「物質的価値」から「精神的価値」へ社会の転換期だ

2021年09月25日 22時38分34秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

日本は、サービス産業をはじめとする第三次産業が、雇用の70%を占めている。
製造業などの第二次は25%、農業などの第一次は4、5%。
つまり、小さな産業が積み重なって経済が回っている。

今日、限りない拡大・成長路線が成り立たなくなっている。
今日の気候変動を見ても明らかだ。

その意味で「脱成長」を志向すべきだ。
量的拡大を唯一絶対の目標にするような在り方ではなく、「持続可能な発展」「定常化社会」を目指すべきだ。
「一本道」を皆で登るのではなく、一人一人が創造性を発揮する。
結果的に、持続可能な発展ができることもある。
「地球環境の有限性」だ。
環境や資源が有限であるという事実を直視し、いかに生きていくかが人類に問われている。
「生命の有限性」を直視しべきだ。
「不老不死」などあり得ない。
資本主義のような無限の拡大を目指す思考が根底にあることに気付きべきだ。
むしろ、人間の一生は有限であることを、積極的に捉えるべきだ。
人間は誰しもいつかは死ぬ。
コロナ禍にあっては、人間の<心の充実>に価値を見出すことだ。

京都大学こころの未来研究センター副センター長 広井良典教授

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広井教授のインタビュー記事「成長神話のその先へ」が毎日新聞に掲載されました

 広井良典教授のインタビュー記事が毎日新聞2017年1月11日付夕刊に掲載されました。同記事は「この国はどこへ行こうとしているのか2017」というシリーズの1回目で、「成長神話のその先へ」と題するものです。
 トランプ現象やイギリスのEU離脱などに新たな解釈を行いつつ、著書『ポスト資本主義』での議論も踏まえながら、人口減少が本格化し、高度成長期とは異なる「ポスト成長」時代の新たな社会像や価値を見出していくポジションにある日本が実現していくべき方向や対応のありようを、「人生前半の社会保障」と若者支援、「地域への離陸(ローカライゼーション)」などの柱にそくして語る内容になっています。

この国はどこへ行こうとしているのか2017 京大教授・広井良典さん
「成長神話のその先へ」
 これからは「ポスト資本主義」の道を探るべきだと主張している広井良典さんが、「拡大・成長」にひた走る社会への漠然とした違和感を自覚したのは、実に中学2年ごろにさかのぼる。時代は1970年代半ばだった。
 ♪恋人よ ぼくは旅立つ 東へと向かう列車で……
 75年末に発売された、太田裕美さんが歌う「木綿のハンカチーフ」(松本隆さん作詞)。華やかな都会に向かって旅立つ恋人との別離の切なさが時代とシンクロし、爆発的にヒットした。だが、岡山県で暮らしていた広井さんは「全てが東京に向かう」社会の空気に同調しきれなかった。「偏差値」や「順位」ばかりが重んじられる、経済成長と表裏一体の教育の有りようにも反発心を覚えた。
 振り返ると、70年代は現代と似ていると思っている。「拡大・成長をひたすら求める流れがある一方、国際的シンクタンク『ローマクラブ』が『成長の限界』というリポートを出し、石油ショックや公害が顕在化していて、経済成長だけで人間は豊かになるのか、という議論が盛んにあった」。それでも情報化、グローバル化などをテコに、80年代以降も社会の成長への渇望は止まらなかった。
 あれから約40年。古都で研究を続ける広井さんは今が時代の転換期にあると感じている。「経済が人口も含めて『拡大・成長』を続けていた時代から、別の豊かさのあり方に方向転換していく岐路に立っています。2016年に起きた個々の事柄は、今後も限りない成長の追求を続けるか、別の豊かさを志向するのか、両者がせめぎ合う時代状況を示しています」(中略)
 このような自身の考えを世に問うたのは、15年に出版した「ポスト資本主義」(岩波新書)。….
(2017.1.11 毎日新聞夕刊/記事より)

この国はどこへ行こうとしているのか2017 京大教授・広井良典さん | 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20170111/dde/012/040/002000c
《記事で紹介された書籍》
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『ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来 』(岩波書店/2015年)

 


京都大学こころの未来研究センター

2021年09月25日 22時18分11秒 | 社会・文化・政治・経済

設置目的

こころの未来研究センターは、心理学、 認知科学、 認知神経科学、 公共政策、 美学・芸術学、 仏教学など「こころ」に関わる多彩な専門分野の研究者が集い、 研究や教育、 実践に取り組み、 その成果を広く社会に発信します。

設置理念

1本センターでは、多様なアプローチによってこころの総合的研究を推進することにより、こころとは何か、こころはどのようにして未来を志向する自律的な存在となりうるのか、という根源的な問いに対する答えを探求する。

2連携部局および連携研究機関と協力し、こころとからだ、こころときずな、こころと生き方の3領域にかかわる研究を行うとともに、領域内の個別の研究にとどまらず、領域を繋ぐ融合研究の枠組みを構築し、こころの多様な側面の相互連関に係る研究を推進する。

3本センターにおける研究成果に基づき、顕在化しているこころの問題に対する本質的な解決策の提言をめざす。

4国内外の研究者コミュニティーに開かれた研究拠点として、国内および海外研究機関の研究者・専門家との相互交流を積極的に推進する。

5地域の機関や企業等との連携を通して、本センターの研究・教育機能を地域社会の期待や要請に対応しうる形で充実させるとともに、研究成果を広く社会に還元することによって、こころについての科学的知識の普及を図る。

6本センターを核として、学内関連部局との連携研究を強力に推進することにより、京都大学におけるこころに関する研究のより一層の充実・発展に貢献する。

京都大学こころの未来研究センターの沿革

2007年4月
京都大学こころの未来研究センター創立。 構成員は教授 4名。

7月
京都大学こころの未来研究センター設立記念シンポジウム「こころの探求」を開催(於:京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール)。

2008年3月
京都大学こころの未来基金の設置。

6月
第1回「こころの広場(こころと里山)」を開催。共催:京都府。(以後、2014年度まで毎年開催)

9月
京都大学関田南研究棟の改修工事が修了し、センター別館として利用開始。

9月
『こころの未来』創刊号発刊。

10月
京都大学稲盛財団記念館竣工披露式を挙行。

11月
京都大学稲盛財団記念館に移転。

2009年12月
こころの科学集中レクチャーを開講。(以後、毎年開講)

2010年2月
こころの未来研究センター研究報告会を開催。(以後、毎年開催)

2011年4月
「東日本大震災とこころの未来」サイトを開設。

2012年4月
南部総合研究1号館に共同利用施設「こころの未来研究センター連携MRI研究施設」(文部科学省最先端研究基盤事業「心の先端研究のための連携拠点[WISH]構築」による)を設置。

4月
公益財団法人上廣倫理財団の寄附により「上廣こころ学研究部門」を設置(2017年4月に「上廣倫理財団寄付研究部門」に改称)。

4月
「ブータン学研究室」を設置。7月に第1回ブータン文化講座を開催。(以後、毎年開催)

2013年2月
こころの未来研究センター連携MRI研究施設開設記念シンポジウムを開催。

2月
こころを整えるフォーラム「観阿弥生誕680年・世阿弥 生誕650年記念―観阿弥・世阿弥の冒険」を開催 (於:大江能楽堂)。

8月
「支える人の学びの場 こころ塾2013」を開講。(以後、毎年開講)

9月
fMRI解析セミナーを開講。(以後、毎年開催)

12月
脳科学集中レクチャーを開講。(以後、毎年開催)

2014年1月
上廣こころ学研究部門研究報告会を開催。(以後、毎年開催)

2月
fMRI体験セミナーを開講。(以後、毎年開講)

4月
国際会議「Mapping the Mind(こころの再定義):科学者・宗教者とダライ・ラマ法王との対話」 を開催(於:京都ホテルオークラ)。

5月
京都大学東京オフィス連続講演会「東京で学ぶ京大の知」(第1回~第4回)を開催(於:京都大学東 京オフィス)。

10月
「くらしの学び庵:孤立防止のための互助・自助強化プログラム開発研究プロジェクト」を開講(於:風伝館)。(以後、2016年度まで毎年開講)

2015年4月
公益財団法人稲盛財団の寄附により「京都こころ会議」が発足し、調印式を挙行(於:京都大学百周年時計台記念館迎賓室)。

5月
株式会社日本たばこ産業の寄附により「こころの豊かさ研究部門」を設置。

9月
第1回京都こころ会議シンポジウム「こころと歴史性」を開催(於:京都ホテルオークラ)。(以後、毎年開催)

9月
阿部修士特定准教授が日本心理学会国際賞奨励賞を受賞。

9月
「こころの思想塾」を開講。(以後、毎年開講)

11月
ブータン王国Royal Thimphu CollegeとMOU(基本合意書)を締結。

2016年4月
「アジア文化塾」を開講。(以後、毎年開講)

10月
フィリピン共和国 The College of Social Sciences and Philosophy, University of the Philippines Diliman と MOUを締結。

11月
内田由紀子特定准教授(肩書は受賞時)が日本心理学会国際賞奨励賞を受賞。

2017年3月
シンポジウム「認知症ケアを問い直す:人間らしくあるということ~ユマニチュード」を開催。

7月
京都大学こころの未来研究センター創立10周年記念シンポジウム「こころの科学と未来社会」を開催(於:京都大学百周年時計台記念館百周年記念 ホール)。

9月
Kyoto University and Goldsmith, University of London International Symposium「Future Mind」を開催(於: Goldsmiths, University of London)。

