「日本には抵抗の文化がない」

2019年03月07日 12時53分27秒 | 社会・文化・政治・経済

NEWS
2016年11月29日 18時59分 JST
 福島訪問したノーベル賞作家が指摘
2015年にノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチさん(68)が11月28日、東京外国語大学(府中市)で講演した。

2015年にノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエービッチさん(68)が11月28日、東京外国語大学(府中市)で講演した。26〜27日に福島第一原発の事故の被災地である福島県を視察した際に、被災者から国の責任を追及する声が少ないとして「日本社会に抵抗という文化がない」と感じたと話した。
時事ドットコムなどが報じた。

アレクシエービッチさんは、チェルノブイリ原発事故で被害を受けた人々の証言を集めたノンフィクション作品「チェルノブイリの祈り」などで知られている。

28日には「著作が人類の未来に貢献した」として、東京外国語大学から名誉博士号を授与された。

23日の来日後、福島県を訪れて原発事故の被災地を視察し、事故で住居を追われた人々の話を聞いた。11月29日付けの東京新聞によると、今回の講演では福島の原発事故について「チェルノブイリと同じく、国は人の命に全責任を負わない」と指摘した上で、次のように話した。
福島で目にしたのは、日本社会に人々が団結する形での『抵抗』という文化がないことです。祖母を亡くし、国を提訴した女性はその例外です。同じ訴えが何千件もあれば、人々に対する国の態度も変わったかもしれません。全体主義の長い文化があったわが国(旧ソ連)でも、人々が社会に対する抵抗の文化を持っていません。日本ではなぜなのでしょうか


チェルノブイリの祈り――未来の物語

2019年03月07日 12時36分43秒 | 社会・文化・政治・経済
チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)
 
スベトラーナ・アレクシエービッチ、松本 妙子


(シュベトラーナ・アレクシエービッチ氏、
ウィキペディアより)

スヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・アレクシエーヴィッチは、ベラルーシの作家、ジャーナリスト。「スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ」、「スベトラーナ・アレクシエービッチ」表記もある。2015年ノーベル文学賞受賞。


本書の著者アレクシエービッチ氏(1948-)はベラルーシに住む作家だ。私は彼女の作品を『チェルノブイリの祈り』に加えて4冊読んだ。『アフガン帰還兵の証言』(日本経済新聞)、独ソ戦の証言集『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争-白ロシアの子どもたちのみた戦争』(群像社)だ。戦争が民衆をいかに傷つけたかを克明に描き出している。

チェルノブイリをめぐる人々の重い言葉

日本で知られたのは1997年に刊行された『チェルノブイリの祈り』だ。これは福島原発事故の後で文庫化され反響を呼んだ。同書は1986年の同事故から十年以上経過した時点で刊行された被災者へのインタビュー集で50人ほどの人々が登場する。

感情の奥底からの人々の叫びを引き出す彼女の取材力、またそれを印象的な形で構成する描写力は、アレクシエービッチ氏の大変な力量を感じる。

登場人物は多彩だ。事故の消火活動で死亡した消防署員の妻の話がある。

彼女は「なぜ夫が死ぬのか」という思いをぬぐえない。死の床に伏した夫が、彼女ののどの渇きを心配してオレンジを切ろうとする描写がある。何気ない情景を挟むことで臨場感、そして夫婦の愛情を印象づける。

原発に隣接したプリピャチ市は、原子力技術者が集う先進的で大変美しい町だった。深夜に起こった原発の火事を人々は美しいものとして見物した。しかしその火は格納容器が崩壊して原子炉が露出し、中の黒鉛が加熱で炎上したものだった。人々の被曝は放置され、2日後にようやく避難を始める。その際に放射線の恐怖にさらされたことを読者は追体験する。私たち日本人は福島原発事故の当時の記憶が呼び覚まされるだろう。

「チェルノブイリの被災者は放射能で光る」という噂話のために、避難先で裸にされ、いじめられる子ども。アルコールが放射線に効くというデマのために、毎日、浴びるようにウォッカを飲み、除染作業を行って興奮状態になった兵士たち。公文書にない、普通の人々の苦しみ、そして叫びはとても印象的だ。

権力と社会主義体制への疑念を繰り返す。

経済ジャーナリスト

 

