10月の路線バスダイヤ改正。以前の2つの記事(
この記事と
この記事)で終わりかと思っていたら、続けなければならなくなった。
まず、ホームページで告知されていたものの、見落としていたというべきか、中央交通の書き方が分かりにくかったのか。
土日祝ダイヤの築地経由桜ガ丘線が全廃されていた。
先に築地経由ノースアジア大学線や愛宕下橋経由雄和線も土日祝日は運行されなくなっているので、
土日は南中の前を1本も路線バスが通らないことになった。
中でも、市営バス時代から小型バスながらそれなりの運行本数があり、駅からそれなりに距離があって(=歩くには少々遠くて)代替できる路線がない築地北丁-築地下丁-楢山大元町-才八橋-太田町-一つ森公園入口の区間の人たちは困っていないだろうか。
ダイヤ改正前の土曜だったか日曜の15時頃の駅行きを見かけたが、それなりに客はいた。(東口行きと重複する横森方面からの乗客だったのかもしれないけど)
そして、コメントをいただいて初めて知ったのだが、複数のバス停の名称が変更された。
以前はホームページで変更の告知があったのに、今回はまったくなかったばかりか、どうも現場の社員にも充分な周知がなかった模様。当然、客にもそれなりの混乱や戸惑いが生じたはず。
中央交通さんを批判ばかりしたくはないし、同社も大変なのは分からなくはないが、これはあまりにもひどい。
中央交通のホームページには、10月5日になって「10月1日より」「変更となっております。」という現在進行形(?)で遅ればせながら告知がアップされた。
それによれば、秋田市外2つを含めて
9つもの停留所が名称変更されていた。
以上が概要。
バス停名称が変わった10月1日の時点では、ホームページ以外の手段も含めて、乗客への告知や周知が行われていなかったのは事実のようだ。実はこの対応は、法令に違反する。(詳細は省略しますが、信頼できる情報源で確認済みです)
法令では、営業所や停留所において「事前に」掲示して周知することが義務付けられている。
ちなみに、国土交通大臣への届け出も必要だが、これは事後でよい。
法令うんぬんは別としても、路線バスはいろんな人が客として乗る。
子ども、知的障害者などは、突然、いつもと違うバス停名がアナウンスされたら、困惑したりパニックになったりする人もいるだろう。
普段あまりバス(またはその路線)を利用しない人は、「○○」というバス停で降りればいいと認識して乗車しているのに、それが「□□」という名に変わっていたら、降り損ねてしまう。よその街から来るなどして初めてバスに乗った人は、車窓風景から判断することもできず、終点まで行ってしまいかねない。
そのバス停を利用しない乗客にしても、車内放送で突然違うバス停名が告げられたら、乗り間違えてしまったかと、一瞬ドキッとしたことだろう。
それに、運転士さんたちにしても、急に変わって戸惑うのは同じだし、乗客への説明や問い合わせの対応、さらに乗客から「どうしていきなり変えたんだ!」と苦情を言われたかもしれない。労働組合が騒いでもいいのでは? あるいは「業務上必要な情報を提供しない」という意味で一種のパワハラに該当するかも?!
中央交通の現場に出ない社員や経営者たちは、こうした乗客や運転士の気持ちを理解しているのだろうか。いや、理解していないに違いない。
このバス会社には、客に利用してもらおうという気持ちがあるのか、疑ってしまいたくなる。知らせないことで、バスを使う人には不信感を抱かせ、バスを使わない人には、バスがますます分かりにくい縁遠い存在となってしまう。
法令で言う周知は掲示を主に指しているようだが、今はインターネットという手軽に広く周知できる手段がある。
中央交通にも自社ホームページがあり、そこで時刻変更の周知は掲載できているのに、各車両の車内放送や運賃表示器のデータ更新はできているのに、たった9つのバス停名変更の告知をホームページに載せられないわけはない。
バス停の名を変えるのは別に恥ずかしいことでもあるまいし、堂々と告知してくれればいいのに。
それと、秋田市が広報の片隅に「ダイヤ改正があります」「バス停名が変わります」程度の告知を載せてやってもいいだろう。
市営バス時代は毎回やっていたのだが、移管後のダイヤ改正は載ったり載らなかったりだった。
以上、苦言。
以下、バス停名変更の具体的内容。
5日遅れのホームページの告知では、「地域住民・関係各所の要望により」変更したとし、各停留所ごとに理由をカッコ書きしている。※以下、旧停留所名→新停留所名と表記。
秋田市外では、新国道経由五城目線の3つ。
大川小学校入口→下樋口、飯田川庁舎前→飯田川出張所前、秋田中央健康福祉センター前→秋田地域振興局福祉環境部前
今春の五城目町立大川小の閉校(統廃合)、5月の潟上市役所新庁舎完成に伴う組織再編、時期は不明だが県の出先機関の再編に伴うもの。妥当な改称だろう。
