現在アニメが放映中の「ゴールデンカムイ」に感化されて、その原版とも言える手塚治虫さんの
「シュマリ」を引っ張り出してきて再読しました。ゴールデン~の作者(野田サトル氏)は、シュマリから
着想を得てマンガを描き始めたそうなのですが、なるほど改めてシュマリと比べてみると、
似通った点が多数あることに気がつきました。
手塚さん自身のあとがきによると、シュマリはかなりの難産の末に生まれた物語だったようで、
当初アイヌの青年を主人公にしたかったのに、約40年前の世相ではそれが許されず、やむなく
和人を主人公にして物語を再構築し直したみたいなのです。主人公がシュマリ=アイヌの言葉で
キツネと自らを名乗っているのはその名残ということです。
ストーリーも再三変更を余儀なくされたみたいで、ご自身の考えた通りには話を進行できず、結果
主人公があいまいな性格となり、ご本人には納得できない出来栄えとなったことを嘆いておられます。
それでも私にはとても面白く読むことはできましたがね。手塚さんの代表作とまでは至らないとしても、
時代背景といい、異色の作品であることに違いなく、その点、北海道大好きな方々には、押さえておきたい
手塚作品のひとつであると言えると思います。
それから40年以上月日が流れ、現在アイヌの方々を取り巻く状況はどうなっているのか、
あれだけ頻繁に北海道へ出かけている割には知識が乏しく、あまり詳しいことを存じ上げて
いないのでお恥ずかしい限りです。
野田サトルさんは、どういった環境で創作作業をされているのか私にはよくわかりません。
当時のような「しばり」から開放され、もっと伸び伸びと自由な表現が許されていたらいいですよね。
ゴールデン~の主人公(杉元)も和人ながら、ダブル主人公的にアイヌの少女=アシリパさん
(杉元が敬意を込めて?「さん」付けで呼んでいるのに習って、私もさん付けにしました。
彼女、可愛くて、健気で、しかも勇敢でいいですよね~。いっぺんにファンになっちゃってます)も
登場するし、シュマリよりもアイヌの文化がより詳しく紹介されているようにも感じます。
それだけで判断するのは短絡過ぎるかもしれませんが、より開かれた時代へと移っているのだと
思いたいところではあります。
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