 

 


土井敏邦監督『福島は語る』

2019年03月07日 11時57分36秒 | 社会・文化・政治・経済

 <言葉の力>にかける

等身大の人を描く。
故郷を失った憤りを語る。
きっかけになったのは、原発事故の責任を追及する原告団の集会に参加したことでした。
語られる被災者の過酷な現実に胸を打たれるとともに、彼らの証言が会場の参加者だけで終わってよいか、そう強く感じました。
東京オリンピックの開催も近づき、福島の問題は「終わった」かのような空気さえありますが、福島で出会った一人の人間として、彼らの証言を伝えるべきだと思いました。

『福島は語る』(2018年 全章版330分 短縮版171分)
2019年2月13日 - 沈黙を破る』(2009)『飯舘村・故郷を追われる村人たち』(2012)など、パレスチナ・ イスラエル、福島を追い続ける映像ジャーナリスト・土井敏邦監督が4年の歳月をかけ、 100人を超える人々を取材、そのなかから選び抜いた14人の証言で ...
「原発事故から7年が過ぎました。日本は2020年の東京オリンピックに向けて浮き足立ち、福島のことは「終わったこと」と片付けようとしているように感じます。

しかし、原発事故による放射能汚染により人生を変えられてしまった十数万人の被災者たちの傷は疼き続けています。100人を超える被災者たちから集めた証言を丹念にまとめました。

その〝福島の声″を、忘却しつつある日本社会に届けたいのです。各地への上映会を企画していただけないでしょうか。」
100人以上の証言をもとに作られた証言ドキュメンタリーとのことです。

8章からなっていて、全章版5時間30分。短縮版2時間51分。

『福島は語る』作品紹介
【全章版】(330 分・5 時間30 分)

第一章 「避難」 (45 分)
「自主避難」をめぐる家族間の軋轢と崩壊、他県で暮らす避難者たちと福島に残る人びととの乖離、
避難生活の厳しさと苦悩に引き裂かれていく福島出身者たち。

第二章 「仮設住宅」 (27 分)
4 畳半一間での独り暮らす孤独感と先が見えない不安。「避難解除」され「仮設」を出ても、大家族
が共に暮らす元の生活に戻れない絶望感。

第三章 「悲憤」 (25 分)
「補償」の負い目と“生きがい”の喪失。「帰村宣言」で補償を打ち切ら
れた生活苦と先の見えない不安と病苦。 “自死”の誘惑が脳裡を過ぎる。

第四章 「農業」 (36 分)
「福島産だから」と避けられる農産物。福島を想いながらも他県産を求め
る自責と葛藤。農家は“農業と土への深い愛着”と、経営破たんの危機の
間で揺れ動く。

第五章 「学校」 (45 分)
差別を恐れ「原発所在地」出身だと名乗れない子どもたち。生徒数の激減
で学校消滅の直面する大熊中学校の教師と生徒たちの闘い。

第六章「原発労働者」(25 分)
下請けの建設会社から搾取される労働者。形だけの「除染」。現場から見
えてくる原発産業の構造。終わりが見えない「廃炉作業」を担う
労働者たちの犠牲は今も続く。

第七章 「汚染」 (17 分)
空気中の放射線量を目安に「帰還」政策進める国。一方で7 年を経
ても「放射能管理区域」以上の土壌汚染が各地に広がる。元「原発
労働者」や民間の測定者が実証する汚染の現実。

第八章 「2つの原発事故」 (16 分)
福島の原発事故の17 年前にチェルノブイリを訪ね、福島と重ね合
わせた詩人、若松丈太郎。原発建設が象徴する日本社会の差別の構
造を読み解く。

第九章 「抵抗」 (34 分)
水俣病と同様に被害を隠蔽し矮小化する国家の体質。福島原発に象徴される根強い「東北差別」と“構造的
な暴力げ。事故の背後でうごめく国際的な原子力推進勢力の存在。それらと闘う反原発運動のリーダーたち
の“抵抗”。

第十章 「喪失」 (42 分)
「帰還困難区域」となった飯舘村・長泥で、家と農地、
石材工場を失った住民。追い打ちをかけるように、将来
に絶望した跡取り息子も“自死”で失う。原発事故で
「人生を狂わされた」被災者の慟哭。