9月
第1回京都こころ会議国際シンポジウム「こころと共生」を開催(於:京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール)。

2018年2月
ブータン王国The Center for Bhutan Studies and GNH ResearchとMOUを締結。

4月
河合俊雄教授がセンター長に就任。


京都大学こころの未来研究センターは2007年4月に発足した、こころに関する学際的研究を推進し、それを元に社会に貢献するユニークな研究組織です。スタッフの研究分野は、神経科学、認知科学、文化・社会心理学、臨床心理学、仏教学、美学、公共政策学など、自然・人文・社会科学に広くまたがっています。発足当時は小さなセンターでしたが、様々なプロジェクトが加わり、また連携MRI研究施設も導入されて、文理融合型の組織として発展し、2017年7月30日には吉川左紀子初代センター長の下で創立10周年記念シンポジウムを開催することができました。

本研究センターは、英語名称にもKokoroを入れているように、日本語の「こころ」が持つニュアンスと広がりを大切にして研究しています。こころは、mind、spirit、soulなどで訳しきれるものではなくて、それどころか物や自然にまで広がっています。美的なものや芸道とのつながりも、日本での「こころ」の独特さを示しています。また「こころの未来」という名称は、未来ということばに含まれるヴィジョン性を志向しています。つまり単にこころの様々な面を研究するにとどまらず、未来社会における、こころのあり方や生き方についてのヴィジョンを模索し、提供していこうというものです。

科学技術の進歩やグローバル経済の発展はめざましく、欠くべからざるものですが、それは自然破壊、格差社会など新たな問題も生み出し、同時に原理主義などの反動も引き起こしています。さらには時代の変動に伴うこころの変化は、不適応やうつなど、個人においては否定的なものでまず現れてきます。それに対して、こころのケアやサポートなどの個別対応も重要ですが、時代とともに、こころはどのような方向に変化してきているのか、物質的な利便性や豊かさと異なるこころの豊かさとは何かというヴィジョンが必要です。

このような問いを受けつつ、本センターでは、こころに対して、実験・調査、実践、文献という異なる方法論で研究をしています。それは脳機能、認知などを実験によって研究する方法を取ることもあれば、人の行動や関係について社会的な調査を行うこともあり、また心理療法などの実践から研究することもあれば、仏教学のように文献を研究するという方法もあります。本センターではこころの研究領域として、「こころとからだ」、「こころときずな」、「こころと生き方」を挙げています。「こころとからだ」では、こころを脳から、また身体との関係から、「こころときずな」では、人間関係や社会でのこころを、「こころと生き方」は、世界観などとの関連でこころを研究するものです。本センターにおける多くの専門分野が、主にどれかの研究領域に入ると同時に、切り口としての3つのキーワードのどれにも関連しているとも言えます。

現在、多くの学問分野で、人のこころについての研究が進められています。しかし、いずれの分野でも専門化・細分化が進み、こころについてのグランドデザインが見失われがちです。これに対して本センターでは、各専門分野でトップレベルの研究を進めると同時に、それがこころそのものの探求と、未来のこころというヴィジョンをもたらすことを追究しようとしています。また国内、国外の研究組織を結ぶ研究者ネットワークを構築し、その相互交流を促進することにより、本センターが創造的な学際空間として機能することをめざしています。さらにはウェブサイト・学術情報誌『こころの未来』からの情報発信、京都こころ会議を含む公開シンポジウム、ワークショップ、セミナー等の開催を通じて、センターの研究活動、研究成果を広く社会に発信する役割をこれからも積極的に果たしてゆきたいと考えています。本センターの活動に対する、あたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

こころの未来研究センター長河合 俊雄

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吉川左紀子初代センター長(2007-2017)ご挨拶

   センターについて 

京都大学こころの未来研究センターは2007年4月に発足し、研究活動を開始することになりました。本研究センターは、異なる学問領域の研究者が集い、こころに関する学際研究を推進する、他に類をみないユニークな研究組織です。

「こころの未来」という名称には、こころのうちに生まれる未来の時間、成長するこころが生きる未来社会、という二つの「時」の概念が織り込まれています。私たち、センターに所属する研究者は、これから本研究センターで実施してゆく学際研究の成果によって、この二つのこころの時間がより豊かなものになることをめざしています。

こころは、私たち一人ひとりのうちにある、かけがえのない「何か」であり、直接目で見ることのできないはたらきです。私たちにとって、身近な存在であるはずのこころですが、そのはたらきの不全・不調から生まれるさまざまな問題が、21世紀を迎えた現代社会の中で、多くの困難な事態を引きおこしています。

とつぜんの感情の暴発、人との関わりの拒絶、無気力・無関心、自損行為、依存癖等々、こうしたこころの在りようは、なぜ、何を契機として生じるのでしょうか。どうすれば、人はそうした状態に陥らずに、豊かで生き生きとした、自律的なこころを自ら育むことができるのでしょうか。

こうした問いに対する答えをみつけることは、そう簡単ではありません。問題を解く手がかりを見出すには、進化という時間軸上で生まれた生物としての人のこころ、歴史や文化という風土の中で生きる人のこころ、誕生から死までのライフサイクルの中で生きる人のこころ、という3つの時間の流れの中で、人のこころの特徴を捉える、統合的な枠組みが必要です。

こうした枠組みのもとで、知性、感情、意識、価値観、共感、コミュニケーションといった、多様なこころのはたらきひとつひとつを実証的・実践的に明らかにすること、さらに、こうした個々のはたらきが、どのようにして豊かな個性をもったひとりの人間の「こころ」として、調和した機能をもちうるのかをもう一度問い直すこと、その丹念な研究の積み重ねによって、初めて、先に挙げたさまざまなこころの問題に対する解決の糸口が見出せるのではないでしょうか。本センターはこうした統合的アプローチを積極的に取り入れ、その成果を広く社会に発信してゆきたいと考えています。

現在、多くの学問分野で、人のこころについての研究が進められています。しかし、いずれの分野でも専門化・細分化が進み、ともすれば、研究者の思考そのものが、ミクロな世界あるいは抽象的な思考の世界に入り込み、リアリティをもった、等身大のこころのはたらきを見失う危険性をはらんでいます。

こうした現状を変えてゆくには、それぞれの学問分野における専門家が学際的に協同し、等身大のこころの姿をもう一度視野の中心に据えて研究を行なう場が必要です。本センターでは、このような考え方のもと、総合的研究拠点としてこころに関する多様な連携・融合研究プロジェクトに取り組みます。

加えて、国内、国外の研究組織を結ぶ研究者ネットワークを構築し、その相互交流を促進することにより、本センターが、新たな連携研究・融合研究を生み出す創造的な学際空間として機能することをめざします。

また、ウェブサイトからの情報発信、公開フォーラム、ワークショップ、セミナー等の開催を通じて、センターの研究活動、研究成果、こころに関する科学的知識等を広く社会に発信する役割も積極的に果たしてゆきたいと考えています。本センターの活動に対する、あたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

 


藤井3冠の強さが表れた1局 JT杯で見せた精度のブレない指し回し 真田圭一八段解説

2021年09月25日 22時04分43秒 | 社会・文化・政治・経済

9/25(土) 21:12配信

ENCOUNT
羽生善治九段を破って勝ち上がった千田翔太七段と激突!

藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】

 藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が千田翔太七段(27)と戦う将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の2回戦第4局が25日、「ABEMAスタジオ シャトーアメーバ」(東京・渋谷)で行われ、先手の藤井3冠が113手で勝利。準決勝進出を決めた。注目の1戦を振り返る。

【写真】つるの剛士、屋根裏の将棋部屋を模様替え 「オシャレな秘密基地」「旅館かと思った」と話題

 JT杯日本シリーズは特色のある棋戦だ。何よりの特徴は、超早指しであること。持ち時間は10分で、切れたら30秒の秒読み。1分の考慮時間が5回ある。先日まで藤井3冠が激闘を繰り広げたタイトル戦の番勝負と比べると、フルマラソンと100メートル走くらいの違いがある。

 早指しの場合、才能ある若手の将棋は特に面白さが増す。じっくりと考える時間がないので、頼りになるのは直感力とセンス。また、際どい場面で怖くても踏み込むのか、安全第一なのか。棋風や性格も表れやすい。藤井3冠の場合、年齢的には若手でも実績は既に超一流。よって見所は、普段の正確無比な指し手を支える読みの量を削られる状況で、どういった指し回しをするのかにある。

 対戦相手の千田七段は若手実力者。いち早くAIを搭載した将棋ソフトを研究に取り入れ“AI将棋の申し子”ともいわれ、早指しにも強い。本棋戦では前局で羽生善治九段(50)を負かしている。対藤井戦でも勝利の実績があり、好勝負を予感させる対戦だ。

 さて、藤井3冠の先手で始まった本局は出だしこそ相掛かり模様だったが、17手目▲7七角、続く△3三角とお互いに珍しい角上がりの結果、角換わり腰掛け銀の定跡形に合流した。

