秋田市立保戸野(ほどの)小学校には、シンボル的存在の木が2つあった。
正門横の「ニレの木」(個人的推定では標準和名「ノニレ」)とグラウンドの「ポプラ」である。
ニレは相変わらず元気そうで、今春も若葉を出し、(葉より先に地味な花が咲くので)種子を落としている。
問題はポプラ。
現在は公式にはニレをシンボルツリーとしているようだが、学校の歴史上はポプラをメインのシンボルツリーに位置づけていた時期もあり、卒業生の中にはポプラのほうに思い入れがある人も多いはず。
30年以上前はグラウンドの周囲3方がポプラの並木で囲まれていたそうだが、後に順次伐採され、現在は南側の隅にわずか2本だけ残っていた。【5月1日追記】ほとんど伐採されたのに2本残った理由は不明。比較的短いというポプラの寿命によるものかもしれないが、同じ樹齢であったはずの2本だけが残った説明はつかない。あるいは、ポプラは雌雄異株で、メスの木からは綿毛が飛ぶ。それが問題になったこともあったそうでその対策かもしれない。残った2本はオスの木らしく綿毛は飛ばしていなかった。でも、あんなにあった全部がメスだったとも考えにくい。近隣住宅の日照権が問題になるほどでもなさそうだし。
(再掲)
その2本のポプラは、2013年の5月に枝がすべて払われ、その後新芽が伸びたものの秋に再び枝を落とされてしまった。
ポプラは放っておくと枝が落ちやすく危ないそうで、強めに剪定を行って新たな枝を伸ばす管理方法が取られるそうだ。でも、1シーズンに2回もそれを行うのは、木に負担がかかるのではないかと心配していた。
(再掲)
その後、翌2014年の春には、1本はほんのわずかに枝と芽が出て、もう1本はまったく芽が出ず、そのまま冬を迎えた。さらに2015年の春も同じ状態であり、上の写真とほぼ変わらない状態が1年以上続いていた。不安は的中してしまった。
季節のある場所で生育する落葉樹が、季節が一巡以上しても葉を出さない(もしくはほとんど出さない)ということは、植物にとって致命的だと思う。蓄えた栄養分を使い切ったから葉を出せないのだろうし、葉がなければ光合成ができないから栄養を作れず、植物は死んでしまう。
樹皮が前より白っぽくなって乾いているようにも見えたし、一部の樹皮がなくなっている(はがれ落ちた)所もあった。
つまり、「枯れた」かそれに近い状態のようにも思われた。上がこうでは根も正常ではないだろう。
枯れ木同然となった木をグラウンドに生やしておいては、腐食するなどして何かの拍子に倒壊する可能性があるかもしれない。運悪く、グラウンドにいる児童や道路の通行人に当たったりしたら…
枯れていないポプラでも、比較的倒れやすい木で、北海道大学のポプラ並木が通行止めにされたり、広島県内の公共施設では倒れて死傷者を出した事例もある。(ポプラ以外でも類似事例はあり、ポプラがとても危険な木だということではない。種の性質に応じた管理が必要だということ)
また、仮にもシンボルツリーであったポプラのこんな姿をいつまでもさらしておくのは、忍びなくも感じられた。
そして、
切り株に
4月25日に伐採が行われた。あのような状態であった以上、妥当な措置だと考える。(こうなった原因であろう、1シーズンに2度も枝払いを行ったことについては疑問だが)
ただ、これで保戸野小学校からポプラの木がすべてなくなってしまったことになるはず。
グラウンド内から見て左側(児童館寄り)の木はほぼ完全に枯れ、右側の木はわずかに葉を出していたのだが、切り株の状態はどちらもほぼ同じだった。
切り株を見る限り、内部は極端な乾燥または腐食は認められず、青臭い(動物園の草食動物舎のような)臭いがした。
切り株の切断面は、どちらの木も直径90センチ前後もあった。数えられるような年輪は認められなかったが、ポプラは生長が速いからだろうか。
以前はぐるりとポプラ並木だったはず
かつてポプラがあった場所には、先代校舎時代に校庭にあった木が移植されたのか、現在はソメイヨシノやイチョウなどが植えられている。
古い切り株
今回伐採されたポプラの隣には、以前に伐採されたポプラのものと思われる切り株が朽ちつつあった。
なくなった木を今さらどうしようもないけれど、このポプラの「種(しゅ)」は何だったのか。
「ポプラ」というのはいくつかの種の総称。マダイもクロダイも「鯛」と呼ぶようなもの。
ポプラの場合、種の識別は難しく、種間雑種も存在し、専門家でも統一見解が定まっていないという。
一般には「セイヨウハコヤナギ(イタリアポプラ)」やその雑種がポプラの正体であることが多いそうだ。根元近くから枝分かれし、縦に長い樹形で、樹皮は比較的つるりとしている。北大の並木のほか、秋田市の城東中学校、山王中学校隣の公園のポプラがそれっぽい。
だけど、保戸野小学校のポプラは、樹形が違った。これは剪定方法などでなく、種の違いだったようだ。
(再掲)風にそよぐ葉の音が印象的だった
わりと上のほうから枝分かれし、横に広がっている。樹皮は縦方向にゴツゴツした凹凸があった。
おそらく「改良ポプラ」と呼ばれる雑種だったのではないだろうか。
「改良ポプラ」の定義には「イタリアポプラを品種改良したもの」「イタリアポプラなどヨーロッパ系とアメリカ系ポプラを交配したもの」など諸説あるようだし、それ以前にひとくちに改良ポプラといっても複数の系統があるとか。(Wikipediaでは品種改良されたポプラの総称が「改良ポプラ」だとしている)
ここにこういうポプラがあったことを記録しておきます。
