いかなる状態にあっても、必ず、すべてをやりきると決め、一歩も退かない決意をもつもとだ。
人間は厳しい状況下に置かれると、ともすれば、具体的にどうするかという前に、もう駄目だと思い込み、諦めてしまう。
つまり、戦わずして、心が敗北を宣言しているようなものなのだ。
実は、そこにこそ、すべての敗因がある。
自分は仕事も地域活動もやりきるのだと決め、時間を見つけ、とこまく真剣に願うことだ。
そして、生命力と知恵をわかせ、工夫していくことだ。
不思議なもので、仕事と地域活動を見事に両立させている人ほど実は多忙なのだ。
そのなかで、必死になって活動している姿が、みんなの心を打ち、周囲の人たちの本気になって頑張ってくれるのだ。
仕事と地域活動(例えばボランティア活動)の両立といっても、ケース・バイ・ケースで考えなければならない。
また、短い単位でとらえるのではなく、長い目で見ていく必要もある。
仕事も頑張れ、地域活動も頑張れというが、矛盾しているのではないか、思う人もいるだろう。
もし、それを矛盾というなら、すべてが矛盾になってしまう。
現実生活のなかで要請されていることも、考えてみれば、相反していることばかりだ。
仕事で何かを生産する場合も、よい製品を作れと言われる。
それには、より多くの時間がかかるのに、早く作れと求められる。
何事にも両面があり、一方に偏らないからこそ、人間的なのだ。
つまり、人間が生きるというのは、相反する課題を抱え、緊張のなかで、バランスを取りながら、自分の人間力を高め、前へ前へと、進んでいくということなのだ。
仕事なら仕事だけ一本に絞ればすっきすると思うかもしれないが、何かを投げ出そうとするのは誤りだ。
しかし、苦労して、何かをやり遂げていくところに、本当の生活の充実がある。
人間としての鍛えもある。
苦労することは損だと思っていても、長い目で見れば得なのだ。
それが、全部、人生の財産にはるはずだ。