 その後、日本シリーズ独特の封じ手システムを挟み、その封じ手43手目▲8八玉と入城した直後、藤井3冠は総攻撃を開始する。目を引いたのが59手目▲6二角~63手目▲7三歩。やや細い攻めで、特に自陣にいる飛車と連動してないので切れ筋に陥る危険もある。受けも強い藤井3冠だが、中盤で互角からリードを奪う段階においてはこのように攻撃的な指し手もよく出る。やはり、リスクを負わずに局面を良くすることはできないという価値観があるのだろう。

「なんとなく怖い」を打ち負かす強さが光った

真田圭一八段の新著「矢倉の手筋」(マイナビ出版)

 対する千田七段も、慌てずに丁寧に対応する。ポイントは76手目にあったと思う。受けの方針を貫くなら、△1三香と香を渡さない指し方もあっただろう。本譜は攻め合い志向の△8六歩。ずっと受けに回っていた側が、いつ攻め合いに転じるかはプロでも本当に難しく、それこそいくら時間があっても足りないくらい微妙な判断だ。千田七段が期待したのはその後の78手目△8七歩。この王手の対応は本当に悩ましく、どう応じても一長一短で、まさしくセンスが問われる局面だ。私が最も注目した局面でもある。

 実戦は▲8七同金。この手もかなり指しにくい手だ。玉の横腹が空く、△7五桂で金を削られる等、マイナスを挙げればキリがない。だが他の対応より、本譜が一番マイナスが少ないと判断した。この辺りが藤井3冠のセンスなのだろう。

 その後、飛車に弱くなった先手陣だが、安易に遠くに逃げずに85手目▲3九飛と飛車を攻撃活用したのも地味だがしっかりした手。△3八と▲同飛△4九角が気になるが、▲4八飛で飛車を渡しても大丈夫と見切っている。このように、「なんとなく怖い」という気持ちに流されず、はっきり良しとなるまではリスクを背負えるところに強さを感じる。

 内容的には、91手目▲7五桂が攻防の一手で、以下は藤井3冠が攻め切っての勝利となった。早指しでも、1局を通して大きく精度がブレることのない指し回し。藤井3冠の強さがよく表れた1局だったと思う。

真田圭一

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最終更新:
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大谷世代】1994年生まれのプロ野球選手一覧

2021年09月25日 21時41分34秒 | 新聞を読もう
2021年5月22日
 
二刀流としてメジャーで大活躍の大谷翔平選手。
 
大谷選手は1994年生まれですが、この世代はプロ野球界でも数多くの選手が活躍しています。
 
今回は1994年度生まれの大谷世代で活躍中のプロ野球選手をまとめました。
 
・大谷翔平(日本ハム)
 
・藤浪晋太郎(阪神)
 
・森雄大(楽天)
 
・高橋大樹(広島)
大卒ドラフト1位
・大山悠輔(阪神)
 
・佐々木千隼(ロッテ)
 
・田中正義(ソフトバンク)
 
・濵口遥大(DeNA)
 
・柳裕也(中日)
 
・矢崎拓也(広島)
社会人ドラフト1位
・近本光司(阪神)
 
巨人
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
辻東倫 8月11日 内 2012 3位 三重県立菰野高校
田原啓吾 6月12日 投 2012 育1位 横浜高校
吉川尚輝 2月8日 内 2016 1位 中京高校-中京学院大学
畠世周 5月31日 投 2016 2位 近畿大学附属広島高校福山校-近畿大学
松原聖弥 1月26日 外 2016 育5位 仙台育英学園高校-明星大学
高山竜太朗 2月21日 捕 2016 育6位 鹿児島県立鹿児島工業高校-九州産業大学
巨人の大谷世代の選手は6人。
 
2016年ドラフト1位指名の吉川選手はセカンドのレギュラーとして活躍。
 
2016年ドラフト2位の畠投手は1年目に先発として6勝を挙げ、将来のエース候補として期待されています。
 
また、育成で指名された松原選手は支配下に登録され、2020年には2番打者としてリーグ優勝に貢献しました。
 
阪神
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
藤浪晋太郎 4月12日 投 2012 1位 大阪桐蔭高校
北條史也 7月29日 内 2012 2位 光星学院高校
竹安大知 9月27日 投 2015 3位 静岡県立伊東商業高校-熊本ゴールデンラークス
大山悠輔 12月19日 内 2016 1位 つくば秀英高校-白鷗大学
小野泰己 5月30日 投 2016 2位 折尾愛真高校-富士大学
福永春吾 5月14日 投 2016 6位 金光大阪高校中退-徳島インディゴソックス
長坂拳弥 4月28日 捕 2016 7位 高崎健康福祉大学高崎高校-東北福祉大学
近本光司 11月9日 外 2018 1位 兵庫県立社高校-関西学院大学-大阪ガス
木浪聖也 6月15日 内 2018 3位 青森山田高校-亜細亜大学-Honda
齋藤友貴哉 1月15日 投 2018 4位 山形県立山形中央高校-桐蔭横浜大学-Honda
片山雄哉 6月18日 捕 2018 育1位 愛知県立刈谷工業高校-至学館大学短期大学部-福井ミラクルエレファンツ
阪神の大谷世代の選手は11人。
 
2012年ドラフト1位の藤浪投手は1年目から先発ローテに定着し、3年連続で2桁勝利を挙げるなどエース級の活躍。
 
4年目以降は制球に苦しみ、一軍で結果が残せていませんが、2021年は開幕投手になるなど復活が期待されています。
 
 
 
2016年ドラフト1位の大山選手はドラフト指名時にファンから悲鳴を上げられるなど不遇な扱いでしたが、4年目には28HR85打点とブレイク。
 
不動の4番としてチームに欠かせない戦力となっています。
 
2018年ドラフト1位の近本選手は一年目から1番打者として活躍し、新人王と盗塁王を獲得。
 
俊足・好守の外野手として球界を代表する選手です。
 
他にも木浪選手や北条選手なども一軍の戦力として活躍しています。
 
中日
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
濱田達郎 8月4日 投 2012 2位 愛知工業大学名電高校
溝脇隼人 5月17日 内 2012 5位 九州学院高校
若松駿太 2月28日 投 2012 7位 祐誠高校
山本雅士 11月3日 投 2014 8位 広島県立安芸南高校-徳島インディゴソックス
柳裕也 4月22日 投 2016 1位 横浜高校-明治大学
京田陽太 4月20日 内 2016 2位 青森山田高校-日本大学
笠原祥太郎 3月17日 投 2016 4位 新潟県立新津高校-新潟医療福祉大学
丸山泰資 2月5日 投 2016 6位 東邦高校-東海大学
大藏彰人 5月15日 投 2017 育1位 岐阜県立大垣西高校-愛知学院大学-徳島インディゴソックス
岡野祐一郎 4月16日 投 2019 3位 聖光学院高校-青山学院大学-東芝
中日の大谷世代の選手は10人。
 
2016年ドラフト1位柳投手は2017年に11勝を挙げるなど先発として活躍。
 
2016年ドラフト2位の京田選手は1年目からショートのレギュラーに定着し、新人王を獲得。
 
守備の上手いショートとしてチームで欠かせない戦力となっています。
 
広島
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
高橋大樹 5月11日 外 2012 1位 龍谷大学付属平安高校
鈴木誠也 8月18日 外 2012 2位 二松學舍大学附属高校
美間優槻 5月26日 内 2012 5位 徳島県立鳴門渦潮高校
辻空 4月24日 投 2012 育1位 岐阜県立岐阜城北高校
西川龍馬 12月10日 内 2015 5位 敦賀気比高校-王子
矢崎拓也 12月31日 投 2016 1位 慶應義塾高校-慶應義塾大学
床田寛樹 3月1日 投 2016 3位 箕面学園高校-中部学院大学
広島の大谷世代の選手は7人。
 
2012目ドラフト2位の鈴木選手は4年目に.335、29HR、95打点の活躍で25年ぶりのリーグ優勝に貢献。
 
5年連続3割25HRを記録するなどリーグ三連覇の立役者として活躍しています。
 
2015年ドラフト5位の西川選手は卓越したバットコントロールが優れた打者。
 
3年目以降レギュラーに定着し、毎年3割近くのアベレージを残しています。
 
床田投手は先発左腕として2年目以降はローテーション投手として活躍しています。
 
ヤクルト
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
田川賢吾 5月22日 投 2012 3位 高知中央高校
星知弥 4月15日 投 2016 2位 栃木県立宇都宮工業高校-明治大学
中尾輝 9月14日 投 2016 4位 杜若高校-名古屋経済大学
坂本光士郎 9月9日 投 2018 5位 如水館高校-日本文理大学-新日鐵住金広畑
吉田大成 3月7日 内 2018 8位 佼成学園高校-明治大学-明治安田生命
松本友 2月5日 内 2018 育2位 東福岡高校-明治学院大学-福井ミラクルエレファンツ
広島の大谷世代の選手は6人。
 
2016年ドラフト4位の中尾投手は2年目に中継ぎとして54試合に登板し7勝を挙げる活躍。
 
2018年ドラフト5位の坂本投手は左腕の中継ぎとしてチームを支えています。
 
育成の松本選手は2年目に支配下登録されると、左の代打として出番を増やしています。
 
DeNA
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
今井金太 6月19日 投 2012 育1位 広島国際学院高校
濵口遥大 3月16日 投 2016 1位 佐賀県立三養基高校-神奈川大学
水野滉也 6月1日 投 2016 2位 札幌日本大学高校-東海大学北海道キャンパス
尾仲祐哉 1月31日 投 2016 6位 高稜高校-広島経済大学
狩野行寿 7月31日 内 2016 7位 埼玉県立川越工業高校-平成国際大学
佐野恵太 11月28日 内 2016 9位 広陵高校-明治大学
DeNAの大谷世代の選手は6人。
 
