著者は、日本在住20年以上のデンマーク人。
イースクエア共同創業者。ドラッカー、トフラー、サッチャーなどの来日イベントを手掛けられた方です。
同書の特長は、システマティック、ロジカルな展開。
書店でパラパラめくり、その構成が魅力的で購入した一冊です。
レジリエンス・・・最近少し手垢がついてきた感じもします。
耐性、回復力、復元力、柔軟性、適応力、ストレスを跳ね返す性質といった意味合いです。
同書では、トム・ピーターズ、ウォーターマンの提唱した「エクセレントカンパニー」と対比させる形で「レジリエントカンパニー」という用語を使っています。
レジリエント・カンパニー なぜあの企業は時代を超えて勝ち残ったのか
ピーター・D・ピーターゼン著 東洋経済新報社 1600円+税
目次
序章 エクセレントカンパニー再考
第1章 新しいトリプルA経営の時代
第2章 価値観と使命を活かす
第3章 信頼を積み上げる
第4章 ダイナミックに学ぶ
第5章 創造性と革新力を引き出す
第6章 研究開発を一新する
第7章 トレードオンにこだわる
第8章 ブランドを作りかえる
終章 日本企業は、いま何を目指すべきか
市場、社会のとらえ方もとてもシステマティック。
2000年~2030年 経営環境の5つの潮流
1. 人間経済(実体経済)が拡大する 世界人口は1日21万人増加
2. 成長の基盤が揺らぐ 環境問題、社会不安
3. ビジネスは一層多元的になり多発する 新興国
4. 新しい情報が協働と革新を促す インターネットや情報ツール
5. 企業の役割が内外から問われる
20世紀型の経営スタイルでは、エクセレントにも、ビジョナリーにもなれない。
新しい耐性、適応力、問題解決力が企業に求められている。
レジリエントカンパニーの3つの特徴
1. アンカリングが出来ている
2. 自己変革力
3. 社会性を追求している
必要とされる7つの行動
行動1 価値観と使命を活かす(アンカリング)
行動2 信頼を積み上げる(アンカリング)
行動3 ダイナミックに学ぶ(自己変革力)
行動4 創造性と革新力を引き出す(自己変革力)
行動5 研究開発を一新する(自己変革力)
行動6 トレードオンにこだわる(社会性)
行動7 ブランドを作り直す(社会性)
同書では、レジリエントカンパニーと7つの行動について、具体的な企業事例、ケースを上げながら解説していきます。
この中で、特に面白かったのが、「ダイナミックに学ぶ」というセッションで紹介されていたインフォシス(インド)の事例。
人材を創り出すための具体策を詳しく解説しています。
継続的教育プログラム
大学等との連携による教育支援
個別ロードマップ
社会貢献をクレジットとして認める仕組み
社員発で知識を生み出し共有するナレッジマネジメント
大学などとの連携による将来的な人材の育成
世界各地の高等教育機関との連携によるインターン制度
同書の最後では、著者が開発したトリプルA診断が掲載されています。
60点満点での診断。
ここだけでも一読の価値ありです。
多くを学べた一冊でした。