最終章 「故郷」 (18 分)
「住民の一人ひとりの人生全てを知る」故郷。
「汚染されても美しい」故郷。原発事故が福島人に突きつけた“故郷”の意味。

【短縮版】 2 時間51 分
第一章「避難」(25 分)
第二章「仮設住宅」(16 分)
第三章「悲憤」(15 分)
第四章「農業」(29 分)
第五章「学校」(14 分)
第六章「抵抗」(15 分)
第七章「喪失」(41 分)
最終章「故郷」(15 分)
*短縮版での上映も可能
題字 高橋長英

 
 


土井 敏邦(1953年 1月8日 - )は、日本のフリージャーナリスト、フリー・ライター、映画監督。中東情勢を主に扱っている。
土井は医学部への入学を目指して3浪をしていたが医学部における大学入試に失敗し、1974年に広島大学の総合科学部に6月入試によって1期生として入学した。
広島大学在学中に世界を放浪するなかでイスラエルのキブツに滞在しパレスチナのガッザ地区に渡航したことがきっかけでパレスチナ問題に関心を抱き、1981年同大学同学部を卒業する。
その際の卒業論文『パレスチナ人の人権に関する一考察』を、当時から中東取材で著名だった広河隆一に渡して読んでもらったことが記者業界に入るきっかけとなる。
PLO駐日代表部により出版されフォトジャーナリストの広河隆一が編集長であった「フィラスティン・びらーでぃ」と称する月刊誌の中東専門雑誌記者、朝日ジャーナル嘱託記者を経てフリー。
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会の会員でもある。
1985年以来、断続的に延べ5年以上、イスラエルとその占領地(パレスチナ)の難民キャンプや村に滞在して取材を続けている。
また、土井はかつて「砥川春樹」というペンネームで執筆活動を行っていた。
なお、土井の年収は100万円未満である。
また1986年からのべ12カ月間、アメリカ各地でユダヤ人、パレスチナ人を取材し『占領と民衆──パレスチナ』『アメリカのユダヤ人』『アメリカのパレスチナ人』の三部作を完成。
1990年の湾岸危機ではアメリカのユダヤ人社会とアラブ人社会の反応を、また翌年1月の湾岸戦争ではイスラエルで占領地のパレスチナ人とイスラエル国民の反応を取材し『朝日ジャーナル』に連載。3月から2カ月間、NHKスペシャル「アメリカのパレスチナ人」制作をコーディネイト。
1993年のパレスチナ暫定自治合意を機に再びパレスチナのガザ地区の難民キャンプやイスラエル国内に長期滞在し取材、ETV特集「失業と解放の1年-パレスチナ難民エルアグラ家の場合」(1994年)「パレスチナ和平の陰で──ある家族の6年」(1999年)、また「ニュースステーション」の特集で6回にわたって現地報告。
2010年6月5日朝に脳梗塞を発症して入院するが、会話のできる状態に病状が治まった。2015年には、従軍慰安婦に関する新作ドキュメンタリー映画『“記憶”と生きる』の公開やトークショーを行った。

土井は長年にわたって様々な映像作品を製作し続けてきたが、その映像をより多くの人たちに視聴してもらうことを目的として2016年12月5日に「土井敏邦オンライン・ショップ」を立ち上げている。
アジア・国内における活動
アジアでは、1982年の「教科書問題」を機に在韓被爆者を取材、1991年には韓国民主化運動の元学生指導者たちのその後を、さらに1994年から1998年まで韓国の元慰安婦たちの現状を追い、NHKのETV特集「『分かち合い(ナヌム)の家』のハルモニたち」、NHK・BS特集「戦争・心の傷の記憶」で元慰安婦、姜徳景の半生を描いたドキュメンタリーを制作。

1996年、タイ北部の農村でエイズ孤児を取材しETV特集「タイのエイズ孤児たち」を放映、翌年、ベトナムで性的暴行を受けるストリートチルドレンの少女たちを追い、ETV特集「傷つけられる少女たち-ベトナム・ストリートチルドレン物語」を制作。
1998年からはタイ・ビルマ国境の密林地帯や日本国内で民主化活動を続けるビルマ人青年たちを取材し、ETV特集「密林キャンプからの報告─タイ・ミャンマー国境地帯」を、7月には「在日ビルマ人の民主化活動家・ティンチー」(日本テレビ「きょうの出来事」)を放映。

