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9月20日(金) 雨のち曇り
今回旅先の図書館で読んだのは、「ABC 殺人事件/アガサ・クリスティ著」、
私が手にしたクリスティもの第三弾、エルキュール・ポワロが探偵役のもの
では「アクロイド殺人事件」に次ぎ二作目となる。
ポワロのもとに、ABCと名乗る奇妙な犯人から殺人を予告する挑戦状が届き、
この手紙を裏書きするかのように、Aの頭文字の人がAの町で、Bの人がBの町で…
とABC順に殺人事件が発生、死体のそばにはABC鉄道案内がいつも置いてある。
ポワロは事件の共通項を見つけ、捜査線上に犯人が浮かび上がるが…という筋書き。
実はこの作品に関しては、有名作ならではの功罪で、どこかで聞きかじってしまい、
トリック、設定の一部を事前に見知っていて、犯人は早々とわかってしまった。
なのでこの作品では、いかにしてクリスティが読者をミスリードし、犯人を隠し、
我々をけむに巻くのかに注目して読み進めた。
「犯人はわかった」と先に書いたが、クリスティの筆さばきは実に巧妙で、
事前に設定を知っていなければ、まんまと術中にはまっていたと思われる。
本筋に、「いかにも」なアディショナルをいっぱい練り込んでくるので、思考が
分散されるのがそのひとつの理由だと思う。
ただし、最後にポワロが謎解きする場面は、諸々少々強引すぎるようには
思えた。犯人、ホントにこんなにうまく立ち回れるのかと。まあ、それを
言っちゃあおしまいよ~で、多少無理やりだからこそ、「まさか!」と驚き、
最後のどんでん返しの鮮やかさが際立つのだから、それはそれとして、
なるべく単純に物語を楽しんだほうがよかろう。