司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

ハーグ条約国内実施法による子の引渡しに関する終局決定の事情変更による変更

2017-12-28 10:46:58 | 国際事情
最高裁平成29年12月21日第1小法廷決定
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87349

【判示事項】
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき子の返還を命じた終局決定が同法117条1項の規定により変更された事例


cf. 讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171228-OYT1T50024.html?from=ytop_main6

「国外に連れ去られた子の扱いを定めたハーグ条約に基づき、父がいる米国に子を返すよう命じて確定した裁判所の決定について、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は21日付で、確定後に父の養育態勢が悪化したことを理由に返還を命じない決定をした。」(上掲記事)

 事情の変更による「終局決定の変更」の手続が用意されているんですね。


cf. ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)と国内実施法の概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000843.html

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
 (終局決定の変更)
第117条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第107条第2項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。
2~6 【略】
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「不動産登記の早期義務化を」

2017-12-28 10:17:23 | 不動産登記法その他
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25154300X21C17A2TCR000/

 本日の日経朝刊第6面「中外時評」に,「不動産登記の早期義務化を」がある。論説委員谷隆徳氏の執筆であり,増田研究会の最終報告書等を取り上げて,「早期義務化を」という提言である。

 紹介されている「登記されないことが(様々な問題という)外部性をもたらしているのだから,公共政策的な観点から見直す必要がある」(北村喜宣上智大学教授)の指摘は,正鵠を射ているが,「穴が開いたバケツのような現在の登記制度をそのままにしては事態は改善しない」(谷論説委員)の言は,いかがなものか。

 何をもって「穴が開いたバケツのような」という比喩なのか,文脈からは明らかではない。

 とまれ「公共政策的な観点からの見直し」が進み,よりよい登記制度が構築されることを期待したい。司法書士界としても,積極的に提言していかなければ,です。
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新たな「高齢社会対策大綱」の骨子案

2017-12-28 09:55:33 | いろいろ
新たな「高齢社会対策大綱」の骨子案についての御意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095171420&Mode=0

「今後、我が国は、これまで経験したことのない人口減少社会、高齢社会に入っていく。人口の高齢化に伴って生ずる様々な社会的課題に対応することは、高齢層のみならず、若年層も含めた全ての世代が満ち足りた人生を送ることのできる環境をつくることを意味する。こうした認識に立って、各般にわたる取組を進めていくことが重要である。
 このため、高齢社会対策基本法第6条の規定に基づき、政府が推進すべき基本的かつ総合的な高齢社会対策の指針として、この大綱を定める。」

 意見募集は,平成30年1月5日(金)まで。
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消費者教育の推進に関する基本的な方針の変更案

2017-12-28 09:51:57 | 法教育
消費者教育の推進に関する基本的な方針の変更案に関する御意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235090007&Mode=0

 意見募集は,平成30年1月26日(金)まで。
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本日の京都は,激寒。

2017-12-27 20:34:17 | 私の京都
 本日の京都は,激寒。最高気温が4.3℃,最低気温が2.0℃。明日の朝が恐ろしい・・。
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法務省大臣官房国際課の新設

2017-12-27 16:54:46 | 国際事情
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年12月22日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00962.html

〇 大臣官房国際課の新設に関する質疑について
【記者】
 今度,新設される大臣官房国際課について,司法外交を推進するための司令塔機能ということですが,もう少し具体的にどのような働きを大臣が期待されているのか教えてください。あと現在,刑事局に国際課がありますが,同じ省内に国際課という名前の課が併存することについて教えてください。

