毎回話が飛んで恐縮ですが、7月下旬の弘前の続き。
弘前市石川を後に、弘南鉄道大鰐線で弘前市街地へ。
6人ほどしか乗っていない電車は、懐かしい天井の扇風機と窓からの風が心地よかった(もっと気温が高い日ならばサウナだけど)。
終点中央弘前まで行かず、弘前学院大前(旧・西弘前)で下車。
弘前大学裏手の土淵川沿いを歩いて、2つのことを自分の目で確認したかったから。
この辺りに住む/住んでいた者にとっては、土淵川は身近な存在。川幅のわりに深い護岸で固められている区間が長いものの、独特の風景には懐かしさを覚える。
ただ、僕は北・下流側の土手町の蓬莱橋~弘高下駅付近は、川沿いを通ることがあったが、大学や家に近い桔梗野・西ヶ丘町付近は、ルート上遠回りになってしまうので通る機会が少なく、明確なイメージはなかった。
西弘前からすぐ、枡方交差点からまっすぐの県道130号線に架かる橋(昔サンクスがあったところ)は「弘盛橋」というらしい。
この橋を境に、上流側はリンゴ畑などが多い郊外の風景、下流側は住宅街を抜ける街の風景と趣が変わる。「子供の森自転車道」というのは、ここから上流側の右岸(線路・城南側)の道を指すのかな。
下流側へ。車は通れるが、通行量は少ない。
いかにも土淵川という光景
この辺りでは、思っていたより護岸が深くない。
確かめたかったことの1つは、キショウブ。
2000年代中頃【2018年6月17日補足・1990年代後半との情報もあり】から、近くに住む高齢男性が、美化のために土淵川の弘盛橋から寒沢橋まで約1キロ【2018年6月3日訂正】約350メートルに、キショウブを植えているという。
陸奥新報では、2015年と2016年に報道され(2017年は、少なくともサイトには未掲載)、花の盛りには水面近くが一面黄色になった写真をツイッターなどに投稿する人もいた。
キショウブは、本来日本に自生しない外来の帰化植物。繁殖力も強く、既存の生態系に影響を及ぼす可能性があり、環境省が「総合対策外来種」の3つのうち上から2番目の「重点対策外来種」に指定している。
土淵川は護岸で固められ生態系といえるものもないかもしれないが、種や根が流れて、下流・合流先の岩木川、さらには十三湖や日本海にまで影響を与えてしまう恐れもある。少なくとも、河川という開かれた場所にキショウブをわざわざ植えるのは適切ではないと考える。
地元ではおおむね好意的に受け入れられているようで、よそ者が口を出すのもどうかとは思っていたのだが、気になっており、とりあえずは現地を見てみたかった。
花は終わっていたが、キショウブと分かる葉が繁茂していた。
元から中州状、あるいはわずかな岸辺に植えたようだけど、植える以前・僕が住んでいた頃はどうなっていたんだっけ? 雑草が生えていたのかな。
おひとりで植えたとすれば、相当な苦労だったのがしのばれる。(だからこそ、これほどまでになってから、やめろとは言いにくい)
確かめたかったこと2つ目。
「フェリースマンション」
この方向からは見覚えがない光景だけど、ピンク色の大きなアパート自体は印象にある。
そして、ここを、今年7月に放送されたNHK BSプレミアムの「にっぽん縦断こころ旅」一行が通った。
番組では、写真奥の下流側から来て、マンションの角を左折(写真奥を右方向)し、寒沢スキー場(坂)、踏切、弘前大学と進んだ。
マンション・曲がり角を通り過ぎてから振り返る
↑上の写真が、番組で流れたアングルであり、僕自身も見覚えがある光景。20年前と変わっていない(はず。たぶん)。
曲がった先の光景
中央部をトリミング。弘大生が通り、坂の上に理工学部2号館がそびえる
この光景もテレビで流れたけれど、僕はこの方向に歩いた記憶はほとんどない。
初めて通った場所でないけれど、ごくまれに、下流側から弘盛橋方向に川沿いを通ったということのようだ。
再び川沿いを下り、寒沢橋を過ぎる。
黄色い花はキショウブではなく、キク科植物
川沿いの光景も、川の雰囲気も、あまり変わらない。
ただ、川の中の植物は、キショウブがなくなり、黄色いキク類やガマ(写真手前に蒲の穂が出ている)などが雑多に繁茂している。
キショウブが植えられているのは寒沢橋までで間違いなかった。(キショウブが植えられる前は、上流側もこんな状態だったのだろうか)
また、見た限り、下流側ではキショウブは見当たらなかった。今のところは、植えられた区間より下流側へ大きな影響は出ていないということになろう。
とりあえず、土淵川での目的は達成して自己満足。
※この区間より少し下流側を以前記事にしています。
※翌2018年の開花期の状況。
ところで、上のピンク色のアパートのところで、川沿いに看板が出ていた。注目。
カッパ
「川をきれいにしましょう」「美しい 心が育つ きれいな川で 青森県」とあり、イラストのカッパが持つ竿に「ゴミを すてないで!! 川は泣いています」。
カッパにはへそがあり、竿にはトンボがとまっていて、川の中では赤い生物が泣いている。
赤い生物
これって魚? 口の辺りが大きく開いて、なぜか白い。謎の生物。
別の場所には、
魚(小さいのはドジョウ?)
