tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

泣ける曲

2007-06-10 10:53:01 | プチ放浪 都会編

Broach管理ツール - アクセス解析のところの”検索語集計”。
GoogleやYahooなど検索ソフトが、自分のブログページにヒットした時の検索キーワードが調べられることはご存知だろう。
このキーワードを見ていると、どんなことに興味を持って検索ソフトを使っているのかを知ることができて結構興味深い。
つい、この前、ぼくのブログページでいつもと比べて異常な回数で検索に引っかかったのは”愛はかげろうのように”というキーワードだった。
どうやら、検索主は深夜の2時ごろに シャーリーンの歌う”愛はかげろうのように”の歌詞を調べたくて検索したようだ。
この歌は前にも書いたが、’80年代を代表する1曲で、何度聞いても泣ける曲だ。
彼女(彼)がネットを検索したのは、いろいろな状況が考えられるが、深夜2時ごろの検索だったので、検索をしている相手は中学生や高校生の可能性は低いだろう。
考えられるのは、結婚式によく使われる曲なので、その歌詞の意味を確かめるためと思われる。ちょうど、6月に入ったばかり、ジューンブライドの季節だ。彼女(彼)が、
ぼくのブログを訪れてくれたのも何かの縁、幸せになって欲しい。
あるいは、大学生が”愛はかげろうのように”の英語の歌詞の翻訳を宿題に出されたのであろうか。それならば、あちこちのサイトで和訳が出ているから答えを見つけるのは簡単だろう。
またひとつの可能性として、『社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC』が著作権を侵害していないかどうか調べていることも考えられないわけではない。もし、そうなら、ぼくのブログのページにある数々の歌詞の引用が、著作権法上の「引用」に該当するかどうかは自信がない。
http://pub.ne.jp/tetujin/?entry_id=536672
さて、今年の2月に書いたこのページ。自分でもどこに記事があるのか、なかなか見つけられない。
と言う事で、ぼくのブログのページを見つけるためにgoogleで実際に調べてみた。

『愛はかげろうのように シャーリーン』の検索結果 461 件中 461 - 461 件目 (0.19 秒)
”最も的確な結果を表示するために、上の461件と似たページは除外されています。
検索結果をすべて表示するには、ここから再検索してください。”

なんだあ?
ぼくのブログのページは 除 外 さ れ て る じ ゃ な い で す か!
たしかにね。ブログのページに対する検索は、その月のまとめのページに対して行われており、つまり、いくつか記事が書かれてある中での検索となるから検索でヒットはするものの、ページの重みがあまりないのかも知れない。
それならば。普通のブログページでは、英語のスペルで書かれることはあまりないから、それで検索してみる。

『Charlene 愛はかげろうのように』の検索結果 約 1,070 件中 221 - 230 件目 (0.19 秒)
tetujin's blog: 愛はかげろうのようにCharleneが歌った「愛はかげろうのように 作詞:Ron Miller, Ken Hirsch/ 作曲:Ron Miller, Ken Hirsch」 昨日のブログに書いたように、映画「プリシラ(The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert.)」でGloria Gaynorの「I Will Survive」 ...
pub.ne.jp/tetujin/?entry_id=536672 - 34k - 補足結果 - キャッシュ - 関連ページ

うむう!ぼくのブログページがヒットしたけど、230件目。(ρ_;)・・・・ぐすん。これって、一番最後じゃないですか。
恐るべし、検索ソフト。有用なページと不要なページを選り分けて、検索合致順位を決定しているようだ。
かくして、ぼくはシャーリーンのこの曲で 泣 い た。

そして今、気がついた。”愛はかげろうのように”をキーワードとして深夜2時に検索している相手を、ジューンブライド「6月の花嫁」さんと決め付けていたが、酔っ払って帰ってきた土曜日の深夜の3時ごろに同じキーワードで検索しているぼくっていったい・・・・・・。かくして、ますます、ぼくのブログのページの検索によるヒット数は上がっていったのだった。検索ソフトからは探せないにもかかわらず・・・・・・orz
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ナイトオンザプラネット

2007-06-09 23:51:11 | cinema

限られた時間の小さな箱の中にたくさんの人生を乗せて、タクシーは今日も走っていく。
中島みゆきはタクシードライバーと言う曲の中で
「タクシー・ドライバー 苦労人とみえて
あたしの泣き顔 見て見ぬふり
天気予報が 今夜もはずれた話と
野球の話ばかり 何度も何度も 繰り返す」
と歌った。

