「経営はデザインそのものである」
博報堂コンサルティング+ハクホウドウデザイン
ダイヤモンド社刊 1800円+税
タイトルにある「デザイン」。
美術、芸術や広告デザインだけではなく、何かを「計画」「全体最適」「配置」するといった意味合いがあると思います。
全面的に同感です。
経営コンサルタントのトム・ピーターズの世界も、まさにデザイン。
経営とは、MBA的なロジカル、定量、理論、客観の世界だけでは決してなく、人間主体の主観の世界でもあると思います。
ハードだけではなくソフトも大事な世界なのです。
同書は、博報堂コンサルティングを中心とした執筆陣で書かれています。
何度もメールや会議でやり取りをされ、プロジェクトをまとめるためにされた努力が見えます。
なかなか素晴らしいプロジェクトだと思います。
目次
序章 デザインと経営が結びつく時代
第1章 製品・サービスを超える競争優位性
第2章 3つの視点から見る先進企業の特徴
第3章 経営はデザインそのものである
第4章 プロジェクトドキュメント① UMEの知恵を暮らしに 紀州梅効能研究会のケース研究
第5章 プロジェクトドキュメント② 美の歓びと暮らす 深川製磁のケース研究
第6章 プロジェクトドキュメント③ やすらぎのある世界都心 東京都港区のケース研究
第7章 デザインを経営に取り入れるための6つのステップ
対談 良品計画 金井社長
対談 スマイルズ 遠山社長
中でも面白かったのが港区のケース。
特別区のプロモーションを代理店的な発想でまとめると、こうなるんだというスコープが見えてきました。
「課題は既存のビジョンにアクションをつなげること」と称し、
「やすらぎのある世界都心・MINATO」の解説が入るところなどは読みごたえあるセッションです。
やすらぎのある世界都心・MINATO
・かがやくまち・・・街づくり・環境
・にぎわうまち・・・コミュニティ・産業
・はぐくむまち・・・福祉・保健・教育
直接関係ありませんが、「クールビズ」という言葉を普及したのも博報堂とのことです。
何と9割以上の日本人の認知があったとのことです。
同書によると、デザインと経営は、「経済」「文化」「社会」という三面から考えなければいけないということ。
そして、デザインを経営に取り入れるための6つのステップとして、以下の3+3を提言しています。
ビジョン・プロトタイピングの3つのステップ
1.論点化
2.言語化
3.可視化
アクション・プロトタイピングの3つのステップ
1.シナリオ化
2.可視化
3.体系化
キーワードは「可視化」。
まさにデザインの最終局面となるものです。
経営とデザイン・・・とても魅力的な関係だと思います。