遠目にも周囲がまっ黄色なのがわかった
北西の丘展望台へ行ってみた
美瑛で菜の花畑を見るのはいつ以来だろうか?
山と一緒に写そうとするも
微妙に撮影ポイントが難しい
広角に写そうとすると宿(民家?)が目立ってしまうので
それならばと、望遠レンズで極力切りとってみる
【北西の丘の菜の花畑~北海道美瑛町にて 2022.05.18 撮影】
「竜泉家の一族」シリーズ第二弾、「孤島の来訪者/方丈貴恵著」を続けて
お借りしました。三作のうち、この二作目が、私としては一番面白く読めました。
ただ、三作目「名探偵に甘美なる死を」は、シリーズものという知識がないまま
いきなり読んでしまったので、もしかして前二作を理解した上で今読み直すと、
評価が変わる可能性はあります。
しかしシリーズとは言え、一作目の「時空旅行者の砂時計」とこの二作目との
関連性は極めて低く、主人公も違う、登場人物もほとんど違っている、時代も違う
などなどで、一作目の主役の名前がかろうじて物語中に出てくるのと、本作の
主役が竜泉家の末裔であるのがほぼ唯一の共通項で、なぜわざわざ「シリーズ」
とした理由がよくわかりません。もしかしたら、第三作目まで読むと、一連の
つながりがより鮮明になったのかもですが、いきなり三作目から読み始めた私は、
そのあたり理解ができず、曖昧なまま読み進めたのです。たしか、三作目結末に、
まだ続きがあるように示唆されていたと記憶するので、それぞれが単独で楽しめる
構成としている上に、通読することで続きものとしている意味がより深まる仕掛け
なのかもしれません。
この作品はいわゆる「島」もので、今は無人となっている孤島を舞台とすること
で世間と隔離する状況を成立させます。そしてシリーズ通しての案内役を務める
マイスター・ホラが「…どのような過程を辿ろうとも、この物語が本格推理小説
であることだけは変わらない…」とまず序文で宣言する割に、どうやら犯人は、
変幻自在、人間にさえ姿を変えられるクリーチャーであることが判明します。
この怪物の生態って、「遊星からの物体Ⅹ」なんだと気づいたのは、読み終えて
からでした。こうした特殊設定は、たとえば今村昌弘さんの一連の作品などで
おなじみで、普通はありえない極限状態の最中、ありえない不可能犯罪が発生し、
探偵役など巻き込まれた人々は、否応なし、両方に対処することが求められます。
顧みると、三作目の名探偵~のVR空間での犯罪が、一番普通の設定に思えてくる
から不思議です。こうした特殊設定路線を集めたものを、「シリーズ」と呼んで
いるとすれば、それはそれで納得できますかね。
ここで私は、「本格推理小説って何?」と素朴な疑問に立ち返る始末で、たとえ
犯行が未知の生物の手によるものでも、フェアなルールにのっとり、頭脳派探偵が
トリックに挑み謎を解きさえすれば、「変格」でないってことなのでしょうか?
もとより私は、本格なのか変格なのかにはそれほどこだわっているわけでなく、
変格に大きく振れているような内容でも、結果面白く読めればそれでいいことを
再認識、「ミステリー」でひとくくりにされているジャンルはたいてい守備範囲
みたいです、極端にホラーじみたものでなければ… 特にパニック路線的な特殊
設定ものにハマりやすく、この孤島~も魅入られたように、途中からほぼ一気読み
で読破しました。
最後、ややくどすぎるくらいに何重にも張り巡らされた伏線をすべて回収する
手際も鮮やか、説得力があり、出だしや途中にさりげなく込められた一言一言に
すべて意味があったことにも唸りました。