能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

経営者は昇進・昇格する人材をどのように見分けているのか 怒れる人事コンサルタントの提言

2014年08月31日 | 本と雑誌

「経営者は昇進・昇格する人材をどのように見分けているのか 社員の動機づけと顧客価値実現に成功する組織づくりのために」

中村壽伸著 日本生産性本部生産性労働情報センター刊 1500円+税

 

タイトルは、どこかハウツー本的でスルーしようと思ったのですが、目次を見て、その切り口の鋭さに魅かれて購入した一冊です。

タイトルを変えるともっと売れる本だと思います。


著者の中村さんは、人事コンサルタント。

日本経営システム研究所の社長をされています。

同書は、危機感から書かれたと著書は述べています。

日本のビジネスパースンのレベルが下がっている・・・。

労働生産性は世界で20位、時間当たりの労働生産性も世界で20位・・・。

たしかにそのとおりだと思います。


報告、連絡、相談ができない、計画性のない仕事の進め方、ビジネスマナーさえも???

スキルダウンは、まさに危ない領域に入っているように思います。

にもかかわらず、考えない、努力しない、勉強しない・・・。


そういう彼彼女に対して、おじさんはただ怒るだけではダメで何らかの手立てを打つことが必要です。

そういった意味では同書を、若手社員、中堅社員に読ませることは、それなりの効果があるように思います。


が、「私は、管理職になりたくないもん」という若手・中堅社員が増加する昨今。

著者は、管理職希望者の減少は人事制度の失敗としていますが、そのとおりだと思います。

責任もあり、つらい仕事ばかりでも、やりがいもあり処遇もいい、何よりかっこいい・・・そういった管理職のポジションを会社がいかに提示できるかということだと思います。


◆目次

第1章 経営者が期待する昇進・昇格適格要件と、社員の認識とはどうすれ違っているのか

第2章 経営者は昇進・昇格で何を実現したいのか

第3章 経営者は等級制度を活用してどのような人材を昇格させるのか

第4章 経営者はどのような人材を昇進させるのか

第5章 あとがきにかえて 昇進・昇格に相応しい人材として認められるにはどうすれば良いのか

 

同書では、昇格と昇進の違い、今までの人事制度の歴史や変遷、部長・課長・係長の違いといった日本の人事の概要を理解することにも役立ちます。

また、なかなか辛口の著者は一刀両断。ズバリと切り込みます。

 

「きちんとした日本語・敬語を話すこと そうでなければ昇格は途中でとまる」

 「会社や顧客が求める人材に素早く成長するには、その場主義に徹すること」

 「池ポチャが出来る人は評価が高い」

 「チームメンバーとして成長せよ」

 「新任管理者研修は、出遅れ研修」

 「部下には3年先の稽古を積ませる」

 「マネジメントとは決め事を徹底すること」・・・

 

なかなか厳しい突っ込みですが、日本の企業では当たり前だったこと。

その当たり前が当たり前に出来なくなったことが、グローバル競争での苦戦にもつながっているように思えます。


電車に乗っても、スマホや漫画で時間をつぶすニッポンのビジネスパースン。

プライベートは充実しているのに仕事に関しては、「考えない」「努力しない」「勉強しない」の3ナイ主義・・・これでは、ビジネスの世界では戦えません。

われわれ怒れる親父の代言をしていただける一冊です。

しかしながら、経営者、管理者自体のスキルやクオリティが下がっていることも大きな課題。

特に雇われ社長については深刻な状況にあります。

任期は3~5年の間、波風を立てずに切り抜ける・・・そういった風が蔓延しつつあります。

どこかの本やセミナーで聞いてきたリスクマネジメント、コンプライアンス、デュープロセス、セクハラパワハラ防止などをトップダウンで導入・・・社内は紙だらけ、手続きだらけ・・・ほとんど役所の体をなしています。

社員は分断されコミュニケーションはとれず、言われたことしかやらなくなる、叱られるので余計なこと(新しいこと、付加価値のあること)は一切しない・・・そんな状況に日本の会社は成り下がっています。

