登下校路での子どもの見守り活動

2018年05月27日 06時03分09秒 | 社会・文化・政治・経済
殺人や強制わいせつ、連れ去りはどうしたら、防げるのか?

子どもの健康と安全
登下校時を含めた学校における子どもの安全確保
 学校は,子どもたちの健やかな成長と自己実現を目指して学習活動を行うところであり,その基盤として安全で安心な環境が確保されている必要があります。
 しかしながら,小学校において,不審者が侵入して教職員に危害を加える事件や下校中の児童が殺害されるという事件が発生するなど,近年,学校や通学路における事件が大きな問題となっています。
 このような事件の発生を防止し,子どもを犯罪の被害から守るためには,学校や地域の実情等に応じた学校の安全管理体制の整備,施設設備の整備,教職員の一層の危機管理意識の向上とあわせて,子どもの安全を地域全体で見守る体制の整備と実践的な安全教育の充実が必要となっています。
 子どもの安全対策を推進するために,「犯罪から子供を守るための関係省庁連絡会議」において「犯罪から子どもを守るための対策」(平成17年12月)や「子どもを非行や犯罪被害から守るための対策に関する関係省庁プロジェクトチーム」において「子ども安全・安心加速化プラン」(18年6月)を取りまとめ,政府全体として子どもの安全確保に取り組んでいます。
 「犯罪から子どもを守るための対策」の中では,特に緊急な対応を要する課題として,通学路の安全点検の実施,実践的な防犯教室の開催,学校安全ボランティア(スクールガード)への参加の呼びかけなどの「緊急対策6項目」が掲げられたほか,登下校時の安全確保に関する先進的な実践事例の提供,子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムの構築,地域の路線バスを登下校時にスクールバスとして活用するための環境整備なども掲げられました。
 また,「子ども安全・安心加速化プラン」においても,「犯罪から子どもを守るための対策」に加えて,子どもの防犯ブザーの実効性の確保など,様々な施策が盛り込まれています。

(1)学校における子どもの安全確保の充実
 学校では,事件・事故の要因となる学校環境や児童生徒などが学校生活において行動する際の危険を早期に発見し,それらの危険を速やかに除去するなど,児童生徒等の安全確保のための体制を確立しておく必要があります。
 文部科学省では,大阪教育大学附属池田小学校の事件を重く受け止め,「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理に関する緊急対策例」を,平成13年7月に各都道府県教育委員会などに通知しました。あわせて,安全対策として実施する監視カメラや非常通報装置の設置などに関する経費についての地方交付税措置など必要な財政措置が講じられています。
 また,都道府県教育委員会などからの意見も参考に,平成13年8月に「幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目(例)の改訂について」を各都道府県教育委員会などに通知したほか,14年度からは,安全で安心できる学校の確立を目指し,学校安全の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施しています。
 さらに,教育委員会や学校において,不審者侵入などの事態が起きた場合の具体的な対応方法の参考となるよう,共通する留意事項をまとめた「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」を作成(14年12月)するとともに,学校における犯罪防止のための特色ある取組を紹介した「学校の安全管理に関する取組事例集」を作成(15年6月)したほか,各学校の安全対策のポイントと学校と警察の一層の連携の推進という具体的な提言をまとめた「学校安全緊急アピール」(16年1月)や「学校安全のための方策の再点検等について」(17年3月)を取りまとめ,各都道府県教育委員会等に通知しました。
 一方,ハード面の安全対策については,学校施設における防犯対策の方針や計画・設計上の留意点を「学校施設の防犯対策について」として取りまとめました(平成14年11月)。
これを踏まえて,「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定の充実を図るとともに(15年8月),その規定の解説となる手引書を配付しました(16年9月)。
さらに学校施設における特色ある防犯対策の取組を紹介した事例集を作成(18年2月)するとともに,学校施設の防犯対策に関する点検,改善の取組を促進することを目的とし,「学校施設の防犯対策に係る点検・改善マニュアル作成の取組に関する調査研究報告書」を取りまとめました(18年6月)。

