男鹿半島の戸賀湾にイルカの群れが現れたというもの。
それによれば、男鹿水族館でもその状況を直接確認しており、イルカの種類の見当をつけていた。
「ハンドウイルカ」ではないかとのこと。
最初、キャスターが読み上げる音だけ聞いていて、引っかかった。
「“バ”ンドウイルカ」というのは知っているけど、「“ハ”ンドウイルカ」とは?
読み間違いかと画面を見ると、字幕でも「ハンドウイルカ」。
これはまたNHKの間違いではないかと疑ってかかり、Wikipediaを見てみた。
すると、項目名が「ハンドウイルカ」となっていて、「半道海豚」だそう。
その本文中に「バンドウイルカ(坂東海豚)と呼ばれることが多い。」「現在では「バンドウイルカ」という呼称が一般に広く使われており、論文でもこちらが多数派となっている。」「新聞も主に「バンドウイルカ」表記を使用している。」とあった。
もともとはハンドウで、現在はハンドウ、バンドウどちらでもいいのだった。NHKさんの間違いではなかった。自分の無知を棚に上げて疑ってしまって、ごめんなさい。
どうして「バ」が出てきたのかは、学会誌において誤植で「ハ」が「バ」にされてしまった(学術的には生物の和名はカタカナ書きが原則だから)のがきっかけという話もあるものの、その信ぴょう性に疑問を示す意見もあるようで、定かではないようだ。
ちなみに、他の魚の体の掃除をする「ホンソメワケベラ」という魚は、元々は「ホソソメワケベラ」で、ソとンを読み間違えて、それが和名になってしまったというケースもある。
生物の名前は、学術的にはラテン語の学名を使うのが本来だけど、それでも異論があって1つの学名でないものもたまにあるようだ。和名ではなおさらなのだろう。
翌日以降、男鹿水族館が船で近づいて撮影した写真や動画が公開されたらしく、NHK以外のマスコミも報道。
29日の秋田魁新報社会面によれば、戸賀公民館から水族館に連絡があり、スタッフが漁船上から撮影したとのこと。

魁では「はっきりとした種類は不明だがバンドウイルカかミナミハンドウイルカとみられる。」とあった。
近縁種と思われる「ミナミ~」も登場。これもハでもバでも許容されるととらえるべきだろう。
そして、ミナミじゃないほうは「バ」で、ミナミのほうは「ハ」とそろっていない。
30日には、秋田放送(ABS)と秋田朝日放送(AAB)も報道。AKTは未確認

この民放2局はどちらも「バンドウイルカ」「ミナミバンドウイルカ」と「バ」で統一。
AABでは男鹿水族館の人の電話インタビューも流れていたが、種名を話す部分は放送されなかった。
以上、種名の推測を行ったのは男鹿水族館という同じところなのに、報道機関によってバラバラ。
各マスコミの表記のルールに従った結果なのだろうか。
どっちみち、どれでも間違いではないわけですが。
もう1つNHK秋田のニュースから。
28日に北秋田市で、畑を見回っていた人が、クマの親子と鉢合わせ。傘で撃退したものの軽症を負った。
その畑で作ってた作物(植物)名。

「スイートコーンを植えた畑」「スイートコーンがクマに食べられる」
魁は原稿締め切り時間の都合か、第一報程度の記事で作物までは言及していないが、民放各局は、
ABS「男性は畑でトウモロコシを栽培していて」、AKT「畑で栽培したトウモロコシ」、AAB「トウモロコシ畑を見回っていたところ」。
そう。「トウモロコシ」という立派な日本語があるのに、NHK秋田局はどうして英語にしたの? 欧米か!
ただ、スイートコーンのほうが「トウモロコシ」より、より詳しいとも言える。
トウモロコシは人間が粒のまま食べるだけでなく、デンプンの原料や飼料にも使われ、それぞれの用途に適した品種がある。ポップコーンもそれ用の品種でないとうまくできない。
そうした品種をデントコーン(馬歯種)、ポップコーン(爆裂種)などと、大まかに分類することがある。人が食べる品種がスイートコーン(甘味種)。
だから、今回の現場となった畑では、人が食べるためのトウモロコシを栽培していたことが分かる。
って、秋田で(おそらく北海道以外の国内各地で)栽培されているトウモロコシの大部分が、スイートコーンではないだろうか。そもそも、このニュースでそこまで詳しく報道する必要がない。クマにとっても、甘いスイートコーンは大ごちそうではあったのだろうけど。
最近、ある国で余った飼料用トウモロコシを、別の国に売ることが、某国大統領と某国内閣総理大臣の間で決まったけれど、そのニュースでは「トウモロコシ」としているマスコミが多い。飼料用であることすら、少ししか触れていない。大統領が演説する英語でも「コーン」としか話していないようだ。
飼料用だと「デントコーン」か「フリントコーン」辺りではないかと思うけど。【9月24日追記】緊急輸入されるのは「デントコーン」だそうだ。
NHK秋田は、トウモロコシの種類にはこだわる方針なのか。
だったら、今回ひっかいた動物を「クマ」としているけど、それは「(ニホン)ツキノワグマ」としては? ※北海道にはヒグマ、それ以外の日本各地にはツキノワグマと分布が明確なためか、県外や他のマスコミも含めて「クマ」で済ませることが多い。
田んぼが現場となるニュースや話題を伝える時は、「水田に車が転落しました」じゃなく「食用うるち米(またはもち米とか酒米とか)を作る水田に…」と伝えないといけなくなるのでは?