2016年ドラフト1位の濱口投手は中日柳、ロッテ佐々木の外れ外れ1位としてDeNA入団。
 
球界屈指のチェンジアップを投げる濱口投手は1年目から二桁勝利をあげるなど先発左腕として活躍しています。
 
佐野選手はドラフト9位と下位での指名でしたが、4年目に4番打者として.328、20HR、69打点の成績で首位打者を獲得。
 
球界を代表する選手へと成長しています。
 
パ・リーグの大谷世代のプロ野球選手一覧
 
ソフトバンク
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
真砂勇介 5月4日 外 2012 4位 京都府立西城陽高校
笠原大芽 1月20日 投 2012 5位 福岡工業大学附属城東高校
大滝勇佑 4月5日 外 2012 育2位 地球環境高校
田中正義 7月19日 投 2016 1位 創価高校-創価大学
ソフトバンクの大谷世代の選手は4人。
 
2016年ドラフト1位の田中投手は5球団競合の末ソフトバンクに入団。
 
最速156キロのストレートに切れ味鋭いスライダーやフォークを放つ本格派のピッチャーです。
 
怪我で思うような活躍ができていませんが、エース級のポテンシャルはあるので今後の活躍に期待です。
 
西武
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
相内誠 7月23日 投 2012 2位 千葉国際高校
佐藤勇 9月18日 投 2012 5位 福島県立光南高校
中塚駿太 12月26日 投 2016 2位 つくば秀英高校-白鷗大学
田村伊知郎 9月19日 投 2016 6位 報徳学園高校-立教大学
山野辺翔 5月24日 内 2018 3位 桐蔭学園高校-桜美林大学-三菱自動車岡崎
西武の大谷世代の選手は5人。
 
2016年ドラフト6位の田村投手は報徳学園時代、スーパー1年生として甲子園で活躍。
 
プロ入り直後は成績を残せていませんでしたが、4年目には中継ぎとして31試合に登板。今後の活躍に期待です。
 
日本ハム
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
大谷翔平 7月5日 投 2012 1位 花巻東高校
森本龍弥 6月12日 内 2012 2位 高岡第一高校
宇佐美塁大 10月24日 外 2012 4位 広島県立広島工業高校
石井一成 5月6日 内 2016 2位 作新学院高校-早稲田大学
高良一輝 6月25日 投 2016 3位 興南高校-九州産業大学
森山恵佑 5月2日 外 2016 4位 星稜高校-専修大学
生田目翼 2月19日 投 2018 3位 茨城県立水戸工業高校-流通経済大学-日本通運
樋口龍之介 7月4日 内 2019 育2位 横浜高校-立正大学-新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ
日本ハムの大谷世代の選手は大谷選手を含めて8人。
 
2016年ドラフト2位の石井選手は好守のショートとして活躍。
 
育成で入団した樋口選手は1年目から支配下登録をされ一軍でホームランも記録しています。
 
ロッテ
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
田村龍弘 5月13日 捕 2012 3位 光星学院高校
佐々木千隼 6月8日 投 2016 1位 東京都立日野高校-桜美林大学
宗接唯人 7月6日 捕 2016 7位 神戸国際大学附属高校-亜細亜大学
松田進 8月29日 内 2018 7位 國學院大學久我山高校-中央大学-Honda
ロッテの大谷世代の選手は4人。
 
2012年ドラフト2位の田村選手は光星学院時代甲子園で3季連続準優勝。
 
プロ入り後は3年目よりレギュラーに定着。
 
ロッテの正捕手として欠かせない戦力です。
 
2016年ドラフト1位の佐々木投手は史上初となる外れ1位で5球団から指名の上ロッテに入団。
 
怪我で一年間一軍で投げ切ったことがありませんが、2021年シーズンは中継ぎとして安定した成績を残しています。
 
楽天
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
森雄大 8月19日 投 2012 1位 東福岡高校
大塚尚仁 10月13日 投 2012 3位 九州学院高校
下妻貴寛 4月15日 捕 2012 4位 酒田南高校
柿澤貴裕 7月30日 外 2012 6位 神村学園高等部
池田隆英 10月1日 投 2016 2位 創価高校-創価大学
田中和基 8月8日 外 2016 3位 西南学院高校-立教大学
菅原秀 4月5日 投 2016 4位 福井工業大学附属福井高校-大阪体育大学
鶴田圭祐 5月12日 投 2016 6位 寒川高校-帝京大学
南要輔 8月7日 内 2016 育2位 東海大学菅生高校-明星大学
岩見雅紀 7月10日 外 2017 2位 比叡山高校-慶應義塾大学
弓削隼人 4月6日 投 2018 4位 佐野日本大学高校-日本大学-SUBARU
則本佳樹 5月14日 投 2018 育2位 滋賀県立北大津高校-近畿大学-山岸ロジスターズ
瀧中瞭太 12月20日 投 2019 6位 滋賀県立高島高校-龍谷大学-Honda鈴鹿
楽天の大谷世代の選手は12球団最多の12人。
 
2016年ドラフト3位の田中選手は2年目に.265、18HR、45打点、21盗塁の活躍で新人王を獲得。
 
3年目以降は成績を落としていますが、長打力と俊足を兼ね備えた選手として今後の活躍に期待です。
 
2016年ドラフト2位の池田投手はソフトバンクの田中投手と同じ創価高校、創価大学の出身。
 
プロ入り後は思うような活躍ができず、3年目のオフに戦力外通告を受け育成選手として再契約となりますが、2021年シーズン前に日本ハムにトレード移籍すると才能が開花。
 
開幕ローテーションを勝ち取るなど飛躍の年となっています。
 
オリックス
 
選手名 生年月日 守 入団年 順位 経歴
武田健吾 4月18日 外 2012 4位 自由ケ丘高校
青山大紀 11月28日 投 2015 4位 智辯学園高校-トヨタ自動車
黒木優太 8月16日 投 2016 2位 橘学苑高校-立正大学
澤田圭佑 4月27日 投 2016 8位 大阪桐蔭高校-立教大学
神戸文也 5月9日 投 2016 育3位 前橋育英高校-立正大学
中道勝士 4月30日 捕 2016 育5位 智辯学園高校-明治大学
左澤優 12月28日 投 2018 6位 横浜隼人高校-横浜商科大学-JX-ENEOS
古長拓 8月5日 内 2020 育6位 九州国際大学付属高-九州共立大学(中退)-福島レッドホープス
オリックスの大谷世代の選手は8人。
 
2016年ドラフト8位の澤田投手は大阪桐蔭時代、阪神藤浪投手とともに甲子園春夏連覇に貢献。
 
2年目は中継ぎで48試合に登板し防御率2.54の好成績を残しました。

阪神・近本光司 一番打者の足が優勝のバロメーター/タイトルホルダーの意地

2021年09月25日 21時37分12秒 | 新聞を読もう

オーロラビジョン 2021年9月5日(日) 12:02   column

3年連続盗塁王と優勝をつかみ取るためには打って出ていくことが必要になってくる。現状安打数はリーグトップとこれからも打ち続けていく

 今シーズンの近本光司の盗塁が相手チームからさらに警戒されている。そのマークをかいくぐって次の塁を陥れながら役割を果たしてきた。 

 ルーキーイヤーから2年連続の盗塁王。これまで本人は「だんだん僕の下の後輩が増えてきて、僕ももうちょっと引っ張っていけるように」と話してきた。 

 社会人出身の3年目。不動のトップバッターの近本は、チームメートで新人の中野拓夢、ヤクルトの塩見泰隆ら若くて足のある選手たちと盗塁数を競い合いながらチームの勝利に貢献している。 

 近本は「ただ塁に出ることだけじゃない。しっかりとホームに返ってくることが大事だと思っています」と得点につながることに存在意義を求める。 

 チームでは守護神・スアレスにつなぐのが継投の勝ちパターンなら、近本がスタートを切って盗塁を決めるのは攻撃面での勝利の方程式といえるだろう。 

 もっとも3年連続盗塁王のタイトルを手中にするには打って出ることが必要になってくる。開幕直後は不振だったが5月から上昇してきた。 

 昨季の打率.293はリーグ9位で3割の大台には届かなかった。阪神で年間全試合の過半数にスタメン出場した中堅手では赤星以来の3割も狙う。 

 矢野燿大監督が「近本が塁に出るのが一番のプレッシャーになる」と言う。近本がいかに打って、走って、かえってくるかは優勝へのバロメーターになるのだ。 


鈴木誠也、近本光司、柳裕也…NPBで活躍している大谷翔平と同学年の選手には誰がいる?

