Q.いわゆる取締役選任権付種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において選任された取締役の任期は、約2年後の「定時株主総会の終結の時」に満了するのか、あるいは「種類株主総会の終結の時」に満了するか?
A.会社法第332条第1項本文の規定どおり、「定時株主総会の終結の時」に満了する。
取締役選任権付種類株式を発行していない株式会社においても、任期満了によって改選される取締役は、定時株主総会で選任しなければならないものではない。事前に臨時株主総会を開催して、選任決議を行い、就任時期を定時株主総会終結後としておくことも可能である。単に取締役を選任する決議を定時株主総会において行っているだけに過ぎない。
会社法第332条第1項本文の規定は、任期満了の時点を「定時株主総会の終結の時」と定めるもので、その後に就任又は重任する取締役を選任する「総会」(定時、臨時or種類株主総会)とリンクしないのである。
なお、この場合における取締役の変更の登記申請においては、
① 取締役の退任を証する書面として、定時株主総会議事録等
② 取締役の選任を証する書面として、種類株主総会議事録
の添付を要することになる。定時株主総会終結後に種類株主総会を開催している場合には、種類株主総会議事録にその旨の記載があれば、種類株主総会議事録のみで足りるであろう。議事録の記載によっては、定款の添付が要求される場合もあり得る。
この理は、取締役選任権付種類株式を発行していない株式会社においても当てはまるのであるが、定時株主総会において取締役を選任する決議を行うのが通常であることから、①及び②の書面が定時株主総会議事録で足りているだけである。