さらに、日本政府の難民政策を追及した「『難民』が直面するニッポンの壁」「傷つけられる難民申請者たち」(いずれもTBS「報道特集」)「強制送還された難民申請者」(日本テレビ「きょうの出来事」)を制作。
2013年、日本で生活しているミャンマー人に関するドキュメンタリー映画『異国に生きる』を横井朋広とともに作成した。この映画は「文化庁映画賞 文化記録映画優秀賞」を受賞した。


臓器移植はどこまで行ったよいのか?

2019年03月07日 11時33分22秒 | 医科・歯科・介護

脳死、心肺停止

公益社団法人日本臓器移植ネットワーク

人が臓器(ぞうき)を提供(ていきょう)する場合の「死」には、2種類あることを知っていますか?

1つは、心臓(しんぞう)や呼吸が止まる「心停止(しんていし)」です。心停止(しんていし)すると、血液が流れなくなるので、死んだ人のからだは、だんだんつめたくなっていきます。

もう1つは、頭の中にある「脳」がまったく働かなくなった「脳死(のうし)」です。

じつは、「脳」が心臓(しんぞう)を動かしているので、病気や事故などで脳のすべてが傷ついたり、脳がまったく働かなくなってしまうと、心臓(しんぞう)も動かなくなってしまいます。

人工呼吸器(じんこうこきゅうき)をつけることで血液をからだじゅうに送ることができるので、しばらく心臓(しんぞう)を動かすことができ、「からだはあたたかい」、という状態です。

しかし、一度「脳死(のうし)」の状態になってしまうと、もとの元気な姿にもどることなく、やがて心臓(しんぞう)も停止してしまいます。(心停止(しんていし)までに長期間を要する例も報告されています)

臓器移植(ぞうきいしょく)の時には、「脳死(のうし)」か「心停止(しんていし)」した人の臓器(ぞうき)が使われます。

脳死と植物状態の違い
脳死(のうし)と植物状態(しょくぶつじょうたい)は、まったく違います。

脳の中の「大脳(だいのう)」という部分は、話をしたり、からだを動かしたりするための大事な働きをしています。

「脳死(のうし)」も「植物状態(しょくぶつじょうたい)」も、大脳(だいのう)が働かない状態にあるので、寝たきりで、話をすることも聞くこともできません。

ただ、植物状態(しょくぶつじょうたい)は、脳の中の「脳幹(のうかん)」や「小脳(しょうのう)」と呼ばれる部分が働いているので、そこから心臓(しんぞう)に命令(めいれい)を出して、自分で呼吸したり、血液をからだじゅうに送ったりすることができます。

そのため、「植物状態(しょくぶつじょうたい)」になっていても、治りょうを続けることで、目をさましたり、話ができるようになることもあります。

これに対して脳死(のうし)は、大脳(だいのう)や脳幹(のうかん)、小脳(しょうのう)など、脳のすべてが働かなくなった状態なので、心臓(しんぞう)をはじめ、すべての臓器(ぞうき)は自分の力で動くことはありません。人工呼吸器(じんこうこきゅうき)を外せば、呼吸も心臓(しんぞう)もすぐに止まってしまいます

 

図 脳死と植物状態の違い


「アポ電」強盗に利用

2019年03月07日 11時12分18秒 | 社会・文化・政治・経済

高齢者狙い「アポ電強盗」 都内で3件、手口似る

2019/3/2日本経済新聞

東京都江東区のマンションで一人暮らしの80歳の女性が手足を縛られて死亡しているのが見つかった事件。事前に現金の有無を尋ねる「アポ電(アポイントメント電話)」がかかってきていたことなど、1~2月に渋谷区で起きた2件の強盗事件との共通点が判明した。警視庁は同一グループによる犯行の疑いがあるとみて、現場で目撃された3人組の行方を追っている。
2月28日午前11時ごろ、江東区東陽のマンション玄関に、上下黒い服でフードをかぶりマスクを着けた人物が入っていく姿を防犯カメラがとらえていた。数分置いて同じような服装の2人目、3人目も。そして約30分後、3人は一斉にマンションから出てきた。