でも、ぼくは、カウンターの向こうの泣き顔の客に何も言えず、うつむくばかりだ。こんな時、気の利いたジョークのひとつも言えたらと思う。こんな時、慰めてあげる言葉が見つかればと思う。何も言えずに、そっとおかわりのグラスを差し出す。彼女は泣き止まない。ただ、カウンターの向こうで時がいつものように流れていく。

映画「グランドホテル」では、それぞれ異なった事情を抱えた宿泊客が織り成す群像劇を鮮やかに描いた。
だけど、事情を抱えるのは客ばかりじゃない。当然、ドライバーだって、いろいろな事情を抱えながら、それでも仕事にしがみついて、仕事してなけりゃどうにかなりそうで、やってけなくてハンドルを握る。どんなにつらくても、顔に出すわけにはいかない。彼らはプロのドライバーなのだ。

この映画は、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの街中を流す訳ありのタクシードライバーと乗客を描いたオムニバスだ。世界同時刻という設定だから、時差の関係でアメリカは夕刻だがヨーロッパでは明け方となる。それぞれの都市で個性的なエンジン音が響く、いろんな車種のタクシーが夜のしじまを抜けていく。車種同様、ドライバーもその都市、その都市の事情に合わせて、非常に個性的だ。長い夜が明けてタクシードライバーたちは、家族の待つ我が家へ帰っていく。そこは、ドライバーをやさしく迎えてくれる場所だ。


オズの魔法使い

2007-06-08 23:03:11 | cinema

原作の「オズの魔法使い」は、1900年にライマン・フランク・ボーム(Lyman Frank Baum)によりミュージカルとして執筆された。当時のアメリカでは、19世紀後半の目覚しい工業化の進展によりGNPが1890年から1930年までに約3倍に増えた。工業化する社会では資本と生産が集中し、その結果、巨大化した企業による市場の独占が進むようになった。これらの企業によって新しく中産層が生まれた時代である。ちなみに日本の高度経済成長時のGNPは、1955年から1975年までの20年間に約2倍になっているから、当時のアメリカも国民のみんながイケイケになっていた時代だったのかもしれない。
そんな社会背景から生まれたこの作品は、それまでの児童文学の代表であるグリム童話(1812年)やアンデルセン(1805-1875年)の童話に見られる教訓めいたストーリーや、魔女が暗躍するおどろおどろしい内容を排除した純然たるファンタジーとして描かれている。好調な国際経済の中の独占資本主義のもとで起こった数多い社会問題に対して、ユートピアを掲げて革新を目指すのは、行き過ぎた社会に対する反動なのだろうか。この作品を契機に、ファンタジー小説の分野が確立され、2年後にはネバーランドの原作であるジェームス・マシュー・バリーの戯曲『小さな白い鳥』(第13章から第18章にピーターパンが登場。なおモデルはデイヴィス夫人シルビアと長男のジョージとされる)がイギリスから出版された。その後、この流れは映画「ネバー・エンディングストーリー」や「天空のラピュータ」に続くのだろう(本来は政治に対する風刺文学の一つとして書かれたガリバー旅行記(1726年)は除く)。
良質なファンタジー文学や児童文学は、日常の暮らし中でいつしか置き去りにしてきてしまった大切なものに気づかせてくれる。

さて、見渡すかぎりすべて灰色にくすんで見えるアメリカのカンザスに少女ドロシーは住んでいる。叔父と叔母は生活に疲れ果てて、笑うことも忘れてしまったかのような毎日だ。物語はまさにそうした現実との直面から始まる。その土地を襲う竜巻で、少女の家は宙に浮かび不思議な美しさに満ちた国に飛ばされる。灰色の世界から、そこには一気に光り輝く緑の世界がひろがっている。だれもがあこがれるユートピアだ。
「オズの魔法使い」を求めてドロシーが旅する中で出会う案山子にも、ブリキの人形にも、臆病なライオンにも、それぞれに切実な望みがある。これらを求めひたすら進む彼らは、そのままアメリカの社会を表しているのだろう。また、彼らが手に入れようとしているもの、案山子の脳(知識・思考)、ブリキの人形の心臓(愛・心)、臆病なライオンの勇気、そしてドロシーのマイホーム回帰の願いは、アメリカで末永く求められ続ける価値だ。
やっと突きとめたオズの魔法使いの正体は、実はにせの魔法使いであり、もとは気球乗りであった。魔法使いの魔法はただのすりかえ、その場しのぎのごまかしにすぎなかった。ドロシーが膨らませていた夢は、急速に萎んでいく。「魔法使い」が自称「ペテン師」のただの人間であったことは、現実の世界を反映した皮肉な結末と言える。もちろん、チャーリー・チャップリンがモダンタイムスで痛烈に風刺した、資本主義社会で人間の尊厳が失われ機械の一部分のようになっていることもその背景の一部だ。