これでは競争力が下がっても当然です。

これもアングロサクソンの陰謀なんですかね(笑)。


次の一冊は、ぜひとも経営者への「喝」入れ本を出していただきたいと思っています。


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東京・戸越銀座商店街 ハードではなくソフトで勝負するとは、こういう事だったんだ

2014年08月31日 | まち歩き

東京品川区にある戸越銀座商店街。

関東地方で一番長い商店街と言われています。

 

「江戸超え」を起源とする「戸越」という地名。

そのメインストリートが、この商店街です。

日本に300の商店街があると言われていますが、「銀座」という名称を付けたのは中央区銀座に続き第一号ということです。

全長1.3キロ。400店舗

全国で一番長いと言われている大阪・天神橋筋商店街、天六商店街。全長2.6キロ、六〇〇店舗。

これには及びませんが、この戸越銀座商店街には、様々な特徴があります。


まず、アーケードがない・・・そしてカラー舗装や特別なモニュメントやディスプレイがないのです。

現在、日本の商店街のトレンドとして、老朽化したアーケードを撤去する動きが出ています。

築40年~50年経った古い商店街の屋根をなくしオープンエアにしようというものです。

そういった意味では、時代を先読みしていたような感じがします。

そういえば、個人的に好きな江東区の砂町銀座商店街(全長0.7キロ)もアーケードがありません。

 

戸越銀座商店街は、品川区という人口の多い後背地を持っており、

東急電鉄や浅草線といったアクセスも便利という利便性も大ですが、ハード面ではなかなかシンプル・・・。

つまりソフトの力で商店街の活力をキープしているのです。

 

今回の街歩きも、戸越銀座商店街の祭り「とごしぎんざまつり・戸越銀座・遊・笑ん・地」が目的。

ちなみに、この「遊・笑ん・地」は「ゆうえんち(遊園地)」をもじったもの(笑)。

 

スタンプラリー、商店街キャラクターのふれあいウォーキング、ライブや模擬店・・・期間限定の商店街チケットまで発行しています。

商店街の青年会を中心にさまざまな手作りイベントを展開・・・。

狭い道幅の商店街には、ショッピングモールのような人が・・・。

この商店街全体が、ハードに頼らず、ソフトパワーでサバイバルしていこうという姿勢が伝わってきました。


*商店街キャラクター「戸越銀次郎・銀ちゃん」も子供たちに大人気。

ちなみに銀ちゃんにはプロフィールがあります。

 ・商店会デビュー 2004年8月29日

 ・特技 お買いもの

 ・趣味 散歩 ナツメロ

 ・職業 家事手伝い・・・

 

この商店街では、当然に、他の商店街と同様、戸越銀座コロッケ、ユビキタス化、物産シアター設置、休憩所設置、地元大学との連携など教科書的なプロモーション策も展開しています。

まちのいたるところには、コロッケ・・・肉屋さんや惣菜屋さん、おでん屋さんまでオデンコロッケを販売。

また、流行のカラアゲさんが焼き鳥屋さんも含めて7~8か所はありました。


戸越銀座商店街の繁栄は、振興組合の地道な努力やマネジメントがうまく機能していることもありますが、商店街を構成する個々の個店が、それぞれが出来る営業努力をしていることも見逃せません。

酒屋さん ディスプレイも含め、よく考えられたレイアウト、ファサード。

ワインを一本買いました。

 

ケンタッキーの唐揚げ屋さん からあげなんですけど味はケンタ。

とても美味しい唐揚げでした。

 

ちょっとレトロなおもちゃ屋さん

 

焼き鳥屋さん「えびす」 

生ビールと焼き鳥をいただきました。

なぜか今日は、チキンばかり食べています。

 

少子高齢化がますます進んでいく東京。

その中で戸越銀座商店街は、下町パワーを炸裂させて、さらなる打ち出しをしてくれるものと期待しています。

街歩きのあと、戸越銀座温泉でひと風呂。

汗を流して帰途につきました。入浴料460円・・・露天風呂もあり、黒湯温泉につかり・・・とてもコスパの高い銭湯でした。 


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