同じ3人とみられる人物が近くに止まっていた軽自動車に急いで乗り込み、一方通行を逆走して走り去る様子も目撃されていた。

マンションの3階に住む加藤邦子さん(80)の遺体を、訪ねてきたケアマネジャーが発見したのは同日午後1時50分ごろ。加藤さんは粘着テープなどで手足を縛られており、室内には棚や引き出しを物色した跡があった。司法解剖の結果、加藤さんは首を圧迫されるなどして窒息死した疑いがあることが分かった。
加藤さんは2月中旬に「お金はありますか」という不審な電話を受けたと知人男性に相談していた。警視庁は強盗の標的を探し、家にある現金の額を確認する「アポ電」だった可能性があるとみている。

1~2月には渋谷区で類似の事件が相次いで発生していた。

1月11日未明、渋谷区初台の住宅に3人組が押し入り、90代の夫と80代の妻を縛ったうえ、現金約2千万円と宝石を奪って逃走。2月1日朝には渋谷区笹塚の住宅に3人組が押し入り、80代の夫と70代の妻を結束バンドで縛り、約400万円を奪って逃げた。
どちらの事件でも、事前に被害者宅に家族を装って「病気になったのでお金が必要」と尋ねるなど不審な電話がかかってきていた。
3つの強盗事件はアポ電や3人組という人数、押し入って手足を縛る手口などが共通しているうえ、渋谷区笹塚の事件で逃走に使われた車と、江東区の事件の車の通行記録にも類似点があることが判明。警視庁は3つの事件が同一のグループによる犯行の疑いがあるとみている。

「アポ電」は近年、オレオレ詐欺などの下調べの手口として目立つようになり、都内では2018年1年間に約3万4千件が確認された。前年と比べて約3割増加した。

息子を装って「会社のカネを使い込んでしまった。預金はどのくらいある?」と尋ねるなどし、その後、息子の知人などを装った詐欺グループの実行役が自宅を訪ねてくるといったパターンが多い。

渋谷区初台の強盗事件の現場近くでは、18年末ごろからアポ電のような不審電話が相次いでいたとされ、今回の3つの事件では当初から強盗の標的とする高齢者を探す目的でアポ電が使われた可能性がある。

警察幹部は「詐欺よりさらに粗暴な強盗という手段に出る者が現れ、今回は犠牲者まで出てしまった」と危機感を見せる。「預金や自宅の現金を尋ねるような不審な電話がかかってきても絶対に答えず、警察に通報してほしい」と呼びかけている。

オレオレ詐欺が凶悪化? 

息子装う電話、2日後に強盗

2019/1/20

東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。

捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。

その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。

覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。

警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。

高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。

夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。
東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。

捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。

その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。

覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。

警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。

高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。

夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。
東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。

捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。

その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。

覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。

警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。

高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。

夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。

カードすり替えやアポ電強盗、特殊詐欺「新型」まん延
2019/2/21
オレオレ詐欺など特殊詐欺の被害が後を絶たない。警察庁が21日に発表した2018年の集計(暫定値)では年間の被害額は356億円で、1日あたり1億円、1件あたり228万円がだまし取られている計算だ。キャッシュカードをすり替えたり、電話をかけた後に被害者宅に押し入ったりするなど新たな手口も確認されている。

「あなたのキャッシュカードが不正に利用されている」。ある日、警察官や金融庁職員を装った人物から電話がかかってくる。その後、自宅を訪ねてきた人物が「カードを止める必要があるので暗証番号を書いたメモと一緒に厳重に保管を」と嘘を言い、持参した封筒にカードを入れさせる。その上で「封筒に割り印が必要」と言って印鑑を取りに行かせ、その間に偽のカードを入れた別の封筒とすり替え、本物のカードを持ち去る。

警察庁によると、17年ごろからこうした手口が目立つようになった。被害者には「カードを渡した」という認識がないため犯行に気付くのが遅れ、犯人に口座の金を引き出されてしまうという。