(2)通学路における子どもの安全確保の充実
 学校のみならず,登下校時における子どもの安全を確保することが求められている中,地域社会全体で子どもの安全を見守る体制の整備が求められています。
 そのため,文部科学省では,各学校での児童生徒等の登下校方策を検討する際の参考となるよう,都道府県教育委員会等の協力を得て,登下校時の安全確保に関する特色ある取組を集めた「登下校時の安全確保に関する取組事例集」(平成18年1月)を作成・配付しました。
また,地域の路線バスを登下校時にスクールバスとして活用する方策について関係省庁による検討を行い,関係者間の合意形成に基づく迅速な対応を図るなど路線バス等の活用のための基本的な考え方と具体的な方策を取りまとめ,登下校時における安全確保の方策の一つとして検討を促す通知を警察庁,総務省,国土交通省と同時に,各都道府県教育委員会などのほか,各都道府県警,各都道府県総務部,各地方運輸局などに対して発出しています。
 また,文部科学省では,「子ども安心プロジェクト」の一環として,平成17年度から,学校安全ボランティアを活用し,地域ぐるみで登下校時を含めた学校における子どもの安全を見守る体制を整備するため,

(ア)学校で子どもたちの見守り活動を行う学校安全ボランティア(スクールガード)の養成・研修
(イ)防犯の専門家や警察官OBなどを地域学校安全指導員(スクールガード・リーダー)として委嘱し,各学校の警備のポイントや改善すべき点等を指導
(ウ)モデル地域における実践的な取組を推進する
という三つの内容を柱とする「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」を実施しており,18年度からは,委嘱するスクールガード・リーダーの数を倍増し,全国のすべての小学校にスクールガード・リーダーを配置できるよう充実を図っています。
 さらに,子どもの安全に関し,ITを活用し,関係者間で情報を効果的に共有できるような取組をモデル地域において推進する「子どもの安全に関する方法の効果的な共有システムに関する調査研究」を実施しています。


ミレニアム開発目標(MDGs)

2018年05月27日 05時54分46秒 | 社会・文化・政治・経済
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます
国連ミニマム開発目標

(1)極後の貧困と飢餓の撲滅

(2)初等教育の完全普及の達成

(3)ジェンダー平等推進と女性の地位向上

(4)乳幼児死亡率の削減

(5)妊産婦の健康の改善

(6)HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止

(7)環境の持続可能性確保

(8)開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

これを見るだけでわかりますね。今の日本で生まれて育つことが
どれだけ恵まれているのかを。

日本に生まれたというだけで世界の恵まれたグループ5%に入ります。
極端な貧困は少なく、また生活保護制度が整っています。
小中学校についてだけではなく高校生もほとんど100%進学します。
女性の平等問題は微妙ですが、乳幼児死亡率は世界のトップ水準の低さ。
妊産婦も同様でしょう。
エイズ、マラリアはほぼ押さえ込んでいます。環境問題も。
ミレニアム開発目標(MDGs)とは
2000年9月、ニューヨークの国連本部で開催された国連ミレニアム・サミットに参加した147の国家元首を含む189の国連加盟国代表が、21世紀の国際社会の目標として、より安全で豊かな世界づくりへの協力を約束する「国連ミレニアム宣言」を採択しました。
この宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットでの開発目標をまとめたものが「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」です。
MDGsは国際社会の支援を必要とする課題に対して2015年までに達成するという期限付きの8つの目標、21のターゲット、60の指標を掲げています。

MDGs達成に向けて
国際社会の共通目標としてミレニアム開発目標(MDGs)が設定されて以降、世界の国々と人々はその達成に向けて取り組んできました。世界的に見ると、1日1.25ドル未満で生活する人々の割合が半減し、小学校で男女の就学率がほぼ同数になり、マラリアによる死亡者数が約3分の1減少するなど、既に多くの分野で進捗がありました。一方、サハラ以南アフリカでは多くの目標で進捗が遅れています。また、都市部と農村部の格差や貧富の格差が拡大するなど、課題も多く残っています。