2021年09月25日 21時30分20秒 | 野球

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2021年6月6日(日) 11:01   1

メジャー・リーグで投打二刀流として活躍するエンゼルス・大谷

 今季、目覚ましい活躍を見せているエンゼルスの大谷翔平。6月4日終了時点でリーグ3位の15本塁打、打点も40でリーグ8位と上位に位置しており、打撃タイトル獲得も夢ではない。大谷の活躍ぶりを見て、同じ世代の選手は刺激を受けていることだろう。今回は、NPBで活躍している「大谷世代の選手」を紹介する。 

躍動する大谷世代の四番打者

広島、そして日本代表の主砲としても豪打を発揮している鈴木

 1994年4月2日から1995年4月1日までに生まれた、大谷と同学年の選手が「大谷世代」と呼ばれている。NPBでプレーする大谷世代の筆頭といえるのが、広島の鈴木誠也(1994年8月18日生まれ)だ。 

 鈴木は大谷と同じ2013年に、二松学舎大付高から広島に入団。2年目までは二軍でのプレーが中心だったが、3年目の2015年に一軍定着を果たした。翌2016年はレギュラーとして129試合に出場。ここで打率.335、29本塁打、95打点といきなり結果を残した。2019年には、首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得。NPBトップレベルの打者へと成長した。 

 鈴木と同じく、現在チームの主砲として活躍している選手では、阪神の大山悠輔(1994年12月19日生まれ)が大谷世代だ。白鴎大からから2017年にドラフト1位で入団し1年目から頭角を現すものの、好不調の波が大きく、なかなか四番定着とはならなかった大山。昨季も不振から四番の座を明け渡すことも多かったが、最終的に28本塁打と活躍し、ひと皮むけた感がある。今季は背中の張りから一時離脱したが、6月3日のオリックス戦(甲子園)、4日のソフトバンク戦(同)と2試合連続で本塁打を放つなど復調気配にあり、ここからの巻き返しが期待される。 

 昨季、首位打者を獲得したDeNAの佐野恵太も、大山と同じように大学(明大)を経てプロの世界に入った大谷世代の選手。ドラフトでは9位と最下位指名だったが、力強い打撃を武器に評価を高め、徐々に一軍出場機会も増加。昨季はついに開幕から四番レギュラーに定着すると、得意のバッティングで打率.328をマーク。初タイトルを獲得することになった。今季も3割超の打率でランキング上位に位置しており、2年連続首位打者も期待される。 

阪神には期待される大谷世代が多い

入団から2年連続盗塁王を獲得するなど阪神の一番として定着している近本

 今季は調子を落としているが、シュアなバッティングと堅実な守備が持ち味の中日・京田陽太(1994年4月20日生まれ)も大谷世代の一員。2017年にドラフト2位で日大からプロに入った京田は、1年目からレギュラーに抜擢され、新人ながら141試合に出場。セ・リーグの新人では唯一の規定打席到達となり、打率.264、149安打、23盗塁の成績を残した。この活躍を受け、最優秀新人にも選出。以降は不動のレギュラーとして中日内野陣に欠かせない存在に成長した。 

 2019年入団のためか大谷世代という印象はないが、阪神の近本光司(1994年11月9日生まれ)も実は大谷世代だ。1年目は142試合に出場し、セ・リーグの新人記録となる159安打をマーク。リーグトップの36盗塁で、同じ阪神の赤星憲広以来、史上2人目となる新人盗塁王に輝いた。2年目も全120試合に出場し、31盗塁で2年連続最多盗塁のタイトルを獲得。赤星の「新人からの5年連続盗塁王」の更新を期待したい。 

 これからの飛躍が期待される大谷世代野手として、セ・リーグでは阪神の北條史也(1994年7月29日生まれ)、木浪聖也(1994年6月15日生まれ)、広島・西川龍馬(1994年12月10日生まれ)、巨人・吉川尚輝(1995年2月8日生まれ)。パ・リーグはソフトバンク・真砂勇介(1994年5月4日生まれ)、西武・山野辺翔(1994年5月24日生まれ)などが挙げられる。 

大谷世代の投手も粒ぞろい

中日・柳裕也は今季、奪三振でもリーグトップを走っている

 投手でまず挙げられるのは、大谷と甲子園で投げ合い、ドラフト時に人気を分け合った阪神・藤浪晋太郎だ。高卒ながら1年目から好投を見せて新人特別賞を受賞した藤浪は、2015年には3年連続2ケタ勝利、最多奪三振のタイトルを獲得するなど名実ともに阪神のエースへと成長した。しかし、その後は急激に調子を落とし、現在も復調したとは言い難い。好調なチームをさらに上へと押し上げるためにも、完全復活が期待される。 

 現在、セ・リーグで防御率トップの中日・柳裕也も大谷世代(1994年4月22日生まれ)だ。明大からドラフト1位で入団した1年目の2017年から一軍で登板機会を与えられるものの、その年はわずか1勝。2年目も2勝と、期待に応えることができなかった。しかし、3年目の2019年は開幕から好調で、前半だけで9勝をマーク。後半調子を落としたものの、最終的に自身最多の11勝を挙げた。2020年はケガの影響で6勝にとどまるも、今季は5勝1敗と調子が良く、先述のように防御率1.41でリーグトップ。初タイトル獲得となるか注目だ。 

 また、DeNAの濱口遥大(1995年3月16日)、巨人の畠世周(1994年5月31日)も大谷と同世代の選手。濱口は1年目から10勝をマークし、チームのエース候補登場と注目を集めたが、以降は2ケタ勝利に届かないシーズンが続いている。畠も1年目から先発ローテーション入りして6勝を挙げたものの、濱口と同じく伸び悩んだ。どちらも今季で5年目。さらなる成長を見せてもらいたい。 

 ほかには、ソフトバンク・田中正義(1994年7月19日生まれ)、ロッテ・佐々木千隼(1994年6月8日生まれ)といった、ドラフト時に大きな注目を集めた大谷世代もいる。この2人はどうなのかというと、田中はここまでわずか11登板0勝1敗と一軍出場がほとんどできていない状況。今季は二軍で鋭いボールを投げてはいるが、層の厚い一軍に割って入れるかは微妙なところだ。佐々木も1年目に4勝を挙げて以降伸び悩んでいたが、今季は17試合に登板して4勝と好調。この調子を維持したいところだ。 

 NPBで活躍している「大谷世代の選手」をピックアップしてみた。こうして並べてみると、特に打者で活躍している選手が多い印象だ。特に鈴木誠也、大山悠輔、佐野恵太と、チームの主砲としてプレーしている選手が3人もいるのはインパクトが大きい。ほかにもまだまだ多くの大谷世代がプロの世界にはいるが、これからどのような活躍を見せてくれるのか。今後に期待したい。 

文=中田ボンベ@dcp 

 

 

 

 


“大谷世代”の阪神・近本光司はドラフトで「外れ外れ1位」 3年連続盗塁王へ「意外な思い」とは 

2021年09月25日 21時26分02秒 | 野球

“大谷世代”の阪神・近本光司はドラフトで「外れ外れ1位」 3年連続盗塁王へ「意外な思い」とは 
9/20(月) 11:02配信

週刊ベースボールONLINE
1試合も休まず打線を牽引

阪神・近本光司

 首位を快走している阪神だが、野手がそろって万全だったわけではない。不動の四番と期待された大山悠輔は打撃不振でスタメンを外れる時期があり、新外国人のロハス・ジュニアも来日当初は本来の力を発揮できず2度のファーム降格を味わった。

新人左打者最多記録の23本塁打と前半戦から打線を牽引してきた黄金ルーキーの佐藤輝明も相手の徹底マークと疲労の影響もあるのだろう。7月以降は下降線をたどり、今月10日にファーム降格。その中でリードオフマンとして、1試合も休むことなく打線を牽引している男がいる。近本光司だ。

【選手データ】近本光司 プロフィール・通算成績・試合速報

 1年目は142試合に出場し、長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)のセ・リーグ新人年間安打記録(154安打)を更新する159安打をマーク。リーグトップの36盗塁で、同じ阪神の赤星憲広以来、2リーグ制以降では史上2人目となる新人盗塁王に輝いた。2年目も全120試合に出場し、31盗塁で2年連続最多盗塁のタイトルを獲得。球界を代表する一番打者としての地位を確立した。

 近本は「大谷世代」だ。大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也、西川龍馬(広島)、佐野恵太(DeNA)、柳裕也(中日)、同僚の藤浪晋太郎、大山とタレントがそろう。近本は社高校、関西学院大、大阪ガスを経てドラフト1位で阪神に入団する。阪神は大阪桐蔭・藤原恭大(ロッテ)、社高校の2学年下で立命館大・辰己涼介(楽天)の抽選を外し、近本は「外れ外れ1位」だった。

 俊足は折り紙付きだったが、想像以上だったのが打撃だった。身長171センチと小柄だが、右足を大きく上げて力強いスイングでパンチ力がある。新人年間安打記録を樹立したようにヒットゾーンに打ち分ける技術が高い。ミート能力も年々向上し、19年の110三振から昨年は61三振と大幅に減らしている。また、体力があり夏場になると打撃が上昇気流に乗る。暑い時期に強いのは一流選手の証だ。今季も3、4月は月間打率.222と波に乗れなかったが、5月以降に調子を上げていく。8月は月間打率.403、3本塁打、8打点をマーク。打率3割を超えるハイアベレージで1957年の田宮謙次郎以来と球団史上2人目の打率3割、2ケタ本塁打、30盗塁も可能性は十分にある。

精神的に優位になるときは?
 新人から2年連続盗塁王を獲得しているだけに、相手バッテリーも警戒する。その中でチームメートの中野拓夢に次ぐ2位の21盗塁は評価されるべきだろう。近本は5月下旬に発売された週刊ベースボールのインタビューで、「僕が走ってくるか、こないかというカウントのときに、キャッチャーがサイドウエストしてくるときがあるんです。つまりウエストして大きく外角に外すのではなく、外角のボールゾーンに、真っすぐや半速球(曲がりの小さく鋭いスライダーなど)を投げて、捕手が僕の様子を見るということがあります。それが今季は、僕がランナーとのき、特に多いな、と感じています」と分析した上で、盗塁を成功したときより捕手の裏をかいたときのほうが精神的に優位になるという。

「捕手が僕のことをすごく意識してくれているな、と思いますから。それで捕手が余計に迷うことにもなり配球も単調になるのでは、と思います。そこに輪をかけて糸原さんやマルテが打撃好調です。打者に打ってもらったほうが、得点につながりやすい、と思いますからね」とフォアザチームを強調している。

 ただ、盗塁に対するこだわりがなくなったわけではない。「盗塁をしなくなると、バッテリーも相手ベンチも『最近、近本走らないな』となって警戒を解かれてしまうので、効果的な盗塁というものをしていきたいな、と思っています」と語っている。

 阪神は若い選手が多い。今年リーグ優勝すれば大きな自信となり、黄金時代を築く可能性が広がる。もちろん、不動の「一番・中堅」は近本だ。

写真=BBM

週刊ベースボール

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二軍が強いのは“吉兆”か…今季優勝の阪神、ロッテは「育てながら勝つ」の好例?〈dot.〉

2021年09月25日 21時20分24秒 | 野球

9/25(土) 18:00配信

AERA dot.