すり替えの手口は詐欺ではなく窃盗となり、特殊詐欺の被害としては計上されていないが、警察庁は実質的に特殊詐欺の一種として18年分の被害を初めて集計。全国で1348件、18億9千万円の被害が確認され、警察は警戒を強める。

荒っぽい事件も起きている。今年1月、東京都渋谷区の高齢夫婦宅に息子をかたって「病気になったのでお金が必要」と電話があり、自宅にある現金の額を確認。2日後に覆面姿の男3人が家に押し入り、数千万円と貴金属類を奪った。2月にも同じような手口で別の高齢者宅から現金約400万円が奪われた。

こうした犯行は相手を信用させるため事前に電話(アポイント電話)をすることから「アポ電強盗」ともいわれる。特殊詐欺と手口が重なり、捜査当局は背後に同じグループがいる可能性もあるとみる。警視庁幹部は「ATMの引き出し制限など対策が進み、手っ取り早く現金を手にしようとしているのではないか」と指摘する。

被害防止のためには、多額の預金引き出しや振り込みをしようとする高齢者への注意喚起が重要とされる。金融機関は窓口で使い道を聞いたり、詐欺に該当しないか確認するチェックシートを示したりしている。

ただ警察庁がオレオレ詐欺の被害者(未遂含む)1099人にアンケートしたところ、実際にだまし取られた人の27.7%が、被害に遭う前に金融機関の職員らから声をかけられていた。内容を分析したところ、使途を聞かれただけでは被害を防ぎきれないことが明らかになった。

「上司ら複数の人から説明を受ける」「応接室に案内される」といった対応で思いとどまるケースが多く、警察庁の担当者は「より踏み込んだ対応が有効」として金融機関などに協力を求める方針だ。

 


3 月は「自殺対策強化月間」

2019年03月07日 11時03分47秒 | 医科・歯科・介護

自殺対策強化月間とは(厚生労働省)
最近の自殺をめぐる厳しい情勢を踏まえ、様々な悩みや問題を抱えた人々に届く「当事者本位」の施策の展開する。
政府全体の意識を改革し、一丸となって自殺対策の緊急的な強化を図るため、自殺総合対策会議において、「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を決定。
例年、月別自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」と定めました。
自殺対策強化月間では、地方公共団体、関係団体等とも連携して、重点的に広報啓発活動を展開する。
関係施策を強力に推進するため、経済団体、労働団体、関係する職能団体、当事者等の団体及び支援団体、関係する学会と連携する。
また、直接自殺対策に関係する活動を行っている団体以外の、広い意味での自殺対策に資する活動を展開している団体。
さらに自殺対策に関する普及啓発事業等に協力することのできる全国組織・体制を有する団体等、できる限り幅広い団体からの協賛を得る。
当事者が支援を求めやすい環境を作るための「生きる支援」として展開することとしています。

東京都では、毎年3月と9月を自殺対策強化月間として、自殺予防を呼びかけるキャンペーンに取り組んでいます。
3月は、自殺で亡くなる方の数が最も多い月です(厚生労働省 自殺統計から)。
この月間には、関係機関と連携・協力のもと、自殺に関する特別相談や講演会等が実施されます。
こころの悩みを抱えていたり、自殺について一人で思い悩んでいませんか?
あなたのご家族・友人・同僚などまわりの人はこころの悩みを抱えていたり、自殺について思い悩んでいませんか?
その声を聞かせてください。届けてください。
南多摩保健所では、自殺対策の一環としてリーフレット「こころのガソリン不足していませんか?」を作成しました。
うつのチェックリストや相談機関一覧などを掲載しておりますので、ぜひご活用ください。

 

リーフレット「こころのガソリン不足していませんか?」(PDF:1,033KB)


なぜ現代人は辛抱や我慢ができないのですか?

