これからは、人生は60代からが勝負になります。
それまでの会社人生、役所人生に終止符を打って、新規まき直しで人生をやり直せます。
仮にあなたが会社勤めの間はそれほど報われていなくても、社会的地位がなくても、
60歳あるいは63歳、65歳からの人生では、真に新しいキャリアを築けるのです。
廃業率が開業率を上回って、かなりの時がたつニッポン。
産業界の活性化の指針の一つである法人数は減少を続けているのです。
そんな中、定年後という人生の第2ステージに起業という選択肢が加われば、ちょっと面白いと思います。
「定年後の起業術」
津田倫男著 ちくま新書 760円+税
著者の津田さんは、1957年生まれの企業アドバイザー。
スタンフォードのMBAホルダーで外資系のベンチャーキャピタル代表も務められた方です。
以前、講談社文庫からも「熟年起業」を出されています。
冒頭の文書は、ニッポンの親父の背中を押すために書かれた同書の表紙にある一文です。
35年以上、雨の日も風の日もリーマンを続けた根性、ノウハウは、きっと個人事業でも生きてくる・・・そのとおりだと思います。
目次
第1章 日本でシニアが起業することの意味「ニッチで目立たず起業せよ」
第2章 シニア起業で生き残るための3つのヒント
「ボーダーレスに生きる。タニマチになる。財政的支援者という道。絆を活かす。」
第3章 若者よりもシニア起業はこんなに有利
「年の功と人脈 経験値と財力」「60歳から勝負しよう。」「57歳ころから準備しよう。」
第4章 シニア起業の実践術と注意点
第5章 起業に役立つ知恵
著者は、定年起業の失敗するタイプとして、次の3つのパターンをあげています。
失敗するタイプ1 掌返し、逆境に弱い人
失敗するタイプ2 自分で動かず、管理を仕事だと思っている人
失敗するタイプ3 柔軟性がないのを首尾一貫していると勘違いする人
こんな人は、起業勤めのリーマンでも、なかなか厳しい気がします。
また、定年起業の指針と実務上のヒントを「あいうえお・かきくけこ」にうまくまとめられています。
あ・・・明日やろうと思わず、今日やってしまう
い・・・いらついたら、少し離れる
う・・・うるさいと思われるほど尋ねる
え・・・絵に描いてみる
お・・・お蔵入りしていた仕事を定期的に見直す
か・・・金勘定の前に信用をえよ
き・・・気にしすぎると言われるくらい品質や納期にこだわる
く・・・くたびれたら休む
け・・・決して裏切らない
こ・・・国際的な広がりを重んじる
特に「い」などは、親父の特性を踏まえた良い助言だと思います。
同書の最後で津田さんは語ります。
生活上の心構えとしての、
「仕事だけが人生ではない。」
「後に何を残すか考える。」
まさに、そのとおりだと思います。
今、50歳代のニッポンのおやじに、ぜひとも熟読いただきたい一冊です。