「川はみんなのものです。 ふるさとの川を守り 美しい川にしましょう。 青森県」
上のカプセル型の部分には何か書いてあったのが色あせたらしい。
カッパとは、書体や状態が異なるので、別のタイミングで設置されたことになろう。
【2020年5月3日追記】昔の書体(フォント)についての興味と知識が多少ついたので、補足。カッパの「川をきれいにしましょう」は道路の案内標識でおなじみの写研「ナール」。「青森県」もナールかもしれない。「美しい 心が育つ きれいな川で」は、おそらくモリサワの丸ゴシック体のどれか。昔のバスの行き先表示やテレビのテロップなどで使われていたものと同じか類似のフォントで、デジタル化はされていない。
魚は「川は~しましょう。」がナールで、「青森県」はモリサワか?(以上追記)
というか、この看板、見覚えがある。
ひどい状態ですが
秋田市の旭川にも設置されている。
旭川のものは、落書き(他の場所では破損も)されている上、土淵川の「青森県」の代わりに「秋田県」とあるものが消えている。
土淵川同様にカプセル型が色あせているが、うっすらと判読でき「川をきれいにしましょう」と土淵川のカッパと同じ文言。また、水と枠が青く塗られているが、土淵川では元からないのか色あせたのかない。
旭川の看板は、少なくとも30年ほど前、昭和末期には設置されていたと思う。魚の妙に明るい目が印象にある。
文章は土淵川が活字で、旭川は手書き。イラスト部分は、両者でまったく同一。
土淵川も旭川も、一級河川の支流であり、国から県に河川管理が委託されている。建設省(設置当時)が主導して、同デザインの看板を手配したのだろう。
※落書きだらけの看板からも分かるように、秋田県(組織としての秋田県庁という意味)の河川管理は、必要最低限のことしかやっていないようで、どうも心がこもっていない(道路管理もだけど)。豪雨が目立つ昨今、この調子では、どこかに抜かりがあって何か起きてしまわないかと、流域住民としては気がかり。青森県はいかがでしょうか。
【9月1日追記】各県共通で同じ看板にしてコストを削減したのかもしれないが、土淵川にしても旭川にしても、どうせなら川の名称を看板に記載(一級河川本流にある青い看板のように)すれば、意義や注目度が高まるだろう。また、管理者の連絡先も記載すれば、住民との関係が緊密になり、事故や不具合を未然に防ぐことができる場合もあると思う。
青森県も秋田県も、県庁の本庁に「河川砂防課」があるが、各河川を実際に管理するのは、地域ごとの出先機関に設けられたセクション。土淵川では「中南地域県民局地域整備部『河川砂防施設課』」、旭川では「秋田地域振興局建設部『保全・環境課』」というもので(たぶん)、一般県民にはとても分かりにくい。しかも、たまに組織再編で名前が変わったりするし。(以上追記)
なお、カッパの看板は旭川では見たことがないが、他の河川を含めて秋田にもどこかにあるのかもしれない。
また、ネットで調べると、宮城県にはカッパの看板があり、土淵川と文章は同じものの、イラストは同一ではない。
※岩手県では、昔旭川にはあったダム放流についての看板があった。
※岩手県には、このシリーズで別のイラストの看板もあった。この記事後半。
弘前市石川を後に、弘南鉄道大鰐線で弘前市街地へ。
6人ほどしか乗っていない電車は、懐かしい天井の扇風機と窓からの風が心地よかった(もっと気温が高い日ならばサウナだけど)。
終点中央弘前まで行かず、弘前学院大前(旧・西弘前)で下車。
弘前大学裏手の土淵川沿いを歩いて、2つのことを自分の目で確認したかったから。
この辺りに住む/住んでいた者にとっては、土淵川は身近な存在。川幅のわりに深い護岸で固められている区間が長いものの、独特の風景には懐かしさを覚える。
ただ、僕は北・下流側の土手町の蓬莱橋~弘高下駅付近は、川沿いを通ることがあったが、大学や家に近い桔梗野・西ヶ丘町付近は、ルート上遠回りになってしまうので通る機会が少なく、明確なイメージはなかった。
西弘前からすぐ、枡方交差点からまっすぐの県道130号線に架かる橋(昔サンクスがあったところ)は「弘盛橋」というらしい。
