村上ファンドが解散するそうな。
解散しようがしまいがどうでもいい話だが、イッシューは村上問題の本質は何であったのか、ということである。
村上氏がよく発言していたことは、物言う株主として経営者の企業経営姿勢に喝を与えて株式市場を活性化する、ということであったが果たしてそうであろうか、実態は、金に明かして株を買占め、経営支配を脅し文句に高値で株を買い取らせ巨額の利益を上げる手法しか見えてこない。
あるいはライブドアのホリエモンを焚き付けてニッポン放送を支配するまで株を買わせ、その高値に乗じて売り抜けるという手法である。
このこと自体は、何ら法律に違反するものではなく、資本の論理からいってある意味まっとうなことである。
但し、証取法ではインサイダー取引は法律違反であるから、東京地検はこれで村上ファンドを潰す手段に使った。
もっと明確に分かり易く言えば、村上氏をつぶす必要があったので、インサイダー違反でやっつけたということである。
村上氏いわく、<お金を儲けちゃいけないんですか?>村上氏の本音が出た瞬間、居並ぶ記者たちは声にならぬ押し殺した空気に変わった。
1時間半に及ぶ東証での記者会見である。
逮捕5時間前、村上氏はソクラテス最後の弁明のごとく熱弁をふるいながら身をよじった。
インサイダー取引違反によって村上氏は永久にシマから追放された。
<インサイダー取引なんて寝耳に水ですよ、検事さんに言われて初めてそうかなと思ったんです>
<言われてみれば、話を聞いちゃったんですよね、それがインサイダー取引だと言われればそうかも知れない>
<プロ中のプロである私が間違いを犯しました、すみません>
株式市場はカジノじゃない。巨額の資金にまかせて狙った獲物をがんじがらめにしていく手法は合法であるが掟破りである。
だから、村上氏はやられた。本質はこれである。村の掟を破る者は許さないという日本エスタブリッシュメントの断固たる決意である。
村上氏は逆手にとってしまった。法律に違反していなければ責められることはない。ルールに違反していなければ何をやってもよい。
会社経営者、従業員のことは無視してルールに反しなければ金を持っている者が勝ちだという論理は社会的に許されるものではない。
本質的に、やばいことをやっていた自覚があったからこそ、だから村上氏は、自社内のコンプライアンスには非常に気を使っていた。
表向き法律違反の疑いをかけられることは神経質なまでに徹底的に排除していたといわれる。
そんな中、検察最高幹部の2006年冒頭の挨拶は、額に汗水流す者が報われる社会でなければならない、という訓示であったという。
結果、ホリエモンがお縄になり、続いて村上氏がシンガポールから強制帰国させられ捕縛された。
かつて、兜町(シマ)では仕手グループが風雲のごとく現われては消えていった伝説の相場師が何人も存在したが、いずれも脱税容疑で権力に潰されていった。潰すために脱税でやられた。罪状は違っても、村上氏を潰すためにインサイダーを持ってきた。
シマの掟を乱す者は消される運命にある。
私は、アマ中のアマとしてテレビ中継を見ていたが、最後の東証での会見は村上氏にとって断腸の思いであったろう。切れ者として何も無いところから6千億円の金を動かせるまでになったことは並大抵のことではない。 (いろいろなカラクリはあるが、ここでは記さない)
そしてハプニングが起きる。東京拘置所から出所後、村上氏は一転、インサイダー取引の全面否認へ180度転換し、裁判闘争に入った。
東京地検特捜部が「約束が違う」と煮え湯を飲まされた形になったのは村上氏の在日台湾人としてのプライドのなせる業なのか。。
いずれにしても一人風雲児が消えた。
おっと最後に、村上さん、金儲けは悪いことじゃない、
だけど押し入り強盗みたいなことはやっちゃいけないよ、
お天道様は空から見ているって昔からいうじゃないか。 デデンデン