらい前にはテレビドラマでも扱われ、次第に知られるようになってきた。

以前も書いたが、おさらいする。
http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/35d2234ffbb21785cdcab0ae169b015c
診断基準は以下。

生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、
心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)
であるとの持続的な確信を持ち、
かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする
意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために
必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている
医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。

女性に生まれた場合で言えば、

体は女に生まれてきたけど、自分は男だと思っているし、
昨日も今日も毎日、性別の違和感がつきまとっていて、
おっぱいとか生理とかが自分にあるのはヘンだし、
周りの人から女の子扱いされると腹立つし、
もう間違われないようにホルモン注射して、
ヒゲはやしたりゴツくなったり縮胸手術したりしたいし、
子宮と卵巣を取って膣を塞いで、
なんなら陰茎形成手術もトライしたいと思ってる、
俺は男だ!
名前も変えて戸籍も変えたい。

ということになる。
女性から男性へ変える場合の手順をざっと説明すると、

診断基準の中にあるように、数回のカウンセリングを経た上で、
二人以上の医師の診断がまず必要だ。
審査を数ヶ月待ち、ホルモン注射で年月をかけて体を少しずつ変え、
その中で必要なら縮胸手術。(後遺症の危険もあり)
望むならば、子宮と卵巣の摘出。
望むならば、陰茎の形成手術。(再手術が必要な場合もあり)

時間もかかるし、性ホルモンは体に負担だし、
手術も多くて体に負担。

さて、戸籍を変えて男になりたい、という場合、
内性器(子宮と卵巣)を取っていないといけない、という法律になっている。

付き合っている女性と結婚したい→結婚は男女でしかできない→
戸籍を男にしたい→性転換手術が必要→性同一性障害という診断が必要。
というのが、今ある一つのパターンだ。

ところで今年あたりになって、同性婚を認めよ、という動きが出てきている。
渋谷区での一件がニュースになって、知られてきていると思う。
同性婚が成立するようになると、
上の図式が最初のところで崩れる。
結婚のために性転換をする、という構図は必要無くなるのだ。

性同一性障害は、診断名だ。
つまり、性同一性障害は、病気だ。
病気であると認めることによって、手術が受けられ、社会的立場も変わることができる。
現行の法律では、違う性になりたい場合、病気として治療を受ける必要がある。
しかし制度が違えば、病気として扱う必要も無くなるわけだ。

あるいは、性別は女性か男性かの二つだけ、という前提にこだわらなければ、
生まれながらの自分の性を、女性か男性かどちらかに区別することも無く、
違和感もあまり強くなくて済むのではないだろうか。

世の中は男と女でできている。
という、当たり前とされてきた事が、性同一性障害を増やしているように思う。

身体的違和感は、社会通念と関わりない部分も大きいので、
常識や法律が違えばすべての性同一性障害が無くなる、とまでは思わない。
ただ、社会通念や法律や診断基準などが違えば、
結婚のために大きな負担を払って性転換手術する必要はなくなるし、
自分は一体なんなんだ、という悩みの迷宮にも入り込まずに済むとは思う。

だから、性別は男女の二色ではなく、限りないグラデーションなんだ、
と強調したい。

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