秋田市内は7つ。
地域センター→南部サービスセンター前
※告知では「地域センター」だが、現地の表示や時刻表検索では「地域センター前」。
5月12日に御野場の地域センター・コミュニティセンターの跡に「秋田市南部市民サービスセンター」が開所したのに伴う改称。
過去の記事の西(新屋)や北(土崎)の時も言ってるけど、正しくは「市民“サービス”センター」。
秋田市役所の決まりでは「市民サービスセンター」と「サービスセンター」は似ているが別の組織で、できることが違う。「南部サービスセンター」だと、電気製品の修理拠点みたいだし。
余談だが、太平線にも「地域センター前」というバス停があり、こちらは存続。時刻表検索では、後に地名をカッコ書きして区別していた。
NEC前→御所野下堤三丁目
理由は「会社撤退」としている。
たしかに秋田からNECの工場はなくなったが、工場は他社へ譲渡されて今も存続し、しかもNEC系列の企業のもの。
2011年7月から「NLTテクノロジー秋田工場」になっているそうだ。「NLT前」だと分かりにくいから改称したのは分かる。
小学校前→中山谷(なかやまや)
大学病院付近から太平川をさかのぼって太平地区を経て、旧・河辺町の岩見三内へ至る太平線。元から中央交通の路線だったせい(?)か、「牧場入口」「貯木場前」などアバウトな名称のバス停が多い。
中でも「学校前」というバス停が路線内に2つあった。1つは市立太平小学校の前、もう1つが市立山谷(やまや)小学校の前。
改称されたのは、2012年春に統廃合で閉校していた山谷小前のほう。
太平小前は引き続き「学校前」のままらしい。
なお、この路線には「太平中学校前」というバス停もある。この差は何なんだ。
広面幼稚園前→広面土手下(ひろおもてどてした)
一連の件を知るきっかけとなったバス停。上記太平線のほか、大学病院方面の複数路線が通る。※
過去の関連記事
(再掲)西口発側の広面幼稚園前(矢印は「谷内佐渡」停留所)
理由は「廃園のため」。えっ! 広面幼稚園ってなくなったの?
「広面土手下」に
私立幼稚園なので詳細は不明だが、調べると2012年に建物が解体されていたので、それ以前に廃園したことになる。跡地は宅地になったらしい。
西口行き側も
ポールは表示板はそのまま、シールの重ね貼りで対応。角ゴシック体でローマ字なし。(学校前→中山谷は「バスで行こう」タイプのポールのようだが、このタイプの修正例は少ない。どうやって対応したんだろう?)
以下2つは、施設の改廃等ではない、中央交通側のウェイトが大きいと思われる変更。上記は、由来となった事象(改称・閉鎖)を知っていれば、バス停名が変わることは予測し得た(改称時期は別として)が、こちらケースは予測不可能の改称。これこそ唐突だ。
中央郵便局前→保戸野学園通り入口
一瞬、新国道の郵便局正面のバス停かと思ってしまうが、理由には「新国道にある中央郵便局前との重複を無くすため」とあり、北東側の千秋トンネル経由の路線用の停留所だと分かる。
先日、行き先変更を取り上げた、土崎・ノースアジア大学線改め土崎・駅東線(千秋トンネル経由)が平日に1日1本だけ通るバス停。
今回の改正でノースアジア大発飯島行きが廃止されたので、片方のポールは撤去された。(隣の「附属校園前」も同様。他は別路線も通るので存続)
こちらも角ゴシック体重ね貼り
市営バス時代に設置されたバス停だが、中央郵便局からは信号機1つ分離れているので、「郵便局“前”」は無理のある名称だとは感じていた。
2009年撮影の写真を引っ張り出してみると…
現在も残った飯島発側のポール。向かいのファミレス前にもポールが見える
市営バスの文字が下に透けたポールには「秋田中央郵便局 社会保険事務所入口」とある。
市営バス時代は、郵便局の隣にある秋田社会保険事務所も併記した名称だった。(10月の変更直前がどうだったかは不明)
そして、「前」ではなく「入口」だったのか。それなら分からなくもない。(郵便局前バス停については最後にも少々)
変更後の「保戸野学園通り入口」。
以前、「点」であるバス停の名前に対して、「線」である道路名称を使っては、場所が特定しづらくて分かりにくいと述べた。「大町通り」のように。
今回は、学園通りの中にバス停があるのに、名称に「入口」が付けられた。通りの名+「入口」というのもちょっと珍しい。
片方向運行であり、新国道から左折して学園通りに入ってすぐの位置だから、その命名が妥当なのかもしれない。
他に考えられる名称は、所在地の「千代田町」「鉄砲町」だと他路線と再び重複してしまう。「きらやか銀行(秋田支店)前」では、山形の銀行の名前じゃあ分かりにくいか。「ビッグボーイ前」はいくらなんでも。「ハミングロード入口」なんていいかも?
