イノベーションは、意識して、意図的に創出できるのか?
そんな課題を日頃持って生活しています。
「システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM・イノベーションのつくり方」
前野隆司編著
日経BP社 1800円+税
同書は、カラフルな表紙の真四角な一冊。
なかなか素敵な装丁。
慶應SDM教授の前野先生主導のイノベーション本です。
同書では、イノベーションとは「システム思考×デザイン思考」の掛け算と定義。
イノベーションを「NOVA」=新星爆発を意味するワードとしてとらえています。
さらに、イノベーションとは、
「見たことも聞いたこともないもの」
「実現可能なこと」
「物議を醸し出すもの」という条件が付けられています。
この前提となるのが、システム思考とデザイン思考です。
システム思考とは、「木を見て森も見る事」。
そして、
デザイン思考とは、「オブザベーション」「アイディエーション」「プロトタイピング」というフローを指しています。
「オブザベーション」・・・無意識の声を聞く。気づきを得る。質的な活動を重視。
「アイディエーション」・・・ブレスト、チーム協働、集合知。
「プロトタイピング」・・・手で考える。身体で考える。
その掛け算の中から、イノベーションが産まれるそうです。
ちなみに慶應SDMの「SDM」とは、システム、デザイン、マネジメントの頭文字・・・なかなか魅力的な研究テーマです。
同書ではSDMのツールボックスとして、ブレスト、親和図法、バリューグラフ、プロクタイピング、ストーリーテリング、即興といったステップを計画しています。
カラーページで事例を交えた丁寧な解説が加えられているため、実践ツールとして習得できると思います。
同書の中心となるのが、巻末の部分。
当たり前のことなのですが、アクション、ポジィティブ、ファンといったマインド部分にもしっかり言及しています。
「すべては行動から始まる」
「ポジィティブ原則」
「問題解決や新規事業は楽しい」・・・
イノベーションに興味を持つ、特に若い人にピッタリの一冊だと思います。