マンション管理士試験まで 40日ほど に なりました
気になる過去問については 既に掲載したものであっても 問い方を変えたり
説明を加えたりしつつ 掲載を繰り返している場合もあります
本日の マンション管理士試験過去問学習 です
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※ 問い方を変えて利用させていただいています
マンション内で共同利益背反行為を行っている占有者に対して、区分所有者の
全員が集会の決議により訴えを提起しようとする場合に関する次の記述につき、
区分所有法の規定及び判例による正誤を答えよ。
1
専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害
が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の
維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人によ
る専有部分の使用の禁止を請求することができる。
2
占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専
有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である
区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。
3
専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸
人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはでき
ない。
4
区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有
部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための
決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければな
らない。
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1 について 誤 り
58条の使用禁止の請求は 占有者に対して行うことは認められていない
〔賃料を支払う義務を負うにもかかわらず 専有部分を使用できないと
することは妥当でないと考えられ 規定は設けられなかったようである〕
下記 58条 を 参照ください
2 について 誤 り
この訴えの裁判の判決は 使用または収益を目的とする契約(転貸借の場合は
転貸借契約)の解除を宣言して専有部分の原告への引渡しが命じられる
転貸人と転借人を共同被告とすることになり 解除される契約の当事者ではな
い区分所有者を共同被告とする必要はない
下記 60条 を 参照ください
3 について 正しい
貸主に対する引渡しではなく 原告に引き渡す
〔専有部の所有者(転貸借場合は転貸人)に対して直接に引き渡すようにしなかっ
たのは 引渡しを拒絶し 排除という目的が達せられない虞があるので〕
その後遅滞なく 原告は 占有する権原を有する者(専有部の所有者<転貸借の場
合は転貸人に>に引き渡す(60③)ことになる
〔本来当該専有部を専有すべき者らであり これらの者が共同利益背反行為をした
わけではないので それらに引き渡すことになる〕
下記 60条 3項 を 参照ください
4 について 誤 り
準用される58条3項には 区分所有者との文言があるが 弁明の機会は占有者に
与えれば足りる
違反者でもなく、排除の対象者でもない区分所有者には 与えることを要しない
(最判昭和62・7・17の原審〈東京高判〉で述べられている)
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記 ※ 条文等に省略ある場合があります
前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の
共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して
共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であると
きは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、
相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することが
できる。
第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に
規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障
害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困
難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをも
つて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除
及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
は前項の決議に準用する。
なければならない。
部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。
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メ モ
《 義務違反者に対する措置に関しては 次のようなこと
も 問われています
ポイントをつかまえておく必要があると 思われます 》
・区分所有法59条の競売は 共同利益背反行為者を排除するための制度で競売
申立人に対する配当を予定しておらず 買受可能価格が手続費用及び優先債権の
見込額の合計に満たない場合でも 競売を行える という趣旨の判例(東京高決
平成16・5・20)あり
※ 共同利益背反行為者を排除するための制度であって
債権の満足を図る というものではない
・59条1項の競売の請求は 訴訟の口頭弁論終結後に 被告であった区分所有
者からの譲受人に対しては 同訴訟の判決に基づいての競売申し立てはできない
とする判例(最判平成23・10・11)あり
このことに関して
管理組合が59条一項の競売請求権を有していても 対象の区分所有権が譲渡
されてしまうと この権利を実現することができなくなります
そこで 違反区分所有者の譲渡行為を前もって防ぐための処分禁止の仮処分を
申し立てるという措置が考えられます
競売請求権を被保全権利とする民事保全法上の処分禁止の仮処分についての
ことです が
問題となっている区分所有者を排除するための競売なので その者が任意にその
区分所有権等を処分することについて禁止することは相当でない として管理組
合による民事保全法上の処分禁止の仮処分の申立てを認めませんでした
(最決平成28・3・18)
自身の意思で マンションから立ち退く(自ら立ち退いてくれる)ということで
目的としていた排除でができたとも言えるのだ とも理解されましょうが
ナントナク 肩透かしを食らってしまうような感がマンション管理組合には残る?
仮に
〔共同の利益違反者〕と関わりがある者への譲渡であっても 任意の譲渡である
のでそこまで禁止することは 今の制度では許されない と いうことなのだと
理解されましょう
・58条は 引渡義務 ではなく 不使用義務 です
使用禁止の判決を受けた区分所有者は 当該専有部を第三者に賃貸したり 第
三者に譲渡することはできますが その譲渡後に当該区分所有者が賃借りして
自らが使用するなどということは 許されません
〔専有部分を共有していた場合は 当該義務違反者以外の共有者には影響しな
いと解されます〕
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本日の問題は
平成28年度 問 10 です