[あらすじ] 蛙ネット(仮名)はインド言語と漢文の解説が充実したサイトだ。
管理人はタクシー運転手である蛙さんの奥さんのT子さん。
T子さんは牧師でこれまたギリシャ語ヘブライ語などを学んでいる。
しかし3年前に亡くなっている。今女元男、つまりMTFだと
ツイッターアカウントの自己紹介にある。
https://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/b68b033a6b7ea43ed42c62e15355ff57
という内容をブログに書いて、アップして、私は気分がすっきりしなかった。
前から書きたかったことを書いたのに、気持ちは済まなかった。
T子さんのサイトに有る写真が、亡くなる2日前のものだ、
という事が引っ掛かるのだ。
しっかりと立って、充実した表情で伝道する姿の写真だ。
この2日後に亡くなったのなら、急死に違い無いではないか。
私は、T子さんの過去のツイートを読んでみることにした。
そして、もしや、と思った事がやはり事実だということに、気付いた。
それはしかも二つ有る。
二つの事に気付かないまま、ブログに書いたことが悔まれてならない。
調べが足りなかった。
※
その事について書く前に、蛙ネットがいかに素晴らしいかということを
書いておきたい。
漢文のページは後回しにしているし、
私はパーリ語やウルドゥー語までやろうとは思っていないので、
その部分は見ていない。
だから、全体像は掴めていない。
しかし、サンスクリットの部分だけでもいかに充実しているか、書いておきたいのだ。
※
私が蛙ネットに最初にお世話になったのは、サンスクリットを勉強しよう、
と思ったその時からだ。もう、ほんと、はじめの一歩である。
一体、どのテキストを使ってどう学べば良いのかさっぱり分からない。
その時に検索したら、蛙ネットが見つかった。
いくつも出版されているテキストを、一つひとつ紹介しているのだ。
そこで、私は入門者にも使えそうなテキストを選んだ。
それでしばらく独習したが、なかなか困難だし、質問できる相手も欲しいので、
東大仏教青年会の開いているサンスクリット初級講座に通った。
蛙ネットにも質問掲示板は有ったが、管理人のT子さんが亡くなってから
閉鎖してしまっていたのだ。残念。
一年間の講座が終わって、私はまた道を探した。
その頃、ちょうど新しいテキストが出版されていた。
新しいと言っても、古い、荻原雲来の『実習梵語学』1916?を
現代語訳した、吹田隆道『実習サンスクリット文法』である。
これは、情報量も多いし、紙面が見やすいし、最後に韻律の章も有る。
ところが、『実習梵語学』の現代語訳は、蛙ネットがとっくにやっていたのである。
一冊丸まる、やってあるのだ。
私は、蛙さんの本名が吹田隆道なのではないか、と疑って調べてみたくらいだ。
蛙ネットには、『実習梵語学』の中の問題の解答も、文法的な分析を添えて掲載してある。
それから、蛙ネットでは"ホイットニー文典"という英文の文法書の全画像、
6種類の辞典の全画像が閲覧できる。
古い文献なので、著作権が切れている。
古典を勉強するのは、文献が手に入りにくいという難点が有るが、
インターネットの時代ともなると、無料で文献が見られるという利点に
ガラリと様相が変わる。
もっとも、アップロードしてくれる先達がいてこその事だ。ありがたい。
それから、いくつかの古典から抜粋した部分を読むことができる。
デーヴァナーガリー、ローマナイズ、和訳文を順次表示することができる。
T子さんの仕事量たるや!
それに、語彙集、変化表、用語集などが有る。
タブレットを持っていれば、蛙ネットにアクセスさえすれば、
文法書と分厚い辞書何冊かと読本を持ち歩いているようなものなのだ。
至れり尽くせりとはこのことである。
すごい。すごい。すごい。
※
T子さんのことを蛙さんは蛙ネットの中で"女房"と呼んでいる。
T子さん自身は、サイトの中を探し回ると、ほんの一ヶ所でちょっと出てきて、
サイト作りの技術的な話を少ししているだけだ。
※
T子さんのツイートログを読むことにした。
つづく
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