マンション建物は 法律的な言い方をすると 土地の工作物 なので
「工作物責任」ということが問題になり得ます
<外壁に沿って通行路があるようなマンションで 長期間 補修をおろそかにしていて中層部から
タイル落下
それにより 周辺住民に大怪我をさせてしまった>
などということがニュースにもなったりします
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 民法
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
(占有権の取得)
第百八十条 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
※ 所持とは 社会通念上物がその人の支配内にあると認められること
〔物理的に身につけてもっている場合に限らない〕
(代理占有)
第百八十一条 占有権は、代理人によって取得することができる。
上にあるように 占有者が必要な注意をシッカリとしている場合は 所有者が損害賠償をしなければ
ならない という 責任の順序になっています
一般的に考え 外壁は共用部であり 区分所有者全員で占有している と捉えられるので
マンションにおいて この責任を考えるときに 法処理上に関係する登場者としては
・区分所有者の全員
と
・管理組合
※ 〔管理組合〕は 区分所有者から共用部分について管理を任されていると解釈され
得るので 損害発生防止者として やはり直接注意をはらわなければならない
そうであれば 「占有者」に当たる ともいえる
が 考えられます
717条の趣旨は 「占有者」が損害の発生を防止するのに必要な注意を直接はらうことが
できる地位にあるので 第一次的に まず占有者が責を負う(所有者は第二次的) と理解
されています
東京高裁において 概略 次のような判決がなされています
平成29年3月の判決では
区分所有法3条の団体である管理組合は 共用部分の管理をしている
が 管理責任があるところに占有があるのだ とはいえない ということ
で 〔管理組合〕が共用部分の「占有者」であることを否定しました
が
平成30年7月の判決では
区分所有建物の共用部分の占有者は区分所有者全員であるので 管理
組合は厳密には共用部分の占有者であるとは言えない が 損害防止の
注意をはらい得る地位にあのだから 〔管理組合〕は共用部分の「占有者」
といえる との見解を示しています
・ 賠償責任保険のこと
・ 権利能力無き社団の財産関係の解釈とともに無保険の場合等で負担すべき金銭の出所のこと
・ 管理組合法人における区分所有法53条(区分所有者の責任)のこと
などなど イロイロ気になる部分もありますが・・・
今回は マンション管理組合というものを住民として考える材料として 上記の判例を載せてみました
受験生の方にとっては イロイロ派生する論点もあり 学習材料としても 参考になる高裁判例だ と
思われます