高齢者狙い「アポ電強盗」 都内で3件、手口似る
2019/3/2日本経済新聞
東京都江東区のマンションで一人暮らしの80歳の女性が手足を縛られて死亡しているのが見つかった事件。事前に現金の有無を尋ねる「アポ電(アポイントメント電話)」がかかってきていたことなど、1~2月に渋谷区で起きた2件の強盗事件との共通点が判明した。警視庁は同一グループによる犯行の疑いがあるとみて、現場で目撃された3人組の行方を追っている。
2月28日午前11時ごろ、江東区東陽のマンション玄関に、上下黒い服でフードをかぶりマスクを着けた人物が入っていく姿を防犯カメラがとらえていた。数分置いて同じような服装の2人目、3人目も。そして約30分後、3人は一斉にマンションから出てきた。
同じ3人とみられる人物が近くに止まっていた軽自動車に急いで乗り込み、一方通行を逆走して走り去る様子も目撃されていた。
マンションの3階に住む加藤邦子さん(80)の遺体を、訪ねてきたケアマネジャーが発見したのは同日午後1時50分ごろ。加藤さんは粘着テープなどで手足を縛られており、室内には棚や引き出しを物色した跡があった。司法解剖の結果、加藤さんは首を圧迫されるなどして窒息死した疑いがあることが分かった。
加藤さんは2月中旬に「お金はありますか」という不審な電話を受けたと知人男性に相談していた。警視庁は強盗の標的を探し、家にある現金の額を確認する「アポ電」だった可能性があるとみている。
1~2月には渋谷区で類似の事件が相次いで発生していた。
1月11日未明、渋谷区初台の住宅に3人組が押し入り、90代の夫と80代の妻を縛ったうえ、現金約2千万円と宝石を奪って逃走。2月1日朝には渋谷区笹塚の住宅に3人組が押し入り、80代の夫と70代の妻を結束バンドで縛り、約400万円を奪って逃げた。
どちらの事件でも、事前に被害者宅に家族を装って「病気になったのでお金が必要」と尋ねるなど不審な電話がかかってきていた。
3つの強盗事件はアポ電や3人組という人数、押し入って手足を縛る手口などが共通しているうえ、渋谷区笹塚の事件で逃走に使われた車と、江東区の事件の車の通行記録にも類似点があることが判明。警視庁は3つの事件が同一のグループによる犯行の疑いがあるとみている。
「アポ電」は近年、オレオレ詐欺などの下調べの手口として目立つようになり、都内では2018年1年間に約3万4千件が確認された。前年と比べて約3割増加した。
息子を装って「会社のカネを使い込んでしまった。預金はどのくらいある?」と尋ねるなどし、その後、息子の知人などを装った詐欺グループの実行役が自宅を訪ねてくるといったパターンが多い。
渋谷区初台の強盗事件の現場近くでは、18年末ごろからアポ電のような不審電話が相次いでいたとされ、今回の3つの事件では当初から強盗の標的とする高齢者を探す目的でアポ電が使われた可能性がある。
警察幹部は「詐欺よりさらに粗暴な強盗という手段に出る者が現れ、今回は犠牲者まで出てしまった」と危機感を見せる。「預金や自宅の現金を尋ねるような不審な電話がかかってきても絶対に答えず、警察に通報してほしい」と呼びかけている。
オレオレ詐欺が凶悪化?
