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兵庫県豊岡市・入佐山3号墳 過去に出土の砂鉄は「浜砂鉄」 4世紀後半に製鉄が行われた可能性も

2009年09月04日 | Weblog
 県立考古博物館は19日、同市出石町の4世紀後半(古墳時代前期)の入佐山(いるさやま)3号墳から1988年の発掘調査で出土した砂鉄が、日本海の海岸で採取されたものとしては国内最古の「浜砂鉄」と分かったと発表した。
 入佐山3号墳は4世紀後半の築造とされる大型の方墳で、砂鉄は、1988年の発掘調査で、木棺の被葬者の頭部付近で約150gが壺に入れられて見つかっていた。副葬品として発見されるのは唯一の例という。製鉄に使われていたとすれば、6世紀後半とされる国内の製鉄開始時期から200年近くさかのぼることになるため「古代日本の製鉄事情を解明するうえで貴重な資料」としている。
 今回分析した京都国立博物館は、砂鉄は不純物が極めて少ない磁鉄鉱材(マグネタイト)で、チタンが約6%含まれており、粒径0・23mm程度で角がとれ丸みを帯びていることから、浜砂鉄の可能性が高い。採取地は特定できないが、山陰から北陸地域にかけての日本海沿岸地域が有力としている。
 製鉄遺跡以外の遺跡からの砂鉄の出土例は、ほかにも9カ所(注1)あるが、こうした分析は行われていない。考古博は、今後ほかの遺跡で分析が進めば、砂鉄の用途などが解明できるかもしれないと期待する。
 (注1)長野県・円光坊遺跡(縄文時代晩期)、徳島県・矢野遺跡(古墳時代前期初頭)、千葉県・一本桜南遺跡(古墳時代前期初頭)、滋賀県・雪野山古墳(古墳時代前期)など
 この砂鉄が製鉄に使われた証拠はないが、砂鉄以外にも鉄剣、鉄鏃、鉄斧など多くの鉄製品が副葬されており、さらに伝説の王子アメノヒボコに象徴される渡来人集団との関係が注目されるため、被葬者と製鉄・鉄器生産のつながりも議論になる。
 砂鉄の分析結果などは8月22日、豊岡市日高農村環境改善センターでの講座「アメノヒボコ 遺跡と伝承」で説明された。
[参考:2009.8.19神戸新聞、2009.8.20毎日新聞、産経新聞、2009.9.3朝日新聞、兵庫県立教育研修所HP]
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