国連は、これまで著しい進捗を遂げた目標の成功体験を踏まえ、行動を加速化するため、国際社会に対して、保健、教育、エネルギー、衛生設備への投資拡大、女性や女子のエンパワーメント、最も脆弱な人々への焦点、援助コミットメントの継続、政府から草の根のグループまでの活動の再活性化を呼びかけています。

2013年には、国連総会議長主催のMDGs特別イベントが開催され、2015年の達成期限に向けてMDGs進捗を加速することを確認するとともに、2015年9月に首脳級サミットを開催して「ポスト2015開発アジェンダ」(2015年以降の開発目標)*を採択することが合意されました。

MDGs達成に向けたUNDPの取り組み
ミレニアム開発目標(MDGs)の達成には、各国政府だけでなく、国際機関、民間セクター、財団、教育・研究機関、非政府組織(NGOs)を含む市民社会、市民一人ひとりによる貢献が必要です。国連システムのグローバルな開発機関として、177の開発途上国・地域で活動をする国連開発計画(UNDP)は、国連事務総長の要請を受け、MDGsの「キャンペーン・マネジャー」兼「スコア・キーパー」(モニタリング)を務めています。UNDPは、MDGs達成のために、世界中でMDGsへの関心を高め、各国政府に対して専門的な知見に基づくプロジェクト支援を行い、各国における進捗状況をモニターするなど、MDGs達成に向けて多様な取り組みをしています。

新卒一括採用の成り立ち

2018年05月27日 05時43分23秒 | 社会・文化・政治・経済
新卒一括採用
新卒一括採用とは、新卒者を対象として決められた期間にのみ求人を行い、採用試験を在学中に行った上で内定を出し、卒業後にすぐ入社するといった日本独自の雇用慣行です。今回は、新卒一括採用のメリット・デメリットと、国内・海外における新たな潮流についてご説明します。
新卒一括採用とは?
新卒一括採用とは定期採用とも呼ばれており、海外では類を見ない独自性の高い日本固有の雇用戦略です。

長きに渡って多くの企業で取り入れられてきた方法だけに、企業側と新卒者それぞれに対するメリットを有しており、日本の国民性やビジネスシーンにもマッチした合理的な採用方法であるという高い評価を得てきました。

しかし、現在もなお続いているといわれる就職氷河期の影響やビジネス全体の欧米化という環境変化から、この新卒一括採用を見直す時期に入ったのではという意見も多く耳にすることとなりました。

新卒一括採用の成り立ち


新卒一括採用はどのような時代背景を経て、日本独自の雇用慣行として定着するまでになったのでしょうか。

ホワイトカラー層に限定した一括採用
新卒一括採用の起源はとても古く、明治時代に管理職や事務職などのいわゆるホワイトカラー層の採用方法として一部の企業において取り入れられていたことが始まりだといわれています。

人材不足をきっかけに在学中に採用する雇用慣行が拡大
経営力を高めることによって企業の土台を固め、安定した経理を行うことを目的として始まったホワイトカラー層の一括採用でしたが、1914年から始まった第一次世界大戦による大戦景気の影響によって深刻な人材不足が発生し、各企業が一人でも多くの高卒者を自社に採用しようと力を入れたことがきっかけとなり、在学中に入社選考と採用を行うという雇用慣行が広まりました。

その後、昭和金融恐慌や世界恐慌の影響から学生の就職難が社会問題となり、1929年に学生の定期採用については在学中に行わないものとする協定が結ばれることとなったのです。

卒業後に採用者を決めて、雇用を行う。 これが現在まで続いている新卒一括採用の原型です。 しかし、実際には多くの企業が卒業前の段階で採用する新卒者を確定させていました。 これは一体どういうことなのでしょうか。

協定締結によって採用戦争に落ち着きを取り戻すかと思われましたが、魅力的な人材にいち早く接触して自社への入社を確定させてしまいたいと考えた多くの企業によって新しい採用方法が生み出されました。

在学中に面接で採用者を決定しながらも、正式な採用は卒業後に決定するという建前を取ることによって、協定を破ることなく雇用者の確保を行う形態を取り始めたのです。 この在学生に対して行われた採用の確約は、採用内定制度として今も根強く残っています。

