成年後見制度利用促進委員会
http://www.cao.go.jp/seinenkouken/iinkai/index.html
第9回会議の配付資料「成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度の見直しについて(議論の整理)(案)」が公開されている。
3.権利の制限に係る措置の分類及び見直しの方向性
(3)法人役員等について
法人に対する国又は地方公共団体の監督等が規定されている法人については、役員等の欠格事由から成年被後見人等を削除するとともに、必要に応じ、個別審査規定等を整備すべきである。
法人に対する国又は地方公共団体の監督等が規定されていない法人に係る法律については、その監督や代替措置の在り方について、更に検討することが必要である。会社法については、欠格条項を削除することに伴う会社法制上及び実務上の影響等を踏まえた代替措置の必要性及びその内容等について、法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会における意見聴取等を行うべきである。その上で、平成30年度中に法制審議会からの答申を得て、その後、速やかに国会提出することを目標としている会社法の改正法案には、欠格条項の見直しに関する規定も併せて盛り込む方向で検討を進めるべきである。また、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の欠格条項の見直しについても、会社法の欠格条項の見直しを踏まえ、代替措置の必要性及びその内容等について検討を行うべきである。
※ 思わぬ形で,会社法改正の論点が提案されている。そもそも,取締役と株式会社の関係は,委任に関する規定に従う(会社法第330条)ものとされており,取締役に就任することを承諾する行為は,委任契約の締結である。就任承諾にさえ,後見人の代理が必要なのであるが・・。また,取締役は,株式会社に対して善管注意義務を負っており,成年被後見人及び被保佐人がこの義務を十分に履行することは困難である。成年被後見人又は被保佐人が,徒に会社法第423条,第429条,第430条等の損害賠償責任を負わされることにもなりかねない。よって,欠格条項を削除するのは,妥当ではないと考える。