それにしてもここで乗降する客っているのかな…
仁井田中丁→仁井田交番前
これも同様に「国道13号線にある仁井田中丁との重複を無くすため」。
国道13号線には昔から仁井田中丁バス停があり、市営バスと中央交通が運行していた御野場団地線など一般路線のほか、空港リムジンバス、羽後交通仕様のポール(運行は中央交通も)で横手・湯沢方面の高速バスまで停車する。
いつの間にか、その手前で県道61号線へ曲がって、別のルートで御野場へ入って御所野まで行く「仁井田御所野線」が運行され、県道に入ってすぐのところにも仁井田中丁バス停ができた。こっちの名前が変わった。
両路線とも1時間に1本程度は運行されている。
両バス停の距離は数百メートル離れており、移動には川があったり国道を横断しないといけないので、分かりやすいように名称を分けたのだとすれば、納得はできる。
ただし、どちら方面でも仁井田中丁が運賃の変わるバス停。
したがって、この運賃区間発着の定期券では、従来は券面に「仁井田中丁」と表記されて、どちらでの乗降も可能だったはず。
改称後はどうなのだろう。おそらく「仁井田中丁/仁井田交番前」と併記されて、従来と同じ対応になると思うけど。
以上、名称変更に納得できることもあるけれど、引っかかることもある。
まず、五城目線方面など今年春に改称理由となる事象が発生したのに、秋まで変えなかったのは仕方がない点もあるだろう。
施設名を変えた当事者からバス会社への連絡が来ないこともあるだろうし、車内放送の録音や国交省への手続きに時間がかかるし、まとめたほうがやりやすいこともあろう。
でも、山谷小、広面幼稚園、NECなどは3年以上経ってから改称していて、もうちょっと早くすることもできただろう。
もうちょっと早くと言えば、
この記事でまとめたように「交通公社前」「長崎屋バスターミナル」「歓喜寺前」「秋大糠塚官舎前」といった、とうの昔に名称変更や移転したものを名乗るバス停は、いつまでこうなのか。改称しちゃえばいいのに。
山谷小、広面幼稚園、NECも交通公社前のように、いつまでもこのままでひっそりと存続し続け、市民の意識に溶け込んでもおかしくなかった(少なくとも広面幼稚園前は個人的にはそうなっていた)。
なくなったのなら、名前を使い続けるわけにもいかないのはたしかで、改称したのが妥当なんだろうけど。
位置が異なり名称が重複するバス停名の解消という意味では、3つに分岐する「豊町(新屋西線、船場町経由割山線、商業経由割山線)」をはじめ、別路線・系統に2つの同名バス停が離れて存在するものは多数(自衛隊入口、ハローワーク前、手形東町、すわ町、原の町等々)ある。
それに、大回り線の「大町西交差点」、長崎屋経由大川反車庫方面の「山王十字路」のように、同じ運行で同名バス停が2つ連続するものまである。これは解消すべきだ。
今回改称されなかった、新国道側の中央郵便局前のバス停。
上記の通り、市営バス時代は社会保険事務所を併記した名称が基本だった。移管後の時刻表検索でもたしかそうだった。
現在の公式サイトのバス停名検索、路線図、上り側ポールでは「秋田中央郵便局前」または「中央郵便局前」。社会保険事務所は忘れ去られたのか。
秋田駅行きが通る上り側、郵便局の真ん前のポールは、
「中央郵便局前」
市営バス時代に設置された埋込み式ポールなのに、社会保険事務所を無視してしまっている。
※このポールは、かつては「市営バス」「中央郵便局前」が夜に赤く点滅(点灯ではなく)していた。今は社名部分は重ね貼りされている。「中央郵便局前」はLEDの粒が見えるが、光らなくなってしまった。
下り側(デュプレいしい前)は、市営バス時代からの置き型のポール。
(再掲)「秋田中央郵便局 社会保険事務所前」
市営バス時代から、上下で名称が異なる形になっている。書類上はどっちなんだろう。
さらに「社会保険事務所」は2009年に社会保険庁が廃止されて、年金機構の「年金事務所」になっている。これも改称すべきでは?【
末尾の追記参照】
中央交通ホームページによれば、今回の9つは「地域住民・関係各所の要望により」変更したとか。
じゃあ、太平小、JTB、秋大、年金機構等々、および各バス停の周辺住民が「要望」すれば、他も変更してくれるのでしょうか?
【2016年5月31日追記】
2016年5月までに、「秋田中央郵便局 社会保険事務所前」だった新国道の下り側の表示板が「秋田中央郵便局前」に交換されていた。車内放送やホームページでも同様で、いつの間にか改称されていたことになる。
少なくともホームページでは告知がなかった。なお、法令では、この程度の変更は事前周知は不要と見なされるはず。