光山鉄道管理局・アーカイブス

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鉄道ミステリとNゲージを語る13「急行出雲」から

2016-08-21 05:10:05 | 小説
 今回は鮎川哲也の「急行出雲」から

 大阪で起きた殺人事件の容疑者が出雲に乗車したアリバイを主張、所が該当の車両の客は誰ひとりとして被疑者を見ていない。
 被疑者は本当に出雲に乗っていたのか、もしそうならアリバイは何故消されたのか。
 これが本作の大まかなあらすじです。


 本作の肝は列車編成で素人がイメージしがちな思考の盲点を突いたところ(編成ファンなら常識でしょうが)にあります。
 これを応用して幽霊車両を設定できるという点では意外と応用範囲の広いトリックかもしれません。

 解説で作者自身が述べている様に本作のもうひとつの肝(こちらが実はメインですが)は真犯人が被疑者に掛けた「アリバイ消失のトリックを見破る所」にあります。
 今でこそこういう構成はそれほど珍しくない(特に倒叙推理が増えている現状では尚更です)でしょうが当時は探偵の側が被疑者のアリバイを立てようとする構成はそれなりに目新しかった気もします。

 余談はそれ位にして
 「出雲」と言うと今なら「サンライズ」と付きますが(笑)歴代の出雲はブルトレあり、キハ58ありと結構バラエティに富んでいます。
 本作が書かれた当時の「出雲」は調べた範囲では「DF50が牽引する10系客車主体」の頃の様です。


しかも調べた範囲ではこれが書かれた当時の牽引機は電化区間ではEF58、非電化区間では先述のDF50の他にC51や時期によってはC12が牽引していたこともあったとか。
 東京を出る時は結構な長編成ですがあちこちで切り離されて徐々に短くなってゆくと言うこの編成の特徴がよく出たはなしですね。

 私の手持ちでこれが再現できるかと思ったのですがフル編成では「ナハ11が大量に必要」なのにうちの手持ちがナハフを入れてもたった3両だったので早々と挫折。
 結局「それっぽい編成」のレベルにとどまります。


 あの頃の長距離急行は分割併結当たり前みたいな所がありましたし、多客期や団体扱いで増結車が加わる事もそう珍しくなかった時期ではあります。
 そんな背景を念頭に置いてレイアウトやお座敷運転なんかで同様の編成を組んでみるのも面白い気がします。

 「架空の小説の通りの列車編成」というのは実車準拠が幅を利かせている最近の模型運転では結構大穴の様な気もしますし(笑)