予約購入しておいた谷山浩子さんのデビュー50周年記念ベストアルバム「ネコとコバン」が
届きました。帯の「地味も積もれば50年…」のキャッチコピーが自虐すぎて怖いのですが、
このフレーズってご本人が考えられたのでしょうか?
収録曲については「工夫している」というよりかは、選曲に「苦心した…」の印象の
ほうが強いですかね。さすがに三組(六枚)目ともなると、選ぶ曲がなくなって苦労
するのが普通でしょうけど谷山さんの場合そうではなく、私に言わせると、肝心な曲
(私個人的な推し曲)がまだまだ選から漏れているので、少なくともあとワンセット
つくっていただかないと納得できませんかね。
その苦心のほど、聞き手をあきさせない方策としては、ROLLYさん率いるTHE 卍との
セッション・からくり人形楽団からの楽曲が複数選出され、また、これまで選ばれる
ことのなかったデュエット曲(小室等、新居昭乃さんらとの)が網羅されたり、
栗コーダーカルテットとのコラボやライブバージョンを織り交ぜるなど、あれやこれや
目先を変えていることが挙げられましょうか。
ずいぶんと間隔を開けながら企画されたセットものの割には、ジャケット、デザインなどに
統一性があるこだわりは、谷山さんならではでしょう。
ただやはり残念なのは、これがもし3セット同時発売されていたとしたら、収録曲などが
ずいぶん変わっていたのではないかという点です。もっとも顕著な例では、谷山さんの
猫歌としては代表作の『ねこの森には帰れない』が、すでに1セット目「白と黒」に
入っていたので、今回ネコサイドに収録できなかったことですかね。ライブ版(あるいは
新録版)などを収録するのだろうかと予想したのですが、重複はさせない、あくまで
既収録曲を省く方針を貫かれました。
当然、ベスト盤発売後に発表された新曲は収めることができず後回しにされてしまうわけで、
このあたりも選曲にチグハグさを感じずにはいられないのです。また、前回の「花とゆめ」
ではブルースペックCDだったのが今回はその規格が適応されていないなど、流行り廃りと
申しましょうか、時代を反映してますよねえ。
ともあれ、谷山さん自身の曲解説を読みながら、新たな面持ち、曲順、構成で聞くことの
できるベスト盤は、既存曲の別の魅力に気がつくなどし、楽しみが増えるのは確かです。
今回はブルースペックではないながら、特に古い楽曲ではオリジナル版よりも音質が
向上して収録されている場合が多いですしね。
自分だったらこの曲の代わりにあれを選ぶのにとか、曲順をこうするのに…等々、
あーだこーだ突っ込みを入れながら聞くのが楽しいベスト盤です。