この橋を境に、上流側はリンゴ畑などが多い郊外の風景、下流側は住宅街を抜ける街の風景と趣が変わる。「子供の森自転車道」というのは、ここから上流側の右岸(線路・城南側)の道を指すのかな。
下流側へ。車は通れるが、通行量は少ない。
いかにも土淵川という光景
この辺りでは、思っていたより護岸が深くない。
確かめたかったことの1つは、キショウブ。
2000年代中頃【2018年6月17日補足・1990年代後半との情報もあり】から、近くに住む高齢男性が、美化のために土淵川の弘盛橋から寒沢橋まで
陸奥新報では、2015年と2016年に報道され(2017年は、少なくともサイトには未掲載)、花の盛りには水面近くが一面黄色になった写真をツイッターなどに投稿する人もいた。
キショウブは、本来日本に自生しない外来の帰化植物。繁殖力も強く、既存の生態系に影響を及ぼす可能性があり、環境省が「総合対策外来種」の3つのうち上から2番目の「重点対策外来種」に指定している。
土淵川は護岸で固められ生態系といえるものもないかもしれないが、種や根が流れて、下流・合流先の岩木川、さらには十三湖や日本海にまで影響を与えてしまう恐れもある。少なくとも、河川という開かれた場所にキショウブをわざわざ植えるのは適切ではないと考える。
地元ではおおむね好意的に受け入れられているようで、よそ者が口を出すのもどうかとは思っていたのだが、気になっており、とりあえずは現地を見てみたかった。
花は終わっていたが、キショウブと分かる葉が繁茂していた。
元から中州状、あるいはわずかな岸辺に植えたようだけど、植える以前・僕が住んでいた頃はどうなっていたんだっけ? 雑草が生えていたのかな。
おひとりで植えたとすれば、相当な苦労だったのがしのばれる。(だからこそ、これほどまでになってから、やめろとは言いにくい)
確かめたかったこと2つ目。
「フェリースマンション」
この方向からは見覚えがない光景だけど、ピンク色の大きなアパート自体は印象にある。
そして、ここを、今年7月に放送されたNHK BSプレミアムの「にっぽん縦断こころ旅」一行が通った。
番組では、写真奥の下流側から来て、マンションの角を左折(写真奥を右方向)し、寒沢スキー場(坂)、踏切、弘前大学と進んだ。
マンション・曲がり角を通り過ぎてから振り返る
↑上の写真が、番組で流れたアングルであり、僕自身も見覚えがある光景。20年前と変わっていない(はず。たぶん)。
曲がった先の光景
中央部をトリミング。弘大生が通り、坂の上に理工学部2号館がそびえる
この光景もテレビで流れたけれど、僕はこの方向に歩いた記憶はほとんどない。
初めて通った場所でないけれど、ごくまれに、下流側から弘盛橋方向に川沿いを通ったということのようだ。
再び川沿いを下り、寒沢橋を過ぎる。
黄色い花はキショウブではなく、キク科植物
川沿いの光景も、川の雰囲気も、あまり変わらない。
ただ、川の中の植物は、キショウブがなくなり、黄色いキク類やガマ(写真手前に蒲の穂が出ている)などが雑多に繁茂している。
キショウブが植えられているのは寒沢橋までで間違いなかった。(キショウブが植えられる前は、上流側もこんな状態だったのだろうか)
また、見た限り、下流側ではキショウブは見当たらなかった。今のところは、植えられた区間より下流側へ大きな影響は出ていないということになろう。
とりあえず、土淵川での目的は達成して自己満足。
※この区間より少し下流側を以前記事にしています。
※翌2018年の開花期の状況。
ところで、上のピンク色のアパートのところで、川沿いに看板が出ていた。注目。
カッパ
「川をきれいにしましょう」「美しい 心が育つ きれいな川で 青森県」とあり、イラストのカッパが持つ竿に「ゴミを すてないで!! 川は泣いています」。
カッパにはへそがあり、竿にはトンボがとまっていて、川の中では赤い生物が泣いている。
赤い生物
これって魚? 口の辺りが大きく開いて、なぜか白い。謎の生物。
別の場所には、
魚(小さいのはドジョウ?)
