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サンスクリットからMTF

2018年08月18日 | 梵語入門
サンスクリットを独習している。
古代インドの言語である。
世界史に登場する、『バガヴァット・ギーター』とか『シャクンタラー』とか
何千年も昔の古典で使われていた言葉である。

日常会話に使う一般的な言語だと、どんどん変わってしまう。
日本語だって、十年ひと昔で新しい表現が生まれているのは、
一人の人の生きている間だって経験する。
ひと世代違っても、言葉遣いがずいぶん違うということは、
誰しも経験していると思う。

これが、サンスクリットの場合、
口伝で一言一句間違い無く伝えるために使われてきた言葉なので、
何千年、形が変わっていない、と言う。ほんとかよ。

だから、テキストには
「こんにちは」「ありがとう」「トイレはどこですか?」といった
実用的な言葉はちーとも登場しない。
「謙虚さは最高の徳である」なんてな文がずらずら出てくる。



古典的な仏典を学ぶためとか、インド哲学をやるためとか、
古代インド文学を読むためとか、様々な理由でサンスクリットを学ぶ人は
少なくはないようだ。
テキストもいくつか在る。
近年、新しいテキストもいくつも出版されている。

それでも、どこからどう学んで良いのか、道に迷うことはしばしばある。
そんな時に役立つのはインターネットという時代さ。



サンスクリットで蛙を意味する語を自分の愛称として、
サイトを作っている人がいる。蛙さんとしよう。

蛙さんのホームページ「蛙ネット」では、サンスクリットを勉強することができる。
テキストの紹介が有り、文法の解説が細かに有り、いくつかの辞書を引くことができ、
いくつかの古典を読むこともできる。
サンスクリット独習者にとって、どんなに整備されているか、ここは
後日また詳しく書きたい。
つまりは、蛙さんの教科書と辞書とノートが公開されているような場なのだ。

さらにすごいのは、他にパーリ語、ウルドゥー語、ヒンディー語、漢文の
ページも併設してあることだ。

一体何者なのだ。
自己紹介が有る。読んでみる。
すると、自分は学者でもなんでもない、ただのタクシー運転手で、
客待ちの時間に独習しているのだ、と書いてある。

なんということだ。
A駅前に行くと、こんな運ちゃんが客待ちしているのか?
乗ってみたい。



さて、さらにホームページを読み込んで行くと、どうやらこのページは
蛙さん本人が作ったものを、奥さんがさらに改造しているものらしい。
なんということだ。
そして、ページ上に目立つ〔重要なお知らせ〕をクリックすると、
その管理人T子さんは2015年に亡くなって、現在は友の会で運営している、
というのだ。

そしてそして、リンク先のT子さんのホームページを見ると、
この方は牧師さんだったようだ。
聖書を手にした牧師姿のT子さんの写真が見られる。亡くなる2日前の写真だという。
聖書研究のためにギリシャ語、ヘブライ語等々を学んでいたようだ。
蛙さん夫妻でどれだけの古典語を押さえているのか。

既に鬼籍に入っておられるとは。
T子さんを偲ぶ会を経て、T子さんのツイッターアカウントが残されていることを知った。
見てみる。

和服姿のプロフィール写真。
そして、自己紹介の冒頭には「性別=元男今女。」とある。



なんでしょうね、私もトランスジェンダーのはしくれとして生きており、
「同性愛者なんて今まで会ったことも見たこともない」なんて言うようなどストレート人間よりは、
クィアな人々には日常から関わっているつもりでおりますが。

サンスクリットから辿って、奥さんが牧師さんで元男、ってのに遭遇したら、
やっぱりちょっと驚きましたわ。
油断してたわー、という感じ。

ご存命の間に知り合ってみたかったな。
というか、共通の知人は絶対いると思う。世界は狭い。
ゆるりと辿ってみよう。

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