タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

トビ吉おじさんの視点~その1

2007年12月11日 | タカの渡り観察
 わが社のトビ吉おじさんはユニークなホークウォッチャーです。彼の話は示唆に富んでいて、タカの渡り研究の新しい視点を提示されているようにタカ長は感じています。私たちはタカの渡りについて何度も議論していますが、今日はそのはしりだけ紹介します。

渡りが成立する条件

 1:野鳥の持つ物理的な制約の中で
 2:野鳥の持つ生理的能力の中で

タカだけではありませんが野鳥の渡りが成立するのはこの二つの条件の中だけで可能です。どちらか片方、もしくは両方の条件が欠けてしまえば渡りは成立しません。

野鳥は空飛ぶ飛行物体です。飛行物体である以上物理の原理から逃れることはできません。野鳥が重力に対抗して空を飛ぶためには、揚力と言う野鳥を持ち上げる力が必要ですが、その揚力は野鳥の持つ翼の長さ、幅、形状などが大きく関係します。スピードも大切な条件で、野鳥は翼の先端部に気流の流れを感じていないと空を飛ぶことができません。

野鳥は生き物です。生き物である以上生理的な条件をクリアしないと渡りをすることができません。渡るために必要なエネルギーは脂肪の形で体内に蓄えていますが、野鳥がその体内に蓄えているエネルギー以上の力を出すことはできません。

以上2点は当たり前のことといえば当たり前のことですが、これまでの渡り観察、渡りの研究にはその当たり前の視点がややもすれば忘れられていたようにタカ長は感じています。トビ吉おじさんのその問題を目に見える形で証明しようと苦闘しています。

 トビ吉おじさんはタカを真下から写した写真と図鑑などで公開されている翼開長などのデータから翼の面積を試算しています。タカ長はその計算から見えてくることをいまやさしく説明することができませんが、詳細な説明は後日にさせていただきます。

 いずれにしても私たちが相手にしているタカは切れば血の出る生き物であると言う視点、飛行機と同じように重力に対抗して空を飛んでいる飛行物体であると言う視点、この視点を忘れてタカの渡りを議論することはできないと考えています。