「川はみんなのものです。 ふるさとの川を守り 美しい川にしましょう。 青森県」
上のカプセル型の部分には何か書いてあったのが色あせたらしい。
カッパとは、書体や状態が異なるので、別のタイミングで設置されたことになろう。
【2020年5月3日追記】昔の書体(フォント)についての興味と知識が多少ついたので、補足。カッパの「川をきれいにしましょう」は道路の案内標識でおなじみの写研「ナール」。「青森県」もナールかもしれない。「美しい 心が育つ きれいな川で」は、おそらくモリサワの丸ゴシック体のどれか。昔のバスの行き先表示やテレビのテロップなどで使われていたものと同じか類似のフォントで、デジタル化はされていない。
魚は「川は~しましょう。」がナールで、「青森県」はモリサワか?(以上追記)
というか、この看板、見覚えがある。
ひどい状態ですが
秋田市の旭川にも設置されている。
旭川のものは、落書き(他の場所では破損も)されている上、土淵川の「青森県」の代わりに「秋田県」とあるものが消えている。
土淵川同様にカプセル型が色あせているが、うっすらと判読でき「川をきれいにしましょう」と土淵川のカッパと同じ文言。また、水と枠が青く塗られているが、土淵川では元からないのか色あせたのかない。
旭川の看板は、少なくとも30年ほど前、昭和末期には設置されていたと思う。魚の妙に明るい目が印象にある。
文章は土淵川が活字で、旭川は手書き。イラスト部分は、両者でまったく同一。
土淵川も旭川も、一級河川の支流であり、国から県に河川管理が委託されている。建設省(設置当時)が主導して、同デザインの看板を手配したのだろう。
※落書きだらけの看板からも分かるように、秋田県(組織としての秋田県庁という意味)の河川管理は、必要最低限のことしかやっていないようで、どうも心がこもっていない(道路管理もだけど)。豪雨が目立つ昨今、この調子では、どこかに抜かりがあって何か起きてしまわないかと、流域住民としては気がかり。青森県はいかがでしょうか。
【9月1日追記】各県共通で同じ看板にしてコストを削減したのかもしれないが、土淵川にしても旭川にしても、どうせなら川の名称を看板に記載(一級河川本流にある青い看板のように)すれば、意義や注目度が高まるだろう。また、管理者の連絡先も記載すれば、住民との関係が緊密になり、事故や不具合を未然に防ぐことができる場合もあると思う。
青森県も秋田県も、県庁の本庁に「河川砂防課」があるが、各河川を実際に管理するのは、地域ごとの出先機関に設けられたセクション。土淵川では「中南地域県民局地域整備部『河川砂防施設課』」、旭川では「秋田地域振興局建設部『保全・環境課』」というもので(たぶん)、一般県民にはとても分かりにくい。しかも、たまに組織再編で名前が変わったりするし。(以上追記)
なお、カッパの看板は旭川では見たことがないが、他の河川を含めて秋田にもどこかにあるのかもしれない。
また、ネットで調べると、宮城県にはカッパの看板があり、土淵川と文章は同じものの、イラストは同一ではない。
※岩手県では、昔旭川にはあったダム放流についての看板があった。
※岩手県には、このシリーズで別のイラストの看板もあった。この記事後半。