学習済みの方には 今さら のことですが
不動産の権利変動の対抗要件は 登記 です
実際の権利変動の先後優劣よりも 権利変動に関する登記申請受付の先後優劣
が決定権をもつので 先に登記した者が その権利を他の第三者に主張(対抗)
できることになります
売主が二重に譲渡することは民法上は有効とされ その不動産を真に取得でき
るか否かは 登記の先後で決まるというわけです
例外的に 登記によらなくても対抗力が備わる場合もあります
借家については その建物の引渡しを受けることで
借地については 借地上の自己所有建物の表題登記か所有権保存登記にて
賃借権登記がなくとも 対抗力を得ることができるようになっています
この例外は 貸主が登記に協力的でないことへの対応策としてあるものと
言えるでしょう
賃貸借の多数は ビルやアパートの1室を借りる事例ですが 賃貸借登記
をしようにも その登記はできません
ビルやアパートの1室は 一個の建物 ではないからです
(その部屋が 区分建物 として登記されている場合は その部屋を対象
とする登記ができるので 賃貸借登記ができます〈引渡しでの対抗力が
ありますけれども〉)
(定義)
登記記録 表示に関する登記又は権利に関する登記について、
一筆の土地又は一個の建物ごとに第十二条の規定に
より作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方
式その他人の知覚によっては認識することができな
い方式で作られる記録であって、電子計算機による
情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)
をいう。
九
登記簿 登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク
(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録す
ることができる物を含む。以下同じ。)をもって調
製するものをいう。
二十二
区分建物 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、
店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供
することができるものであって、建物の区分所有等
に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下
「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する
専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項の規
定により共用部分とされたものを含む。)をいう。
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登記というものの感触を少しでも掴むための学習として参考のため記します
甲区・乙区 を通じての 先後優劣はどうなるか の 一例(簡潔に略記しています)
4番 所有権移転 平成15年 1月30日 所有者 A
第 345号
甲
5番 所有権移転仮登記 平成24年12月10日 権利者 B
第 645号
区
6番 差押 平成25年12月25日 権利者 E銀行
第 563号
7番 所有権移転 平成26年 3月12日 所有者 C
第 568号
1番 抵当権設定 平成15年 1月30日 抵当権者 D銀行
第 346号
乙
2番 抵当権設定 平成20年 8月10日 抵当権者 E銀行
第 565号
区
3番 賃貸借設定 平成26年 1月25日 賃借権者 F
第 123号
4番 抵当権設定 平成26年 3月12日 抵当権者 G銀行
第 569号
E銀行は 競売を申し立てていますが 先順位のD銀行が売却代金から自己の債権を回収した
残額から配当を受け得るだけです(両者の優劣は 同じ乙区にある順位番号で判定します)
Fの賃借権は 別の区の甲と対照することで判定しなければなりません
Fの賃借権の受付は 平成26年1月25日ですが 甲区にある差押の受付(平成25年12
月25日)に後れているので 差押の効力に負けているので賃借権を主張できずに売却によっ
て消滅することになります
甲区5番に 所有権移転仮登記 というものがありますが 仮登記とは将来なされる本登記
のために あらかじめ登記上の順位を確保しておくための登記 です
サマザマな場面の対抗関係が想定され それぞれの登記は どのようになるのかは 民法・
不動産登記など法の規準により決定され とても繊細な優劣関係判定に依ることになります
例えば 差押され売却されると乙区の抵当権はすべて抹消される とか 仮差押登記は換価
のための保全を目的とするものなので売却によって消滅(抹消)される とか 所有権移転
仮登記は例え非担保目的であっても最先順位の担保権よりも後れるので 抹消される とか
・・・
本日の マンション管理士試験過去問学習 です
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※問い方を変え利用させていただいている場合があります
Aが所有する甲マンション 201 号室には、AのBに対する債務を担保するために
Bの抵当権が設定されている。この場合に関する次の記述について、民法の規定
及び判例による正誤を答えなさい。
1 Bの抵当権の効力は、Bの抵当権が設定された当時、既に 201 号室内に存在
していた従物に及ぶ。
2 Bの抵当権について設定登記がされる前に、Cが、Aから 201 号室を賃借し
て同室の引渡しを受けていた場合において、Bの抵当権が実行されてDが同
室を買い受け、Cに対して同室の明渡しを請求したときは、Cは、同室の賃
借権を有することを理由にその請求を拒むことができる。
3 Bの抵当権が設定された後であっても、Aは、201 号室をEに賃貸し、Eか
ら賃料を収取することができる。
4 201 号室にAのFに対する債務を担保するためにFの抵当権が設定された場
合には、Bの抵当権とFの抵当権の順位は、抵当権設定契約の前後によって
決まる。
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1 について 正しい
抵当権設定時に存在した従物には 抵当権の効力が及ぶ(大連判大8・3・15)
2 について 正しい
肢においては Dの請求をCが拒めるかは 抵当権の設定登記と賃借権との対抗要件
の先後による
Cの対抗要件には 借地借家法上の対抗要件である<建物の引渡し>が含まれるので
Cは賃借権登記がなくとも賃借権を有することを主張でき 明渡しを拒むことができる
下記 177条・605条・借地借家法31条 を 参照ください
3 について 正しい
抵当権設定者は 抵当権を設定した後も 抵当不動産の使用収益をすることができる
ので Aは201 号室をEに賃貸しEから賃料を収取することができる
下記 369条 を 参照ください
4 について 誤 り
抵当権の順位は 抵当権設定契約の前後によるのではなく 設定登記の前後によって
決まる
下記 373条 を 参照ください
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記 ※ 条文等に省略ある場合があります
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物
について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)そ
の他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗する
ことができない。
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他
の第三者に対抗することができる。
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、
他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後
による。
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