今季ウエスタンリーグで見事な投球を見せた阪神・村上頌樹 (c)朝日新聞社

 プロ野球のペナントレースも大詰めを迎えているが、二軍ではイースタンリーグがロッテ、ウエスタンリーグが阪神と一足先に優勝が決まった。今シーズンは両チームとも一軍で好調をキープしているが、果たして二軍と一軍の成績はリンクしているのか。過去のデータから検証してみたいと思う。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 過去10年間の二軍の両リーグの優勝チームをまとめてみたところ以下のような結果となっていた。

2011年:日本ハム(イ) 中日(ウ)
2012年:ロッテ(イ)  ソフトバンク(ウ)
2013年:ヤクルト(イ) ソフトバンク(ウ)
2014年:ロッテ(イ)  ソフトバンク(ウ)
2015年:巨人(イ)   ソフトバンク(ウ)
2016年:巨人(イ)   ソフトバンク(ウ)
2017年:巨人(イ)   広島(ウ)
2018年:巨人(イ)   阪神(ウ)
2019年:楽天(イ)   ソフトバンク(ウ)
2020年:楽天(イ)   ソフトバンク(ウ)

※(イ)がイースタン、(ウ)ウエスタン

 過去10年で7度の優勝とウエスタンで圧倒的な成績を残しているのがソフトバンクだ。今年も阪神に競り負けたものの僅差での2位となっており、その強さは健在だ。2012年からは5連覇を達成しているが、当時二軍で主力だった選手を見てみると投手では千賀滉大、二保旭、嘉弥真新也、東浜巨、岩嵜翔、野手では牧原大成、中村晃、柳田悠岐、上林誠知などが名を連ねており、その後の一軍でのブレイクに繋がっている。二軍で選手を育てながらチームが勝ち、それが一軍への底上げにも繋がっている好例と言えそうだ。

 しかしウエスタンで再び連覇を果たした2019年以降のメンバーを見ると少し様子が変わっている。投手では多くのイニングを投げている選手の中に中田賢一、スアレス、二保、武田翔太、バンデンハーク、松田遼馬といった実績のある選手が多くなっているのだ。ちなみに武田以外は既に退団している。今年はスチュワート・ジュニア、古谷優人、杉山一樹などが出てきているものの、2010年代の前半と比べると活躍している若手は減っているように見える。野手では三森大貴、リチャード、柳町達、野村大樹といったところが控えており、三軍にも選手を抱えているのは強みだが、一軍を含めて選手の入れ替えが必要な時期となってきていると言えそうだ。

 一方のイースタンを見てみると2015年から巨人が4連覇を達成している。当時のメンバーで現在一軍の主力となっているのは今村信貴、大江竜聖、岡本和真、吉川尚輝、松原聖弥がおり、ある程度二軍と一軍が連動しているように見える。しかし下位指名から這い上がった選手は大江と松原の2人だけで、その点はソフトバンクと比べると見劣りする感は否めない。今シーズンイースタンで最もイニングを投げているのはFAで加入した井納翔一というのも残念なところだ。若手では横川凱、戸田懐生、平内龍太、ウレーニャ、秋広優人、平間隼人、湯浅大といったところが主力となっているが、彼らが台頭してくるかどうかで将来のチームは大きく変わることになるだろう。

 イースタンで2019年から連覇を達成した楽天はソフトバンク、巨人と比べても更に厳しい状況と言える。この2年間に活躍した選手で一軍の戦力となっているのは滝中瞭太くらいしか見当たらず、その滝中も26歳になる年に社会人からプロ入りした選手ということを考えると二軍で育ったとは言いづらい。岸孝之、涌井秀章、牧田和久、鈴木大地、浅村栄斗など多くの実績ある選手を集めたことでチームは上位争いを演じているが、二軍から一軍への戦力輩出という意味では色々と見直す必要がありそうだ。

 ちなみに今年二軍優勝を果たした2チームを見てみるとロッテは森遼大朗、佐藤奨真、本前郁也、小沼健太と育成ドラフト出身の4人の若手投手が主力となっており、阪神も村上頌樹、西純矢、小野寺暖、小幡竜平、井上広大などの活躍が目立つ。育てながら勝つという意味では非常に価値のある優勝だったのではないだろうか。普段話題になることが少ない二軍での戦いぶりだが、チームの将来を考える上では極めて重要である。今後も2010年代のソフトバンクのような成功例を出すチームが出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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岡田彰布氏が高橋のピッチングを絶賛「きょうは高橋に託すゲームよ」

2021年09月25日 21時18分51秒 | 野球

9/25(土) 18:25配信

デイリースポーツ

 9回、走者を背負いながら力投する高橋(撮影・田中太一)

 「巨人0-3阪神」(25日、東京ドーム)

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が25日、東京ドームで行われた巨人-阪神戦で本紙の解説を務めた。巨人打線から13三振を奪ってプロ初完封勝利をマークした高橋について、岡田氏は「きょうは高橋に託すゲームよ」と目を細めた。

【写真】原監督は脱帽、坂本は転倒、スゴすぎる高橋遥

 立ち上がりからキレのいい直球で押しつつ、変化球を低めに集めて付け入る隙を与えなかった高橋。八回の打席に送り出したことで「きょうはもう高橋にすべてを託すゲームよ」と評していた。九回に不運な打球がヒットになる場面が続いて1死満塁のピンチを招いたが、丸、亀井ともにフルカウントからねじ伏せ、プロ初完封勝利を手にした。

 「(ベンチは)最後まで任せて良かったと思うよ。スアレスもここ2試合、不安定な投球が続いていたしな」と語った岡田氏。投球内容については「あの左打者の外へのスライダーよな。きょうの審判があのゾーンを広く取ってくれたことで、カウント有利にピッチングすることができた。これはすごく大きかったと思う」と分析する。

 第1戦を引き分けたことで、第2戦の重要度がより増すと評していた岡田氏。価値ある1勝を手にしたことで「ホンマに大きいよ。ただ今の相手(首位)はヤクルトやからな。今のヤクルトの戦い方を見ていると、そう簡単には落ちてこないような感じやからな。追いかけて行くには連勝が必要になるわな」と語っていた。

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阪神〝ハルト無双〟13KでG打線からプロ初完封「アイツはマウンド上がると人が変わる」

2021年09月25日 21時06分39秒 | 野球

9/25(土) 17:49配信

東スポWeb

プロ初完封に表情を緩ませた阪神・高橋(東スポWeb)

 阪神は25日の巨人戦(東京ドーム)に3―0で快勝。3位巨人とのゲーム差を3にまで広げ、貯金を16とした。
 
 先発の高橋遥人投手(25)が巨人打線を相手に5安打13奪三振の投球内容でプロ初完封をマークした。140キロ台後半の直球に加えツーシーム、スライダーなどの変化球も冴えわたる。硬軟併せ持った変幻自在の投球で、2回二死から4回二死までは、6者連続三振を記録。8回まで二塁すら踏ませぬ〝圧投〟で、球界を代表する右腕・菅野との投げ合いを制し2勝目を手にした。

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 3―0と3点をリードして迎えた最終回は、巨人打線が意地の粘りを見せ一死満塁のピンチを迎えた。胃がキリキリとするような緊張感の中、丸を空振り三振、亀井を右飛に打ち取りゲームセット。伝統の一戦で自身の真価を証明した。

 試合後には当然、ヒーローインタビューを受けることに。「(9回のピンチは)なんで最後はこうなるのかなあと思って投げていたんですが…。しっかり締めることができて滅茶苦茶うれしかったです。1点もやりたくない、完封したかったのでその通りになって良かったです」と笑顔を見せた。

 試合中に漂わせていた鬼神のような気迫や緊張感はどこへやら。マウンドを降りれば、〝近所のアンちゃん〟のような柔和な若者に戻る。インタビュアーから「16年ぶりのリーグ制覇へ向け力強い一言を」と問われても「あっ…。えー…、しっかり貢献できるように頑張ります」と〝噛み噛み回答〟でスタンドの虎党をホンワカとした笑いで包んだ。