在学中に入社選考と採用内定を済ませておき、卒業後にすぐ正式雇用が行われる現在の新卒一括採用は、このように様々な歴史的影響を受けながら変化を遂げて完成に至っているため、日本企業にとって使い勝手の良い採用方法として慣行化されたのです。

【参考】新卒採用はいつ始まりどう変わってきたか?日本独自スタイルの歴史と背景

日本型雇用システム(日本的雇用慣行)との関連
新卒一括採用は『終身雇用』『年功序列』『企業別組合』の3つの柱で構成される日本的雇用システムとも大きな関わりを持っています。

新卒一括採用を行う企業側の思惑の1つに長期的な教育があり、それを支えるための前提条件として『終身雇用』が、そして長期的教育による成果に応えるために『年功序列』が必要とされるのです。

新卒であるということだけを唯一の応募条件として未経験者に対しても門戸を開くという新卒一括採用は、その職種や業種におけるスキルを持っていることを応募条件とする海外の企業からすると理解し難い採用方法ですが、日本人固有の時間をかけて育成するという考え方に見事にリンクした、理にかなっている採用方法だといえるのです。
今現在も多くの企業が取り入れている新卒一括採用ですが、この採用方法は企業に対してどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。

より多くの人材に一括してアプローチを行える
新卒一括採用が一般化している日本では、日本経済団体連合会(経団連)の作成する指針に従って企業へのエントリーが可能となる就活解禁日というものが設定されています。

そのため、就活生達はこの就活解禁日に合わせて企業情報の収集や応募する企業の検討を行っていくのです。

企業側からすれば同時期に多くの人材が自社への興味を示してくれるということであり、このタイミングに合わせてアプローチを行うことによって非常に効率の良い自社PRが可能となります。

その結果、採用検討対象者の母数となるエントリー数の増加にも期待ができ、多くの人材を必要としている企業や優秀な人材を探している企業において、採用目標の達成率を高める好環境が形成されているのです

人事管理の一本化
新卒一括採用では採用時期が毎年1度しか訪れないため、面接や試験の実施と採用判断にかかる手間や人事部への負担を最小限に抑えることができています。 全ての新入社員の入社時期も同じになるため、採用年度毎のグルーピングによって人事評価や待遇の変更などの管理も容易なものとなるのです。

グルーピングによる人事評価の容易化は年功序列制度の管理の容易化にも直結するため、日本的雇用システムの4本目の柱として新卒一括採用をあげる声も少なくありません。

教育コストの軽減
社会経験がほぼ皆無となる新卒者を卒業と同時に自社へ雇用するということは、経験やスキルを活かした即戦力としての活躍を期待するのではなく、時間をかけて教育を行い、自社の求める人材へ成長してもらう道を選択するということです。

教育係の選定から始まり研修の準備や実施、研修後の成長評価と、新入社員の教育コストは決して低いものではありません。

しかし、新卒一括採用により決められた入社時期にまとめて新入社員が入ってくることによって、社員研修を一括化できるだけでなく、その後の成長過程についての評価も予め定めておいた基準に照らし合わせることで容易に行うことが可能となるのです。

全国各地で採用した新入社員を一ヶ所に集めて研修を行うなど、広範囲において採用を行う企業ほどこの効果を実感することが出来るでしょう。

また、終身雇用制度と年功序列制度による長期雇用を前提として入社しているため、若手社員の短期退職率は減少し、育成した社員が自社において長期的に活躍してくれることで余計な教育コストの削減を更に削減できるのです。

同期社員間での競争力の上昇
同年度における新入社員達はいずれも同じタイミングで入社し、研修を受けて現場に送り出されるため、互いの成績や評価の差が数字として表面化してしまいます。

この表面化により、同期社員は仲間であると同時にライバルでもあるのだという意識が生まれ、互いに刺激し合い、相乗効果によって大きく成長することが出来るのです。

企業への忠誠心と個人の組織への同化
新卒者は他企業の就業規則や就業倫理に対する知識が乏しく、先入観の無い状態で入社するため社風の受け入れに大きな抵抗を感じることがなく、組織への同化がスムーズに行える傾向があります。