【大臣】
 今回の決定により,大臣官房に国際課が新設されることは大変大きな意味があると思っています。現在,法務省が直面している国際的課題に的確に対応し,また司法分野における国内外の施策を総合的・戦略的に推進していくためには,司令塔機能を担う組織というものを新設することが大変重要であり,そうした判断の中で司法外交推進の司令塔役という位置付けで,この課を新設することになりました。この大臣官房国際課の新設により,官房の国際機能を担う組織体制を強化するということですが,司法外交の推進の目的である法の支配等の普遍的価値を各国に浸透させ,国内外の経済成長を支える司法インフラを整備することで国際社会における我が国のプレゼンスを高めることにも資するものであると考えています。また,国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)が2020年に我が国で開催される予定であり,これを司法外交元年と位置付けて,日本型司法制度の国際的な競争力を高めるための取組等を総合的・戦略的に推進していく上で,大臣官房国際課の果たす役割は極めて大きなものがあると思っています。新設後ですが課長以下20名体制の下,当面は今申し上げたとおり2020年に我が国で開催予定であるコングレスの準備,2点目としては国際仲裁の活性化のための必要な基盤整備に向けた取組,3点目としては戦略的な法制度整備支援の更なる推進,4点目としては戦略的な国際機関等への法曹人材の派遣と,数々の国際関係業務に対して総合的・戦略的な企画,立案等を行っていくことを念頭に置いています。御指摘の刑事局の国際課との併存についてですが,刑事局国際課は管理官室として継続し,主として刑事実務に関連する国際業務を担当するということです。各部局にもそれぞれ国際を担当していた部署が組織的にありました。それを司令塔で総合的・戦略的にまとめ上げながら全体としての効果をしっかりと発揮し,そして対外的にも窓口一本の中でオール法務省全体として,こうした内外の国際戦略にしっかりと対応できるように組織的にも強化していきたいという思いがあり,官房国際課の設置後,同課が直ちに実行部隊としての働きができるように全力を尽くしてまいりたいと思っています。
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土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

2017-12-27 16:50:36 | 不動産登記法その他
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年12月22日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00962.html

〇 税制改正大綱に関する質疑について
【記者】
 「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設」について,概要と大臣の御所感についてお聞かせください。

【大臣】
 今回の税制改正の大綱に盛り込まれた免税措置ですが,2つの観点から平成32年度までの期間で適用されるものとして創設される見込みです。一つ目は,既に相続登記が放置されているおそれのある土地への対応の観点から,例えば,二次相続まで発生している土地について,その一次相続についての相続登記の登録免許税は免税するというものです。二つ目は,今後相続登記が放置されるおそれのある土地への対応の観点から,一定の資産価値が低い土地についての相続登記の登録免許税は免税するというものです。相続登記について税制上の措置が盛り込まれたということは,政府の中でも相続登記の促進は極めて重要な施策であるという位置付けがなされたものと受け止めており,国会での審議を経たあかつきには,この免税措置の周知・広報に努め,相続人に免税措置を積極的に活用していただき,相続登記の促進について,より一層拍車をかけてまいりたいと思っています。

cf. 平成29年12月24日付け「平成30年度政府税制改正大綱が閣議決定」
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裁判手続等のIT化の検討に当たって考えられる論点整理

2017-12-27 14:25:47 | 民事訴訟等
裁判手続等のIT化検討会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/

 第3回会議が開催され,会議資料が公開されている。また,第1回会議の議事要旨も公表されている。
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懲戒請求の形で弁護士会の会務活動そのものに対して反対の意見を表明し,批判するもの

2017-12-27 05:55:44 | いろいろ
日弁連「全国各地における弁護士会員多数に対する懲戒請求についての会長談話」
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171225.html

「近時、当連合会や弁護士会が一定の意見表明を行ったことについて、全国の21弁護士会に対して、800名を超える者から、その所属弁護士全員を懲戒することを求める旨記載した書面が特定の団体を通じて送付されてきている。これらは、懲戒請求の形をとりながらも、その内容は弁護士会活動に対して反対の意見を表明し、これを批判するものであり、個々の弁護士の非行を問題とするものではない。弁護士懲戒制度は、個々の弁護士の非行につきこれを糾すものであるから、これらを弁護士に対する懲戒請求として取り上げることは相当ではない」

東京弁護士会「当会会員多数に対する懲戒請求についての会長談話」
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-487.html

「日本弁護士連合会および当会が意見表明を行ったことについて、特定の団体を介して当会宛に、今般953名の方々から、当会所属弁護士全員の懲戒を求める旨の書面が送付されました。
 これらは、懲戒請求の形で弁護士会の会務活動そのものに対して反対の意見を表明し、批判するものであり、個々の弁護士の非行を問題とするものではありません。弁護士懲戒制度は、個々の弁護士の非行につきこれを糾すものであって、当会は、これらの書面を懲戒請求としては受理しないこととしました」

 第一東京弁護士会,第二東京弁護士会及び大阪弁護士会も,同様の会長談話を公表している。
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民泊ガイドラインの策定

2017-12-27 05:45:27 | いろいろ
「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」を策定 by 観光庁(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000344.html

