シャーロック・ホームズ読書シリーズ第九弾、「シャーロック・ホームズ全集9・
シャーロック・ホームズの事件簿/アーサー・コナン・ドイル著」を図書館で
お借りして読みました。ホームズとの長い旅もこれで終わり、感慨深いですね。
これ以前に、ホームズ・シリーズは何度か終わりを迎えるタイミングがあり、
都度不死鳥のように蘇りました。前回の全集のタイトルが「~最後の挨拶」、
ホームズの示唆に富むようなセリフできれいに物語が締めくくられていたはず
なのに、それでもなおまた筆をとったのは、ドイルの経済的理由が大きいそう
です。晩年「心霊術」の研究などにのめり込んだドイルには、それ相応の資金が
必要だったとのことです。
でもまあ理由はともかく、60歳を超えた晩年のドイルがもうひとがんばり
してくれたことで、さらに12編もの短編を残してくれたのですから、感謝
しかないですね。円熟味をさらに増し、よりこなれた文章で読みごたえがあり、
私は~の事件簿をけっこう気に入りました。しかしさすがに斬新なネタは枯渇
したのか、『三人ガリデブ(三人のやせ型と太っちょ?←違います)』の
ように、以前の『赤毛同盟』の焼き直しのようなストーリー展開も散見する
せいか、一般的には、この短編集はあまり高い評価を受けていないようです。
私が気に入った作品は、『這う男』とか『サセックスの吸血鬼』みたいな
超常現象まがいの怪奇ホラー的な作風のものです。心霊術研究に傾倒していた
ドイルは、さらにホームズ譚を書き連ねていたとしたら、こうしたオカルト風
な作品を数多く残したのかもしれません。ドイルが怪奇ミステリーの始祖的
存在でもあったとすると、一見超常現象が引き起こしたかのような事件を、
科学的見地で解決するという流れは、たとえば現在放映中のテレビアニメ
「天久鷹央(あめく たかお)の推理カルテ」などなど、その後も途切れること
なく現在に至るまで影響を与え続けていると言えましょう。天才女医・天久は、
摩訶不思議な事件をあくまで医学的・科学的知見を駆使して解き明かします。
余談ですが、マンガとかラノベとかが原作のミステリーもかなりレベルが高く、
小説と比べてまったく見劣りせず、卑下する必要性はまったく感じられません。
この前まで第二期が放映されていた「鴨乃橋(かものはし)ロンの禁断推理」
などもとても面白く拝見しました。鷹央やロンもホームズに負けず劣らずの変人、
奇人、頭は切れるが性格は破綻気味、私生活はかなり奇天烈なのがお決まりで、
このあたりも、脈々とドイル・イズムが引き継がれていると言えますかね。
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