息子装う電話、2日後に強盗
2019/1/20
東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。
捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。
その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。
覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。
警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。
高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。
夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。
東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。
捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。
その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。
覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。
警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。
高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。
夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。
東京都内の高齢夫婦宅に息子をかたって家にある現金を尋ねる不審な電話があり、2日後、押し入った3人組の強盗に数千万円を奪われる事件が起きた。専門家は「詐欺より手っ取り早く、暴力を使って金を奪う新たな手口の可能性がある」と注意を呼びかけている。
捜査関係者によると、9日、渋谷区の90代の夫と80代の妻が暮らす住宅に息子をかたる男から「病気になったのでお金が必要」と電話がかかってきた。家にある現金の額を尋ねられ、夫婦は相手が息子だと思い込んで「2千万円なら用意できる」と答えてしまった。
その後、息子と話して偽者だったと気づき、息子は9日のうちに警視庁に相談。同庁は多額の現金を家に置かないよう夫婦に防犯指導をした。
覆面をした男3人が夫婦宅に押し入ったのは翌々日の11日未明。夫婦を縛って現金数千万円と貴金属類を奪い、夫は顔を殴られてけがをした。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺で、事前に相手を信用させるために「携帯電話の番号が変わった」「病気になって声が出ない」などと電話を入れる手口は「アポ電」(アポイントメントをとる電話の意味)と呼ばれる。
警視庁によると、2018年1年間に把握したアポ電は都内だけで3万件超。今回の事件はアポ電で多額の現金があることを確認して犯行に及んだ可能性が高いという。
高齢者の詐欺被害防止活動に携わる警視庁OBの鷹見昇さん(64)は「特殊詐欺への警戒が広がるなか、言葉巧みにだますのではなく、手っ取り早く暴力で現金を奪う手口が今後増える恐れがある」と懸念する。
夫妻宅の近隣住民によると、近所では18年末ごろに同様の不審電話が相次いでいた。鷹見さんは「アポ電は同じ地域に集中する傾向があり、住民同士で情報を寄せ合って予兆を共有することも対策として有効だ」と話している。
カードすり替えやアポ電強盗、特殊詐欺「新型」まん延
2019/2/21
オレオレ詐欺など特殊詐欺の被害が後を絶たない。警察庁が21日に発表した2018年の集計(暫定値)では年間の被害額は356億円で、1日あたり1億円、1件あたり228万円がだまし取られている計算だ。キャッシュカードをすり替えたり、電話をかけた後に被害者宅に押し入ったりするなど新たな手口も確認されている。
「あなたのキャッシュカードが不正に利用されている」。ある日、警察官や金融庁職員を装った人物から電話がかかってくる。その後、自宅を訪ねてきた人物が「カードを止める必要があるので暗証番号を書いたメモと一緒に厳重に保管を」と嘘を言い、持参した封筒にカードを入れさせる。その上で「封筒に割り印が必要」と言って印鑑を取りに行かせ、その間に偽のカードを入れた別の封筒とすり替え、本物のカードを持ち去る。
警察庁によると、17年ごろからこうした手口が目立つようになった。被害者には「カードを渡した」という認識がないため犯行に気付くのが遅れ、犯人に口座の金を引き出されてしまうという。
すり替えの手口は詐欺ではなく窃盗となり、特殊詐欺の被害としては計上されていないが、警察庁は実質的に特殊詐欺の一種として18年分の被害を初めて集計。全国で1348件、18億9千万円の被害が確認され、警察は警戒を強める。
荒っぽい事件も起きている。今年1月、東京都渋谷区の高齢夫婦宅に息子をかたって「病気になったのでお金が必要」と電話があり、自宅にある現金の額を確認。2日後に覆面姿の男3人が家に押し入り、数千万円と貴金属類を奪った。2月にも同じような手口で別の高齢者宅から現金約400万円が奪われた。
こうした犯行は相手を信用させるため事前に電話(アポイント電話)をすることから「アポ電強盗」ともいわれる。特殊詐欺と手口が重なり、捜査当局は背後に同じグループがいる可能性もあるとみる。警視庁幹部は「ATMの引き出し制限など対策が進み、手っ取り早く現金を手にしようとしているのではないか」と指摘する。
被害防止のためには、多額の預金引き出しや振り込みをしようとする高齢者への注意喚起が重要とされる。金融機関は窓口で使い道を聞いたり、詐欺に該当しないか確認するチェックシートを示したりしている。
ただ警察庁がオレオレ詐欺の被害者(未遂含む)1099人にアンケートしたところ、実際にだまし取られた人の27.7%が、被害に遭う前に金融機関の職員らから声をかけられていた。内容を分析したところ、使途を聞かれただけでは被害を防ぎきれないことが明らかになった。
「上司ら複数の人から説明を受ける」「応接室に案内される」といった対応で思いとどまるケースが多く、警察庁の担当者は「より踏み込んだ対応が有効」として金融機関などに協力を求める方針だ。