「民泊サービスについて、一定のルールの下、その健全な普及を図るため、住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)が、本年6月16日に公布されました。
 今般、住宅宿泊事業法に係る解釈、留意事項等を「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」としてとりまとめました」
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チェンジオブコントロール条項による吸収分割の場合の違約金請求を否定する賃借人の主張が信義則に反するとされた事例(最高裁決定)

2017-12-26 21:43:33 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成29年12月19日第3小法廷決定
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87338


【判示事項】
賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができる賃貸借契約において賃借人が吸収分割により契約上の地位を承継させた場合に,同吸収分割を理由に違約金債務を負わないとの当該賃借人の主張が信義則に反するとされた事例


「本件賃貸借契約においては,相手方(※賃貸人)と抗告人(※賃借人)との間で,本件建物が他の用途に転用することが困難であること及び本件賃貸借契約が20年継続することを前提に相手方が本件建物の建築資金を支出する旨が合意されていたものであり,相手方は,長期にわたって抗告人に本件建物を賃貸し,その賃料によって本件建物の建築費用を回収することを予定していたと解される。相手方が賃貸借契約において,抗告人による賃借権の譲渡等を禁止した上で本件解除条項及び本件違約金条項を設け,抗告人が契約当事者を実質的に変更した場合に,抗告人に対して本件違約金債権を請求することができることとしたのは,上記の合意を踏まえて,賃借人の変更による不利益を回避することを意図していたものといえる。そして,抗告人も,相手方の上記のような意図を理解した上で,本件賃貸借契約を締結したものといえる」

「さらに,法は,吸収分割会社の債権者を保護するために,債権者の異議の規定を設けている(789条)が,本件違約金債権は,本件吸収分割の効力発生後に,相手方が本件解除条項に基づき解除の意思表示をすることによって発生するものであるから,相手方は,本件違約金債権を有しているとして,抗告人に対し,本件吸収分割について同条1項2号の規定による異議を述べることができたとは解されない」

「以上によれば,抗告人が相手方に対し,本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは,信義則に反して許されず,相手方は,本件吸収分割の後も,抗告人に対して同債務の履行を請求することができるというべきである」


 本決定は,一般論として,会社分割による賃借権の承継の場合に,チェンジオブコントロール条項による解除が認められることを肯定しているように思われる。そして,違約金請求について,会社分割による承継前の元賃借人に対する請求を認めた点に意義を有する,という理解か。
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平成28年分の相続税の申告状況について

2017-12-26 18:29:29 | 税務関係
平成28年分の相続税の申告状況について
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/sozoku_shinkoku/index.htm

「平成28年中に亡くなられた方(被相続人数)は約131万人(平成27年約129万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万6千人(平成27年約10万3千人)で、課税割合は8.1%(平成27年8.0%)となっており、平成27年より0.1ポイント増加しました。」
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所有者不明土地問題に関する日経の調査

2017-12-26 09:31:39 | 空き家問題&所有者不明土地問題
日経調査
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25048930V21C17A2EA1000/

「全国の市長・区長を対象にした日本経済新聞の調査で、所有者が分からない土地や空き家に関し、何らかの問題を抱えている自治体が約8割に達した。」(上掲記事)

 意外に少ないですね。


「空き家対策の方向性を示す「空き家等対策計画」については「既に策定した」が37%、「策定を予定している」も46%ある一方、「策定していない」も15%あった。」(上掲記事)

 こちらもやや動きが遅い感。
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弁護士の本人確認

2017-12-25 21:58:52 | いろいろ
弁護士が一定の法律事務の依頼などをお受けする際に、「本人特定事項の確認」をさせていただくことがあります
https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/icc/mimoto_kakunin.html

弁護士等による本人特定事項の確認等の履行に関する会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171221_2.html

 弁護士も,本人確認の徹底に留意するそうである。
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守秘義務の「限定説」と「非限定説」

2017-12-25 21:50:46 | いろいろ
スタッフ弁護士の連携活動における倫理問題 by 石田京子早稲田大学大学院法務研究科准教授
http://www.houterasu.or.jp/cont/100761837.pdf

 弁護士職務基本規程の改正が議論されているらしい。現在依頼者との間だけで負う守秘義務の対象を,事件関係者全員(相手方を含む。)に及ぼすものらしい。

 守秘義務に「限定説」と「非限定説」があり,最高裁は,非限定説に傾きつつある?

 司法書士界にも影響は必至と思われる。

cf. 弁護士山中理司のHP
https://www.yamanaka-law.jp/cont6/30.html
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