[あらすじ] 現代日本書道の源流、比田井天来の故郷である望月には、
馬と姫様の悲恋物語が伝わる。
唐の三大書家の一人、欧陽詢(おうよう・じゅん)はひどい猿顔だったという。
うっかり目の前でくすりと笑った部下もいたそうだ。
『補江総白猿伝』という伝奇小説までできてしまった。
作者は知られていない。
バレるとまずかったからだろう。つまり、欧陽詢の生前から語られていたのかもしれない。
半七捕物帳で知られる明治の小説家、岡本綺堂も奇譚集の中で取り上げている。
欧陽詢の父欧陽紇(おうよう・こつ)は、身分のある人だった。
ある時、辺境への遠征をおおせつかった。
当時の中国は、絶えず異民族との領土争いを繰り返していたのだ。
その際、妻も連れて行った。
周囲の人たちは、こんな山奥の危険な場所に女性を連れて来るとは、と言った。
案の定、ある日、妻はさらわれてしまっていた。
紇はすぐに妻を捜した。
数ヶ月かかってやっと、見付け出した。
他にも何人かのさらわれた女性たちと暮らしていた。
白い大きな猿にさらわれたのだと言う。
紇は女性たちに方法を教わり、十日後にあらためて攻め込み、
猿を退治した。
が、その時に妻は既に猿の子を身籠っていた。
猿は、その子はいづれ出世する、と言い残し、死んだ。
その子というのが欧陽詢である、というお話だ。
おかげで欧陽詢は毛深くて猿面なのだ、
だが、優れている、というわけだ。
人間以外の何者かとの交わりでできた子は、ことに優れた能力を持つ
というお話は、いろいろある。
山の精霊との間の子の金太郎さんはたいへんな力持ちであったし、
桃から生まれちゃう桃太郎は鬼を退治した。
人間ばなれした能力から、並の生まれ方じゃないと思われたものだろうか。
人間以外のものの能力も兼ね備えるには、その血が流れているというわけか。
なんだかあやしい生まれだけど、優れていることは認めるよ、といったところか。
馬と姫様の悲恋物語が伝わる。
唐の三大書家の一人、欧陽詢(おうよう・じゅん)はひどい猿顔だったという。
うっかり目の前でくすりと笑った部下もいたそうだ。
『補江総白猿伝』という伝奇小説までできてしまった。
作者は知られていない。
バレるとまずかったからだろう。つまり、欧陽詢の生前から語られていたのかもしれない。
半七捕物帳で知られる明治の小説家、岡本綺堂も奇譚集の中で取り上げている。
欧陽詢の父欧陽紇(おうよう・こつ)は、身分のある人だった。
ある時、辺境への遠征をおおせつかった。
当時の中国は、絶えず異民族との領土争いを繰り返していたのだ。
その際、妻も連れて行った。
周囲の人たちは、こんな山奥の危険な場所に女性を連れて来るとは、と言った。
案の定、ある日、妻はさらわれてしまっていた。
紇はすぐに妻を捜した。
数ヶ月かかってやっと、見付け出した。
他にも何人かのさらわれた女性たちと暮らしていた。
白い大きな猿にさらわれたのだと言う。
紇は女性たちに方法を教わり、十日後にあらためて攻め込み、
猿を退治した。
が、その時に妻は既に猿の子を身籠っていた。
猿は、その子はいづれ出世する、と言い残し、死んだ。
その子というのが欧陽詢である、というお話だ。
おかげで欧陽詢は毛深くて猿面なのだ、
だが、優れている、というわけだ。
人間以外の何者かとの交わりでできた子は、ことに優れた能力を持つ
というお話は、いろいろある。
山の精霊との間の子の金太郎さんはたいへんな力持ちであったし、
桃から生まれちゃう桃太郎は鬼を退治した。
人間ばなれした能力から、並の生まれ方じゃないと思われたものだろうか。
人間以外のものの能力も兼ね備えるには、その血が流れているというわけか。
なんだかあやしい生まれだけど、優れていることは認めるよ、といったところか。
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