久々に岩波書店の本を買いました。
岩波書店は、神田神保町にある老舗の出版社。
岩波新書、岩波ホールも有名です。
ただ、単行本などは少し格調、格式が高く、そのブランド力はなかなかのものです。
今回取り上げる書は、日本の労働、労働経済を専門とする6名の学者による共著。
日本の労働をアカデミックな視点からとらえるとどうなるか?をテーマとしています。
「成熟社会の労働哲学研究会」の中でそれぞれの学者の専門分野からのアプローチを面白く読むことが出来ます。
「<働く>は、これから 成熟社会の労働を考える」
猪木武徳編 岩波書店 1900円+税
いまや、
「終身雇用、年功序列、企業内組合」といった高度経済成長期に威力を発揮した3種の神器も、その効果性が薄らいでいる状況・・・。
さらには、プラック企業、非正規社員、ホワイトカラーエグゼンプション、メンタルヘルス、高齢者再雇用などなど課題が山積しているのが現代の労働事情のように思います。
同書では、最新トピックではなく、その前提となる日本の労働者・・・働く意義、働く意味といった観点からのアプローチをとります。
目次
1.成熟社会で働くこと 杉村芳美(甲南大学長)
2.地に足の着いた雇用改革を 清家篤(慶応義塾長)
3.多様化するライフコースとその課題 岩井八郎(京大教授)
4.日本人の、なぜ65歳を超えても就労意欲が高いのか 藤村博之(法政大学教授)
5.地域において働くこと 宇野重規(東大教授)
6.中間的な組織での自由な労働 猪木武徳(大阪大学名誉教授)
興味深かったのが、第4章の高齢者労働者についての言説。
65歳を超えて働き続けるには50歳代の能力開発が重要と指摘、そのためには、1.新しいものに挑戦し続けること、2.頼まれたことは何でも引き受けること・・・。
高齢労働者のマネジメント、労務管理において最も難しいとされる2つのテーマです。
「働く意味」本は、書店でも多数あります。
ハウツー的なもの、スピリチュアルなもの、キャリア的なもの・・・と様々ですが、
日本を代表する労働学者の書いた同書もぜひ一読されるといいと思います。