※その後、秋田市内でこれとよく似たポプラを見つけた。
正門横の「ニレの木」(個人的推定では標準和名「ノニレ」)とグラウンドの「ポプラ」である。
ニレは相変わらず元気そうで、今春も若葉を出し、(葉より先に地味な花が咲くので)種子を落としている。
問題はポプラ。
現在は公式にはニレをシンボルツリーとしているようだが、学校の歴史上はポプラをメインのシンボルツリーに位置づけていた時期もあり、卒業生の中にはポプラのほうに思い入れがある人も多いはず。
30年以上前はグラウンドの周囲3方がポプラの並木で囲まれていたそうだが、後に順次伐採され、現在は南側の隅にわずか2本だけ残っていた。【5月1日追記】ほとんど伐採されたのに2本残った理由は不明。比較的短いというポプラの寿命によるものかもしれないが、同じ樹齢であったはずの2本だけが残った説明はつかない。あるいは、ポプラは雌雄異株で、メスの木からは綿毛が飛ぶ。それが問題になったこともあったそうでその対策かもしれない。残った2本はオスの木らしく綿毛は飛ばしていなかった。でも、あんなにあった全部がメスだったとも考えにくい。近隣住宅の日照権が問題になるほどでもなさそうだし。
(再掲)
その2本のポプラは、2013年の5月に枝がすべて払われ、その後新芽が伸びたものの秋に再び枝を落とされてしまった。
ポプラは放っておくと枝が落ちやすく危ないそうで、強めに剪定を行って新たな枝を伸ばす管理方法が取られるそうだ。でも、1シーズンに2回もそれを行うのは、木に負担がかかるのではないかと心配していた。
(再掲)
その後、翌2014年の春には、1本はほんのわずかに枝と芽が出て、もう1本はまったく芽が出ず、そのまま冬を迎えた。さらに2015年の春も同じ状態であり、上の写真とほぼ変わらない状態が1年以上続いていた。不安は的中してしまった。
季節のある場所で生育する落葉樹が、季節が一巡以上しても葉を出さない(もしくはほとんど出さない)ということは、植物にとって致命的だと思う。蓄えた栄養分を使い切ったから葉を出せないのだろうし、葉がなければ光合成ができないから栄養を作れず、植物は死んでしまう。
樹皮が前より白っぽくなって乾いているようにも見えたし、一部の樹皮がなくなっている(はがれ落ちた)所もあった。
つまり、「枯れた」かそれに近い状態のようにも思われた。上がこうでは根も正常ではないだろう。
枯れ木同然となった木をグラウンドに生やしておいては、腐食するなどして何かの拍子に倒壊する可能性があるかもしれない。運悪く、グラウンドにいる児童や道路の通行人に当たったりしたら…
枯れていないポプラでも、比較的倒れやすい木で、北海道大学のポプラ並木が通行止めにされたり、広島県内の公共施設では倒れて死傷者を出した事例もある。(ポプラ以外でも類似事例はあり、ポプラがとても危険な木だということではない。種の性質に応じた管理が必要だということ)
また、仮にもシンボルツリーであったポプラのこんな姿をいつまでもさらしておくのは、忍びなくも感じられた。
そして、
切り株に
4月25日に伐採が行われた。あのような状態であった以上、妥当な措置だと考える。(こうなった原因であろう、1シーズンに2度も枝払いを行ったことについては疑問だが)
ただ、これで保戸野小学校からポプラの木がすべてなくなってしまったことになるはず。
グラウンド内から見て左側(児童館寄り)の木はほぼ完全に枯れ、右側の木はわずかに葉を出していたのだが、切り株の状態はどちらもほぼ同じだった。
切り株を見る限り、内部は極端な乾燥または腐食は認められず、青臭い(動物園の草食動物舎のような)臭いがした。
切り株の切断面は、どちらの木も直径90センチ前後もあった。数えられるような年輪は認められなかったが、ポプラは生長が速いからだろうか。
以前はぐるりとポプラ並木だったはず
かつてポプラがあった場所には、先代校舎時代に校庭にあった木が移植されたのか、現在はソメイヨシノやイチョウなどが植えられている。
古い切り株
今回伐採されたポプラの隣には、以前に伐採されたポプラのものと思われる切り株が朽ちつつあった。
なくなった木を今さらどうしようもないけれど、このポプラの「種(しゅ)」は何だったのか。
「ポプラ」というのはいくつかの種の総称。マダイもクロダイも「鯛」と呼ぶようなもの。
ポプラの場合、種の識別は難しく、種間雑種も存在し、専門家でも統一見解が定まっていないという。
一般には「セイヨウハコヤナギ(イタリアポプラ)」やその雑種がポプラの正体であることが多いそうだ。根元近くから枝分かれし、縦に長い樹形で、樹皮は比較的つるりとしている。北大の並木のほか、秋田市の城東中学校、山王中学校隣の公園のポプラがそれっぽい。
だけど、保戸野小学校のポプラは、樹形が違った。これは剪定方法などでなく、種の違いだったようだ。
(再掲)風にそよぐ葉の音が印象的だった
わりと上のほうから枝分かれし、横に広がっている。樹皮は縦方向にゴツゴツした凹凸があった。
おそらく「改良ポプラ」と呼ばれる雑種だったのではないだろうか。
「改良ポプラ」の定義には「イタリアポプラを品種改良したもの」「イタリアポプラなどヨーロッパ系とアメリカ系ポプラを交配したもの」など諸説あるようだし、それ以前にひとくちに改良ポプラといっても複数の系統があるとか。(Wikipediaでは品種改良されたポプラの総称が「改良ポプラ」だとしている)
ここにこういうポプラがあったことを記録しておきます。
※その後、秋田市内でこれとよく似たポプラを見つけた。