「子ども食堂」とは?
先進国の中では突出して 「相対的な貧困状態」にある子どもが多い現代の日本。
厚生労働省発表の「子供の相対的貧困率」は16.3%に上り、6人に1人の子どもが貧困状態にあるといいます。
こうした中、子どもの貧困対策のひとつとして注目を集めたのが「こども食堂」です。現在は貧困対策としてだけでなく、地域のコミュニティの場として、役所や地元企業、住民たちの協力により全国に広がり、運営形態は様々ですが、子ども食堂とされる場所は全国に2000か所以上あると言われています。
場所、食事、時間帯など運営者によって変わりますが、基本的には、無料または数百円で子どもたちに食事を提供するスタイルです。
ただし、ボランティアによる運営も多く、子ども食堂を続けることの難しさや、地域の理解、本当に温かい食事を必要としている子どもに届いているのかなど、課題も出始めています。
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日本では、一度「軌道」から外れてしまうと、極端に生活が苦しくなってしまう。
人は一人では生きていけない。
困った時には遠慮なく助けを求め、助けられる時は全力で助ける。
それが当たり前だと思います。
人と出会い、思うことによって、人は変わりゆくことを描きたかった。
子どもたちの変わっていく姿に、希望にも似た思いを込めています。
映画監督日向寺太郎さん
解説
藤本哉汰と鈴木梨央のダブル主演で、子どもの目線から現代社会の貧困問題を描いたドラマ。
「火垂るの墓」「爆心 長崎の空」の日向寺太郎が監督を務め、脚本には「百円の恋」「14の夜」の足立紳が参加している。
小学5年生の高野ユウトは食堂を営む両親、妹とともに何不自由ないおだやかな毎日を過ごしていた。
幼なじみのタカシの家は母子家庭で、タカシの母はわずかなお金を置いたままほとんど家に戻ってくることはなかった。
そんなタカシを心配したユウトの両親は食堂に招き、頻繁に夕食をごちそうしていた。
ある日、ユウトたちは河原で父親と車上生活をしているミチルとヒカルの姉妹に出会う。彼女たちの境遇を気の毒に思ったユウトは実家の食堂に姉妹を連れて行き、2人にも食事を出してほしいと両親に願い出る。
そして数日後、姉妹の父親が姿を消し、ミチルたちは行き場をなくしてしまう。
ユウト役を藤本、ミチル役を鈴木が、食堂を営むユウトの両親役を吉岡秀隆、常盤貴子がそれぞれ演じる。
スタッフ
監督日向寺太郎
原作 足立紳 脚本 山口智之 製作 鈴木ワタル
キャスト
藤本哉汰 高野ユウト
鈴木梨央 木下ミチル
浅川蓮 大山タカシ
古川凛 木下ヒカル
田中千空 高野ミサ
豊かに見える今の日本社会のひずみを受け、満足な食事をとることのできない子ども達がいることをご存知でしょうか。
そんな子どもたちの拠り所となる“子ども食堂”が、地域の新たなコミュニティの場として全国各地に広がっています。
なぜ今子ども食堂が必要とされているのか…。
そのテーマを子ども視点から描き出したのは、『火垂るの墓』で戦禍のなか精一杯生きる兄妹と向き合った日向寺太郎監督と、2014年『百円の恋』(武正晴監督)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した脚本家の足立紳。
2年に渡る脚本づくりを経て、弱者に不寛容な現代社会でも、子どもの純粋な気持ちは社会を変えることができるかもしれない、という希望が見える作品が誕生しました。
そしてダブル主演の藤本哉汰、鈴木梨央らの瑞々しい姿、ユウトの両親を演じる吉岡秀隆と常盤貴子の温かい眼差しが心を打ちます。