But anyway, Toto, we're home! 
Home!
And this is my room, and you're all here!
And I'm not going to leave here ever, ever again, because I love you all!
Auntie Em, there's no place like home!

ああ、でも、トト、私たちわが家にいるのよ!わが家!わが家!ここが私の部屋で、あなたがここにいる。
もう二度とうちを離れないわ!だって、私、みんなを愛しているんですもの!
それにエムおばさん、わが家ほどいいところはないわ!

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ナチュラル・アボーン・キラー(3)

2007-06-07 19:51:01 | 日記

睡眠導入剤ハルシオンは、ネットを探せば結構売人が見つかる。
ハルシオン(トリアゾラム)は 血中濃度半減期が最も短いベンゾジアゼピン系の薬物だ。睡眠作用の他に、抗不安作用もある。このため、ハルシオンは心療内科などでは向精神薬としてよく処方されている。病院からもらったハルシオンを飲まずにためて、闇で販売している売人がいる。「ハルシオン売ります」っていうサイトがそれだ。ハルシオンは数千錠では致死量に至らない。また、100万錠を超えるという言う致死量を飲むとするとかなりの水が必要になるので、胃がパンクしてほとんど吐いてしまう。オンナは見たところ、20錠も飲んでいるのだろうか、これじゃあ酒に酔ったようなもうろう状態を生ずるだけだ。
肩を強く揺すると、オンナはまぶたを開けた。が、まぶたには力なく、再び上下のまぶたは閉じる。起きながら夢見てる感じなのだろう。声を掛けると目を閉じたまま一応返事はする。受け答えは頼りないが呼びかけに対し返事は全部あるし、さらに自殺などやばい事を起こさない程度の理性は残っていそうだった。
オレは、オンナをベッドから引き起こすと、浴室まで引っ張っていって、念のため、オンナの口の奥に指を突っ込み、胃の中のものを吐かせた。オンナは足元がフラフラなまま、吐くのを嫌がっていたが、後ろから両手をオンナの体の前に回し、コブシをへその上の胃のあたりに当て、上の方へすばやく押し付けたらすんなり浴槽の中へ吐いた。崩れ落ちたオンナは、わけの分からないことを言って泣き出した。
リストカットの衝動の原因は愛情対象の喪失であり、その背後には分離不安から来る精神的な自立への拒絶がある。周囲の人たちを心配させたり困らせたりして関心を自分だけに引き付けようとして、自分の手首に怒りをぶつけるのだ。あるいは、辛い思いを振り払い、思考回路から切り離そうとして手首を傷つける。だから、リストカットは自殺にまでいたるケースは少ない。しかし、後からわかったオンナの職業を考え合わせれば、このときのオンナの意識の底には自殺してはいけないという強い意識があるものの、リストカットを繰り返してしまう自分の弱さに絶望し、永遠の死を選択したのかもしれない。その後始末は、見ず知らずのオレに任せるつもりで・・・・・・。

ベッドにうつぶせになり、泣き出した女に向かってオレは言った。

「て め え、今 度、自 殺 し よ う と し た ら、 ぶ っ こ ろ す」

どうせ、明日になれば一時的な記憶喪失になっていて、今日のことはナンにも覚えていないだろう。泥酔した酔っ払いと同じだ。自殺に失敗したこいつは、もうリストカットなどしないだろう。また、客の一人が減った。オレはオンナの部屋を出ると、大きくため息をついた。朝からの雨は、まだ降り続いていた。また、ずぶぬれになって駅に戻らなくてはいけない。オレは生きていくのがイヤになった。
だ れ か、 お れ の 手 首 を 切 っ て く れ。
終わり