2019年03月07日 10時37分37秒 | 医科・歯科・介護

家電製品の山に囲まれているからかもしれませんね。

何でもスイッチオンすれば直ぐに反応する。

ボタンを押すだけ。
しかし生身の人間は反応が鈍い。

人間には押すべきボタンもスイッチも見当たらないし・・・

だから切れてしまうのです。
「切れる」人間を増やしたのは、せっかちな時代の副産物です。


辛抱強くなる

2019年03月07日 10時24分33秒 | 社会・文化・政治・経済

「何があっても負けない」
「たとえ、どんな煩わしいことや辛いことがあっても、夢だと思って・・・」
「辛抱強くなることだ」
「心の痛みも苦しさも、あとになってみれば、全部、夢のように、消えてしまうものだ。だからこそ、長い目で、時を待つ忍耐を忘れてはならない」
<勝つこと以上に、断じて負けない青春を>


日本会議の正体

2019年03月07日 06時53分16秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
 青木理  (著)

商品の説明

内容紹介

安倍政権とも密接な関係をもち、憲法改正などを掲げて政治運動を展開する、日本最大の草の根右派組織「日本会議」。

虚実入り混じって伝えられる、その正体とは。

関係者の証言を軸に、その成り立ちと足跡、活動の現状、今後の行方を余すことなく描く。 反骨のジャーナリストがその実像を炙り出す、決定版ルポルタージュ。

内容(「BOOK」データベースより)

安倍政権とも密接な関係をもち、憲法改正などを掲げて政治運動を展開する、草の根右派組織「日本会議」。

虚実入り混じって伝えられる、その正体とは。関係者の証言を軸に、その成り立ちと足跡、活動の現状、今後の行方を余すことなく描く。反骨のジャーナリストがその実像を炙り出す決定版ルポ。

著者について

1966年長野県生まれ。 ジャーナリスト90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。社会部、外信部、ソウル特派員など経て、06年にフリーとなる。

主な著作に『日本の公安警察』『絞首刑』『誘蛾灯──二つの連続不審死事件』『抵抗の拠点から──朝日新聞「慰安婦報道」の核心』(いずれも講談社)、『ルポ 拉致と人々──救う会、公安警察、朝鮮総聨』(岩波書店)、『トラオ 徳田虎雄不随の病院王』(小学館)、『青木理の抵抗の視線』『ルポ 国家権力』(いずれもトランスビュー)などがある。



 

 

 


日本会議の研究

2019年03月07日 06時28分58秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
菅野 完  (著)

商品の説明

内容紹介

「日本会議」とは何なのか?

市民運動が嘲笑の対象にさえなった80年代以降の日本で、めげずに、愚直に、地道に、
そして極めて民主的な、市民運動の王道を歩んできた「一群の人々」がいた。

彼らは地道な運動を通し、「日本会議」をフロント団体として政権に影響を与えるまでに至った。
そして今、彼らの運動が結実し、日本の民主主義は殺されんとしている。――

安倍政権を支える「日本会議」の真の姿とは? 中核にはどのような思想があるのか?
膨大な資料と関係者への取材により明らかになる「日本の保守圧力団体」の真の姿。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

菅野/完
著述家。1974年、奈良県生まれ。一般企業のサラリーマンとして勤務するかたわら執筆活動を開始。

退職後の2015年より主に政治分野の記事を雑誌やオンラインメディアに提供する活動を本格させる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本の内容は書名通り。

安倍政権の“黒幕”と噂される右派団体・日本会議とは何かという疑問にわかりやすく応えている。

「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、新憲法制定を求める1000万人署名をめざす団体だが、一般の人には素性がよくつかめない。

が、菅野さんは単純明快な方法でその素性を暴く。

会の共同代表3人のうち2人は日本会議の名誉会長や会長。

会の事務局長も日本会議事務総長で、その他の役員もほとんど重複している。だから、日本会議の別働団体にほかならない、と。

日本会議は歴史教科書の採択など個別のテーマごとに別働団体を作り、草の根の運動のような形をとって政治に働きかけ、目的を達成してきたからだ。

彼らが勝負をかける「改憲」では、前述の「国民の会」のほか「新憲法研究会」や「『二十一世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(通称「民間憲法臨調」)が作られている。
日本会議は地方支部などを通じて地方議会の議員に盛んに働きかけている。

「憲法改正の早期実現を求める地方議会決議」を行った地方議会は25府県議会・36市区町村議会にのぼった。
中央を動かすには地方から、という戦略の有効性を日本会議は熟知している

日本会議の運動方法は、その手法よりも、その規模の大きさと執拗さにこそ特色がある。

日本会議や関連団体が実施するイベントには、毎回、多数の参加者がおり、各種団体が連日あちこちでさまざまなイベントを開催している。(略)この動員力こそが、日本会議の特徴だ〉と語る。

