「蒼海館の殺人(あおみかんのさつじん)/阿津川辰海著」を図書館でお借りして
読みました。阿津川さんの「館」シリーズの第二弾、前に読んだ「黄土館の殺人」
のひとつ前の作品になります。
推理小説のシリーズものを遡って読むのはリスクを伴い、登場人物が重なる場合、
誰が生き残るのか、誰が犯人でないのか等々、ズバリ犯人が名指しされては
いなくても、ある程度ネタがバレる事象は避けられないのが玉に瑕(その点では
以前読んだ辻真先さんのシリーズもの、前作で脇役でしかなかった人物が、続編
で犯人となっていたのは、けっこう斬新だったのかも。これも順序逆に読んで、
この人が次作では殺人を犯すことが、頭にちらついて困った覚えがありますが)。
今回の蒼海館~の場合は、主人公の名探偵(男子高校生)が前作での出来事を
引きずって引きこもりのような状態で、立ち直らせようとするワトソン的友人が、
回想するように繰り返し前作(紅蓮館の殺人)の話題に触れるので、犯人の
名前や動機が出てこないかとヒヤヒヤしました。やっぱり続きものは、本来
順番通り読むのが無難なのかもしれませんよねえ。
次作の黄土館~よりは、こちらのほうが面白く読めたと思います。早い段階で
犯人がわかってしまう黄土館に比べると、二重三重の仕掛けでミスリードを
誘い、真犯人を隠すことには成功しています。しかし、トリックが巧妙で複雑
なだけに、犯人が実際問題現場でそこまでうまく立ち回れるのか、あるいは、
行動真理を読み切って他人の動きまで犯行(カムフラージュ)に取り込んで
みたり、自然災害(今回の場合、台風の接近、それに伴う川の氾濫など)を
見越して、それを利用することで手口をよりわかりづらくし隠匿を謀るなど
していて、そんなことが本当に実現可能なんだろうかと、ちょっと腑に
落ちないような首をかしげたくなる場面も散見します。
謎解きを複雑にしようとすればするほど仕掛けが大掛かりになり(そのためか
ページ数も無駄に多いのも気になります、もう少し簡潔にできそうな気も)、
芝居がかり過ぎるのが難ではあるけれど、個人的にはこうしたスペクタクルな
展開が嫌いではないんですよねえ。壮大なパニック・サスペンスが堪能できる
館シリーズ、もうひとつ前まで追いかけてみましょうか。
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