ナチュラル・アボーン・キラー(2)

2007-06-06 20:00:16 | 日記

実は、先月つかんだ客、コイツが問題だった。いつものように香港の病院に送り込んで、人間ドッグで徹底的に健康状態を調べた。この費用は、代金の半分をもらった前金で支払った。香港の病院に押し込むのは、病院のカルテから足がつくのを避けるためだ。だから、健康保険が使えないので診察料は目が飛び出るほど高い。が、用心にこしたことはない。
24歳のそのオンナは、精神に異常があるものの、末期的な虫歯が1本 がある以外健康上の問題はなかった。オンナの健康状態に関しては徹底的に調べたのだが、ただ、オレはヤツの経歴を調べるのを忘れていた。オンナはピイー・オー・エル・アイ・シー・イー、つまりポリスだったのだ。警察のおとり捜査だったのなら、諦めもつく。オンナはまじで境界性人格障害で苦しんでいた。リストカットを何回か試みて、それでも法律違反での逮捕はなんとか免れていたようだ。警察元暗し。もとい灯台下暗しってやつだ。

オンナとの契約内容の決行の日、朝から降り続く雨に嫌な予感がしていた。オンナは、一人暮らしのマンションに住んでいた。事前にオンナのケータイにフリーのメアドを使ってメールしたのだが、いつもはすぐに来る返事がなかった。オレは、雨に打たれてずぶぬれになりながらも念のためオンナのマンションに行って見ることにした。契約後に気が変わって、決行前に契約をキャンセルするケースもないわけではない。契約後の1週間はクーリングオフが可能ってやつだ。もちろん、この場合はもらった前金は返さない。その代わり、残りの金は諦める。それが、ヤミの商売ってヤツだ。

契約の決行の日に、患者と連絡が取れないというのは始めてのケースだった。このまま、シカトしてトンズラする手もあるが、へたに相手に開き直られて騒ぎにでもなれば今後の商売に差し支える。一応、契約実行のための努力をした形跡を残せば、客に誠意を示すことができる。オレは新聞の勧誘を装って、オンナのマンションの前に降り立った。花粉症用のでかいマスクをした上に、ニューヨークヤンキースの野球帽を目深にかぶって人相がばれないようにしている。マンションの玄関はロック式になっていた。しかし、しばらく待っていれば入居者が出入りするので、ドサクサに紛れて侵入することは可能だ。オレはオンナの部屋の前にたどりついた。部屋のドアの呼び鈴を押すが返事がない。ためしにドアノブを回してみると、それはすっと開いた。
「ごめんください」
「・・・・・・」
オレはすばやくドアの内側に体を滑り込ませた。たぶん、エレベーターの監視カメラに写った以外には、この部屋に入ったところを誰にも見られてはいないはずだ。
部屋の入り口から見える部屋の中は、オンナの趣味なのだろうカントリー調の家具が揃っていて、なによりも若い女性の生活臭がする。シャンプーの香りと、若干、生ゴミの混ざったような匂い。嫌なにおいではない。
「ゴメン・・・・・・ください」
オレは念のため、もう一度部屋の中に声を掛ける。緊急事態が発生したら、いつでも逃げられるように準備をしながらだ。しかし、入り口から見えるキッチンとその横のバスルームには人の気配がなかった。間取りは1Kってやつ。奥の部屋は引き戸が閉じられて入り口からは部屋の中が見えない。オレは靴を脱ぎ、入り口の脇にあるバスルームを確かめた。脱衣所の灯りをつけると、洗濯機のフタが開いているのが見えた。思わず本能的に洗濯機の中身をチェックしそうになったが、それは後でも可能だ。いまやる必要はない。浴室とトイレをを覗き込むと中は無人だった。掃除がキチンと行き届いている。オレは、奥の部屋のドアを注意深く開けた。オンナはベッドでゼーゼー言いながら仰向けに寝ていた。布団から部屋着であろうピンクのスウェットを着た上半身が苦しそうに動いているのが見えた。ベッドの脇のテーブルには飲みかけの缶ビールが置かれ、大量の開いたラミネート小袋が散乱している。ラミネートにはハルシオン0.25mg錠と印刷されている。明らかに眠剤だ。これだから素人は困る。

続きは明日。