では、その動員力の秘密は?。

菅野さんは地方での請願や署名集めなど最前線を担っているのは、各種の宗教団体が動員した運動員たちだと言う。

佛所護念会、霊友会、キリストの幕屋、神社本庁、天台宗、国柱会、崇教真光……神道系、仏教系など、実にさまざまな教団が日本会議に加わっている。

これはいわば宗教右翼の統一戦線だ。
日本の右翼の伝統は少数精鋭主義
ところが日本会議はちがう。
その運動論においてはどこまでも左翼を模倣する奇妙な性格の団体なのである。
日本会議の事務局は「日本青年協議会」(日青協)という右翼団体だ。

'70年安保のころ誕生した民族派学生運動に源流を持ち、運動の担い手は、生長の家の創始者・谷口雅春(1893~1985年)の皇国思想を奉じる学生信徒たちだった。

実は菅野さんの仕事の最大の意義は、日本会議の中枢=日青協という事実をさまざまなデータで裏付けたことだ。

そして半世紀前に形成された日青協人脈が安倍政権の周囲に張り巡らされていることを具体的に立証したことにある。
日青協副代表だった衛藤晟一参院議員は安倍首相側近で、日青協とのパイプ役になり、生長の家青年会の幹部だった伊藤哲夫・日本政策研究センター代表は安倍首相の有力ブレーンとして知られるようになる。

そして生長の家系のサークル団体「全日本学生文化会議」の結成大会(1969年)実行委員長だった百地章氏。

彼は菅官房長官が挙げた「集団的自衛権の行使容認を合憲とする」3人の憲法学者の1人となる。
安倍政権の反動ぶりもヘイトスピーチの嵐も『社会全体の右傾化』がもたらしたのではなく〈一部の人々が長年にわたって続けてきた『市民運動』の結実なのではないか?〉という著者の問いの立て方である。

 


 

 

 
 
 

 

『大衆の反逆』

2019年03月07日 05時53分55秒 | 社会・文化・政治・経済

オルテガ「大衆の反逆」

 

大衆の反逆西La rebelión de las masas1929年)はホセ・オルテガ・イ・ガセットの著書である。

民主主義の欠陥。
責任のない存在としての「大衆」。
オルテガの言う「大衆」は、いわゆる庶民とは違う。
彼は「大衆」を「平均人」と表現している。
その特徴として、「質を共通にするものであり、他人から自分を区別するのではなく、共通の型を自ら繰り返す人間」としている。
「大衆とは、自らを、特別な理由によって―よいとも悪いとも評価せず、他人と自分が同一であると感じていい気分になっている。
オルテガの「大衆」には知識人も入っている。
自分たちと異なる意見を持つ人々を認めない。
しかも歴史に学ばない愚かな指導者に先導されてしまう。
ドイツでヒトラー率いるナチスが誕生。
イタリアではムッソニーのファシスト党が政権を取る。
ヨーロッパでは全体主義の波が押し寄せようとした。
そうしたさなかの1929年、オルテガが「大衆の反逆」を出版した。
「大衆」のあり方を分析し、同時代の危機を訴えた。
刊行後約90年がたつが、その思想的な射程は現在にも及んでいる。
イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領を選択した大衆たち。
大衆は深く考えず、聞こえのいい方に流される。
我が国の戦前も然り、大本営に騙され「勝った、勝った」としばし戦勝ムードに国民は歓喜したのである。

国民を新聞も煽ったのである。
世のの風潮に流されず、自分自身であるために努力をつづけることが、「高貴な生」である。
「大衆」に対するものとして「貴族」を挙げた。
「大衆」の生は根なし草で、流されていくもの。
「貴族」は「努力する生」のことで、「つねに自分に打ちか克ち、自らに課した義務と要請の世界に現実を乗り越えて入っていく用意のある生」。
周りに影響されない、屹立した自己を築け、とオルテガは警告している。
「高貴な人」は、努力す人、卓越した人といことに相当する。
政治家学者の中島岳志さんによれば、オルテガのこうした主張が、現代の民主主義の問題点や限界を見事に照らし出しているという。

「風潮」の時代への痛烈な批判である。