司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

チェンジオブコントロール条項による吸収分割の場合の違約金請求を否定する賃借人の主張が信義則に反するとされた事例(最高裁決定)

2017-12-26 21:43:33 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成29年12月19日第3小法廷決定
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87338


【判示事項】
賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができる賃貸借契約において賃借人が吸収分割により契約上の地位を承継させた場合に,同吸収分割を理由に違約金債務を負わないとの当該賃借人の主張が信義則に反するとされた事例


「本件賃貸借契約においては,相手方(※賃貸人)と抗告人(※賃借人)との間で,本件建物が他の用途に転用することが困難であること及び本件賃貸借契約が20年継続することを前提に相手方が本件建物の建築資金を支出する旨が合意されていたものであり,相手方は,長期にわたって抗告人に本件建物を賃貸し,その賃料によって本件建物の建築費用を回収することを予定していたと解される。相手方が賃貸借契約において,抗告人による賃借権の譲渡等を禁止した上で本件解除条項及び本件違約金条項を設け,抗告人が契約当事者を実質的に変更した場合に,抗告人に対して本件違約金債権を請求することができることとしたのは,上記の合意を踏まえて,賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえる。そして,抗告人も,相手方の上記のような意図を理解した上で,本件賃貸借契約を締結したものといえる」

「さらに,法は,吸収分割会社の債権者を保護するために,債権者の異議の規定を設けている(789条)が,本件違約金債権は,本件吸収分割の効力発生後に,相手方が本件解除条項に基づき解除の意思表示をすることによって発生するものであるから,相手方は,本件違約金債権を有しているとして,抗告人に対し,本件吸収分割について同条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない」

「以上によれば,抗告人が相手方に対し,本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは,信義則に反して許されず,相手方は,本件吸収分割の後も,抗告人に対して同債務の履行を請求することができるというべきである」


 本決定は,一般論として,会社分割による賃借権の承継の場合に,チェンジオブコントロール条項による解除が認められることを肯定しているように思われる。そして,違約金請求について,会社分割による承継前の元賃借人に対する請求を認めた点に意義を有する,という理解か。
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平成28年分の相続税の申告状況について

2017-12-26 18:29:29 | 税務関係
平成28年分の相続税の申告状況について
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/sozoku_shinkoku/index.htm

「平成28年中に亡くなられた方(被相続人数)は約131万人(平成27年約129万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人(平成27年約10万3千人)で、課税割合は8.1%(平成27年8.0%)となっており、平成27年より0.1ポイント増加しました。」
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所有者不明土地問題に関する日経の調査

2017-12-26 09:31:39 | 空き家問題&所有者不明土地問題
日経調査
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25048930V21C17A2EA1000/

「全国の市長・区長を対象にした日本経済新聞の調査で、所有者が分からない土地や空き家に関し、何らかの問題を抱えている自治体が約8割に達した。」(上掲記事)

 意外に少ないですね。


「空き家対策の方向性を示す「空き家等対策計画」については「既に策定した」が37%、「策定を予定している」も46%ある一方、「策定していない」も15%あった。」(上掲記事)

 こちらもやや動きが遅い感。
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