 9回を投げ切ったことで、疲労気味のブルペン陣を休ませることもできた。矢野監督も「あいつは普段本当におとなしいんだけどね。マウンドに上がるといい意味で人が変わる。気迫も出るしチームに与える影響は大きい」としつつ「申し分のない投球。どの球種でも空振りが取れていたので、バッターも的を絞れないよね。それが奪三振の多さにもつながっていた」と背番号29を絶賛した。

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【MLB】大谷翔平、走者なしでも敬遠「何の問題が?」 3戦11四球に敵将「45本打ってる」

2021年09月25日 16時22分28秒 | 野球

9/25(土) 15:29配信

Full-Count
まともに勝負してもらえたのは初回の第1打席のみ

「2番・DH」で先発したエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

■マリナーズ 6ー5 エンゼルス(日本時間25日・アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手は24日(日本時間25日)、本拠地でのマリナーズ戦に「2番・指名打者」で出場し、2度の申告敬遠を含む4四球となった。3試合で11四球はア・リーグ新記録で、メジャー記録にも並んだ。走者がいない状況でも歩かせたマリナーズのスコット・サービス監督は試合後「この2021年に、型にはまっていないことをして何の問題があるだろうか?」と語った。

【実際の映像】大谷は笑うしかない…連続四球で歩かされ本拠地大ブーイングの実際映像

 まともに勝負してもらったのは、空振り三振に倒れた初回の第1打席だけだった。3回2死二塁の第2打席では申告敬遠で、5回の第3打席、7回の第4打席はほぼ外角一辺倒の配球で四球となった。1点ビハインドで迎えた9回1死走者なしの第5打席では、2ボールから申告敬遠。これには大谷も苦笑いを浮かべ、スタンドからは大ブーイングが巻き起こった。

 ワイルドカードでのブレーオフ進出へ負けられないマリナーズ。サービス監督は、9回に大谷を申告敬遠で歩かせたことに「彼は45本ホームランを打っている。驚くべきシーズンを送っており、言うまでもなく彼らの打線の中で大きな打力を持った選手だ」と改めて警戒感を強調。同点の走者を出すことは「ノーマルなことではない」と認めつつも、後続と勝負した方が勝機があると踏んだ結果だった。

 今季17敬遠は、リーグトップ(メジャー2位)。これで3試合アーチから遠ざかった。ただ、本塁打王争いでトップを走るブルージェイズ・ゲレーロJr.とロイヤルズ・ペレスも足踏みで1本差のまま。まだまだ射程圏にいるが、バットを振らせてもらえない限りは一発も生まれない。

Full-Count編集部

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大谷翔平リーグ首位15敬遠の深層…「日本人ホームラン王」を望まないアメリカ人と中南米選手の本音

2021年09月25日 13時33分18秒 | 野球

9/24(金) 17:06配信

日刊ゲンダイDIGITAL

延長十回に敬遠され、バットを投げる大谷(C)共同通信社

 その瞬間、バットを投げて苦笑いを浮かべた。

 日本時間23日の対アストロズ戦。5―5の同点で迎えた延長十回無死二塁、エンゼルスが一打サヨナラのチャンスを迎えた場面で、大谷翔平(27)が打席に入った。

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 本拠地のファンはサヨナラ弾を期待、一気にヒートアップしたものの、声援は一瞬にしてブーイングに変わった。2ボールとなったところで、アストロズベンチのベーカー監督が敬遠を指示したからだ。

 大谷は苦笑いでバットをくるっと回すと、ゆっくり一塁に向かった。

 2点リードの七回2死二塁でも申告敬遠で歩かされ、この日は2打席連続敬遠を含む自身最多の1試合4四球。本塁打は45本のままで、ライバルのゲレロ(ブルージェイズ)とペレス(ロイヤルズ)を1本差で追う状況に変化はなかった。

 大谷の15敬遠は2位のクルーズ(レイズ)らに5個差をつけてア・リーグでダントツ。エンゼルスは結局、延長十二回、アストロズに敗れて6連敗を喫したように、対戦相手が大谷との勝負を避ける最大の理由は、大谷以外に怖い打者がいないからだ。エンゼルスの主砲であるトラウト(30)とレンドン(31)の2人が故障で長期離脱中。

 大谷ひとりをマークすれば勝つ確率が上がる状況だけに、プレーオフを狙うチームがレギュラーシーズン終盤のこの時期、勝利を優先するのは当然といえば当然。しかしながら、大谷が勝負してもらえない理由はそれだけか。

■近鉄ローズが「世界の王」を抜いてもいいのか

「2001年に近鉄のローズが本塁打を量産、55本打って王貞治(現ソフトバンク球団会長)の日本記録に並ぶ前後から、相手投手が勝負を避けるようになった。868本塁打の記録を持つ世界の王を抜いていいのかという機運がプロ野球界にあったといわれました。当時と似たような空気がメジャーにあったとしても不思議ではない」と言うのは米紙コラムニストのビリー・デービス氏。

 野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏が引き取って言う。

「米国人は直球勝負を好みます。投手は何より速い球を投げることが好まれ、打者には単打より本塁打を求める。本塁打王のタイトルは米国で特別な意味を持つと言っても過言ではありません。なので米国人が本塁打王のタイトルを取った方がうれしいという感情はあるかもしれません」

「本塁打王はゲレロかペレス」が中南米投手の心情

この日アストロズ戦では2打席連続敬遠…(C)ロイター/USA TODAY Sports

 とはいえ、実際にタイトルを争っているのは日本人の大谷と、ドミニカ共和国とカナダの二重国籍を持つゲレロ、ベネズエラと米国の二重国籍のペレスの3人だ。

「特に米国は、トランプ前大統領に象徴されるように白人至上主義が根強い。いまだに映画『フィールド・オブ・ドリームス』が支持されるのは主要な登場人物が白人で、そのモデルになったブラックソックス事件も8人全員が白人だったからという話があるほど。大リーグ機構が『ジャッキー・ロビンソン・デー』を設けたり、今年の球宴で1月に亡くなった通算755本塁打のハンク・アーロンさんの功績を称えたのもメジャーは白人至上主義ではないと示すためで、それこそ米国に白人至上主義がはびこっている証左です。それでも米国にとって中南米諸国は日本と比べて長い付き合いがある。悲運の事故死を遂げたプエルトリコ出身のメジャーリーガーにちなんで、慈善活動に熱心なメジャーリーガーに贈られる『ロベルト・クレメンテ賞』があるように、日本以上に親しみの度合いは大きいと言えます」(前出の鈴村氏)

 米国にとって特別な意味を持つ本塁打王のタイトルは本来、米国人が獲得すれば丸く収まるのかもしれないが、今回はそうもいかない。ならば日本以上に親しみのある中南米勢が獲得した方が“カド”は立たない。結果として米国人気質と中南米勢が大谷のタイトル取りの障害になる可能性もあるということだ。前出のビリー・デービス氏がこう言う。

「メジャーの投手のほとんどは、米国か中南米の出身者です。中でも中南米出身者は仲間意識が強いし、ロッカールームでも固まってスペイン語で話をします。カナダ生まれのゲレロは父親がドミニカ人で、今もインタビューには必ずスペイン語の通訳が付くほど。実質的には中南米出身の選手です。ペレスはベネズエラ出身の捕手で、31歳という年齢から言っても中南米選手のボス的存在です。特に中南米の投手は大谷より、ゲレロかペレスが本塁打のタイトルを取った方がうれしいでしょうね」

 大谷が今後、相手投手とこれまで以上にシビアな対戦を強いられるのは必至だ。

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中日に感じられないモチベーション…“戦う目的失った集団”の弱さ 順位や雑音に惑わされず、最後までプロであれ

2021年09月25日 13時25分40秒 | 野球

9/25(土) 10:08配信

中日スポーツ

3回、ヤクルト・村上(左)に左越え2ランを打たれた中日・大野雄=24日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇24日 ヤクルト3―0中日(神宮)

 エースが投げて、相手先発の高梨は2カ月半ぶりの1軍マウンド。それなのにスコア以上の敗北感が漂うのは、選手のモチベーションの差なのだろうか。

 10年前の9月24日も、ヤクルト戦(ナゴヤドーム)だった。首位を走るヤクルトに3連勝し、一気に2・5ゲーム差に詰め寄った。前日の井端弘和に続いて、谷繁元信がサヨナラ打で決めた。生還したのはどちらも荒木雅博。鬼気迫るヘッドスライディングと、殊勲の谷繁の頭を落合博満監督がなでる姿はこのシーズンの名場面である。

 東日本大震災で開幕が遅れた2011年のドラゴンズは、したたかでタフではあったが、決して横綱ではなかった。東京五輪で変則日程となった今季と、9月24日時点での消化試合はピタリ同じの121試合。10年前は62勝52敗7分けだった。貯金10と借金12。この天と地の差はどこにある? 実は総得点は今季の方が多い(351と358)。あまりに飛ばず、現場を大混乱させた「統一球」だったという事情はあるが、最終的なチーム打率(2割2分8厘)、総得点(419)はいずれもリーグワースト。極貧打線でもペナントを握れると証明したチームだった。

 まだ追う立場だったのに、誰もが抜くのは時間の問題だと思っていた。首位奪回は10月6日。落合監督が宙に舞ったのは18日のことだった。

 あれから10年。ヤクルトからは感じるモチベーションが、中日には感じられない。戦う目的を失った集団は、こうも弱いものなのか。しかし「負けてもいい理由」なら10年前にもあったはずだ。落合監督の退任が発表されたのは9月22日。契約書に定められた時期に従い、やむを得なかったのだが「この時期に?」という外野の声は選手の耳にも届いていた。しかし、離されるどころか詰めより、抜き去った。落合監督がこう言っていたのを覚えている。

 「選手は誰のために戦っているんだ? 自分たちの生活のためだろ。オレはそんなやわな教育はしていない」

 順位や雑音に惑わされず、最後までプロであれ―。今の選手に伝えてあげられる唯一の言葉だ。

 

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井端氏、7連勝の首位・ヤクルトは「まだまだ伸びそうな感じ」

2021年09月25日 13時13分52秒 | 野球

9/25(土) 10:00配信

ベースボールキング

3回に2ランを放ちナインに迎えられるヤクルト・村上 (C)Kyodo News

○ ヤクルト 3 - 0 中日
<19回戦・神宮>

 首位のヤクルトが中日に3-0で勝利し、連勝を7に伸ばした。

 ヤクルトは3回に青木宣親の適時打、村上宗隆の第37号2ランで3点を先制すると、先発・高梨裕稔は7回5安打無失点と好投。3-0の8回は清水昇、9回はマクガフのリレーで逃げ切った。

 24日に放送された『ニッポン放送ショウアップナイター 巨人-阪神戦』で解説を務めた井端弘和氏は、同中継中にヤクルトの勝利が伝えられると、「今の勢い、谷間のところで完封勝利ですから、まだまだ(連勝が)伸びそうな感じがしますね。打つべき選手が打っていますし、高梨投手が好投していますし、8回は清水、9回はマクガフと昨日使っていない投手が抑えてくれましたのでいい流れできていると思います」とチーム状況がかなり良いと見ているようだ。

 井端氏は「どこかで(連勝が)止まったときに連敗しないことですよね。1つで止められて勝つというところができれば、優勝が近づいてくるのかなと思いますね」と“連敗”しないことの重要性を説いていた。

(ニッポン放送ショウアップナイター)

BASEBALL KING

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菅首相が掲げる「自助」「共助」「公助」の本当の意味

2021年09月25日 13時06分09秒 | 社会・文化・政治・経済

大江英樹:経済コラムニスト

2020.9.29 4:25

第99代内閣総理大臣に菅義偉氏が就任した。菅総理は自民党総裁選の時から自らの政策理念として「自助・共助・公助」を掲げており、これに対して野党は「まず自助というのは政府の役割を放棄しているに等しい」と批判している。

筆者はその批判はかなり的外れなものであると考えている。その理由は後ほど述べるが同時に、実は多くの人が「自助・共助・公助」の意味を正しく理解していないのではないかという気がする。そこで本来の意味と、今回の菅総理の意図について考えてみたいと思う。

年金分野からみる「自助・互助・共助・公助」
本当の意味とは?

 「自助・共助・公助」、実はこの言葉はずいぶん以前から使われており、特に菅総理が新しく言いだしたわけではない。特に社会保障分野においては「自助・互助・共助・公助」として4つに分けるのが一般的だ。これについては年金、介護、医療等々、様々な分野でこうした区分けによる考え方が存在するが、筆者が関心を持っている年金分野では主に「老後の生活を支える手段及び考え方」として、この4つの“助”が使われている。

 そもそも公的年金制度が出来たのはそんなに大昔のことではない。現在の厚生年金法の前身は戦時中の1942年6月に施行された「労働者年金保険法」だが、最初は民間企業で現業に従事する男性が対象であった。

その後、女性や事務系の労働者にも適用が拡大されたのは1944年であるからほぼ終戦の頃といってもいい。さらに国民年金法によって1961年に国民年金がスタートし、現在の国民皆年金制度となった。

 ではそれまではサラリーマンが定年退職した後はどうやって生活していたのかと言うと、基本は自分で老後に備えた資産作りをすることでまかなっていたわけである。

さらに、戦前は長子相続によって長男が親の遺産を相続する代わりに年老いた親の老後の生活を見るというのが一般的であった。言わば基本は「自助」だが、子供が親の面倒を見る、あるいは親戚や地域で助け合うという「互助」の仕組みが普通だったのだ。


 ところが戦後、高度成長時代となり、地方から大都市へ働きに行く若者が増えたことで核家族化し、大家族制を維持し、子供が親の面倒を見るというのは実質的にできなくなった。そこで老後の面倒は社会全体で見るべきであるということで誕生したのが「共助」である公的年金制度なのだ。

公的年金は「公助」ではなく「共助」
共助と公助の違いとは?

 公的年金が「公助」だと勘違いしている人もいるが、それは少し違う。「公助」というのは、そういった助け合いの仕組みからも漏れてしまった人たちを最後に救うための手段であり、言わばセーフティーネットの役割である。1つの例を挙げれば「生活保護制度」などがこれにあたる。

「共助」である公的年金制度は、そのメリットを享受する人たちが互いにその費用を負担し合うのが基本である。すなわち公的年金の本質は「保険」であるから、保険料を払った人だけが年金を受給する権利があるのが当然なのだ。よく言われるのは「公的年金」の役割は“防貧”、すなわち年をとって働けなくなった時に収入がなくなって貧困に陥ることを防ぐのが最大の目的であるとされる。


 これに対して生活保護などの「公助」は言わば最後の砦であり、その重要な役割は“救貧”すなわち貧困に陥ってしまった人たちを救うことにある。

生活保護の原資は保険料ではなく税金である。最初から生活保護を受けることを目的にしている人などいないわけであるから、保険料などというものが存在しないのは当然だ。

何らかの理由で保険料も払えず、公的年金が支給されなくなってしまった人を救うには当然、国民全体で負担している税でまかなうのが自然な姿であろう。

「老後の生活保障」の観点では
一番の基本は「共助」である

 したがって、「老後の生活を支える」という目的を考えると、現在の社会において、一番の基本は「共助」ということになる。昔、「共助」が無かった時代は「互助」(子供や家族、親族が支える)が中心だったが、社会構造の変化と共に「共助」がその役割の中心を担うことになったと言えるだろう。これは年金だけでは無い。

介護も昔は家族の経済的負担が大きい「互助」が中心だったが、次第にそれが困難となってきたので、2000年に「介護保険」が誕生したのである。

 現在はもはや「互助」という機能はごく限定的となっているため「自助・共助・公助」と言い換えても差し支えないと思う。あくまでも土台となるのは制度的には「共助」であるが、それ以上に自分で豊かな老後をおくりたいと考えるのであれば「自助」によって資産形成をすれば良いし、仮に共助の枠組みから外れてしまう人に対してはセーフティーネットである「公助」が起動し始めるというのが社会保障全体の仕組みなのである。

したがって「自助・共助・公助」を社会保障の面に限って言えば、ど真ん中に「共助」が来て、その両脇を残りの2つが支えるという構図となろう。

菅総理が「自助」を
最初に掲げる理由

 ここまで話してきたのはあくまでも社会保障、なかんずく「老後の生活保障」という観点での話である。菅総理が言う「自助・共助・公助」にはもちろん社会保障の面が含まれてはいるだろうが、もう少し広い意味で社会のあり方、社会のデザインを意図してのことであろう。そう考えるのであれば、まず真っ先に「自助」が来るのは当然のことである。

 なぜなら、そもそも人が生きて生活を営む上においては、まず自らが働くことが第一であるのは言うまでもないからだ。したがって最も大事なことは誰もが働ける内は、そして働く意思があれば長く働くことができ、しかも満足できる報酬を得ることができるようにすることである。

そのために大切なことは経済が成長し、企業が収益を上げられるようにすることが重要だ。すなわち「自助」という言葉の裏に隠された重要なキーワードは「経済の成長」なのである。デジタル化の推進も規制改革もそのための手段であるに過ぎない。


 もちろん、生きていく上で全てを「自助」でまかなうことは不可能だ。高齢で働けなくなったり、病気になったり、あるいは介護を受ける必要が出てきた時には「共助」という仕組みを使うことになる。
但し、この共助=社会保険という仕組みは、社会全体で負担をまかない、必要な人にサービスを届ける“保険”の役割であるから、その便益を受ける人が一定の費用負担をすることは当然である。ところが、不幸にしてそうした費用負担すらできなかったという人たちもいる。そうした人たちに対して最後に機能するのが「公助」なのである。
これは前述したようにまさにセーフティーネットであり、具体的には高齢者福祉や虐待の防止といった人権擁護の対策、そして生活保護といった、生きていく上での最低限の生活保障が「公助」の役割なのだ。

 したがって、社会全体の構造や自分の生き方を考えた場合、まず「公助」が最初に来るというのはあり得ない話だ。前述のように「公助」の財源は保険料ではなく税金である。税収を増やすためには経済が成長し、個人のベースにおいては給料が上がることは不可欠である。
そのために、(1)労働市場に参加する人を増やす(女性の活躍推進や高齢者の就労拡大)、そして(2)生産性の向上(DX、規制改革)、を基本的な施策として据えているのが菅内閣の目指す方向であろう。前内閣時の政策や今後やろうとしている施策を見ても、間違いなくこの方向が見て取れる。「自助・共助・公助」というのはそういう流れの中で考えておくべきだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)