また、長期的雇用を前提としていることから、企業への忠誠心も育むことが出来るのです。

新卒一括採用のデメリット


新卒一括採用には多くのメリットがあることが分かりました。 では、新卒一括採用のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

応募段階で弾かれてしまう人材の存在
新卒一括採用では年度毎に決められた時期にしか入社タイミングを用意していないため、以下のような人材に対しては応募の機会すら与えられていません。

新卒一括採用の時期に海外留学中で就職活動を行えない人
新卒一括採用の時期に病気などのやむを得ない事情により就職活動を行えない人
大学の卒業時期が9月であり、4月入社などの入社条件に合わない人
どれだけ素晴らしい能力を持っていたとしても、年に一度しか設定されていないタイミングに合わせて入社出来ない人材は対象外とされてしまうのです。

景気変動により採用が変動
求人数は景気の変動に大きな影響を受けます。 好景気であれば多くの求人が世の中に溢れることとなりますが、不景気に入ると途端に求人数は減り、有効求人倍率も激減してしまいます。

このような景気の変動による恩恵と負担の全てを受けるのが、その年度に卒業する新卒生達なのです。

新卒一括採用の場合、自分が卒業する年の景気の状態によってスタートラインの難易度が大きく変動することとなり、前年度や翌年度の新卒生達との平等性に欠けてしまうことが指摘されています。

やり直しのきかない社会
新卒のタイミングでの就職に失敗してしまった若年層の求職者は、その後も定職に付くことが出来ずに就職難に陥るケースが多いことが調査の結果からも判明しています。

この問題の背景には、新卒一括採用によって入社することの出来た新卒生達が企業の教育によってスキルを高めキャリアを形成していく一方で、派遣労働やアルバイト、パートなどの非正規雇用の場ではスキルの習得やキャリアの形成がほとんど行われないため、双方の持つスキル量の差は日に日に拡大することとなり、定職確保のハードルがどんどん高くなっていってしまっているという現状があります。

学業への悪影響
採用は卒業後に行わなければならないという協定を掻い潜るために生み出された内定制度が長年問題視されてきましたが、その内定を出すことを約束する内々定という制度まで誕生したことによって、近年における就職活動は以前よりも更に早い時期から開始することが暗に求められています。

その結果、内定や内々定を獲得することに意識が集中してしまい学業が疎かとなり、中には必須単位の取得が行えなかったことによって内定が取り消しされてしまったという本末転倒の事態も起きてしまっているのです。

就職活動の早期化の原因として様々な説があげられていますが、企業側が学生の学業における成績についてはそこまで重要視しておらず、卒業時のスキルよりも学生自身の持つポテンシャルを重視して採用を行う日本古来の採用方法が大きな影響を与えているのではないかという説が有力です。

新卒ブランドを維持するための留年
新卒者という条件だけで求人に応募することができる新卒一括採用は、在学生にとってこれ以上ない大きなアドバンテージを生み出してくれます。

そのため、卒業年度の採用試験に失敗してしまった学生の中には、新卒者という肩書きを翌年度に持ち越すために留年という道を選ぶ者もいるのです。

社会人としての時間を1年失ったとしても留年するだけの価値が今の新卒採用現場にはあります。

それは新卒者と既卒者の間に努力だけでは埋めることの出来ない大きな差が生まれているということであり、在学中に就職先を決めなければその後の人生に大きなダメージを残してしまうというプレッシャーを背負いながら就職活動を行っている学生達が多いことを示すでしょう。

特定期間に選考負荷が集中
昨今は経団連加盟企業の採用開始が名目上遅くなり、ベンチャー企業など非経団連加盟企業で採用に主体的な企業は前倒す動きが強まっていますが、依然として新卒採用においては特定の期間に面接・面談などの選考活動が集中し、何より人事関係者が忙殺されます。

特に最近では採用手法の多岐化し、求人倍率も高騰し続けているため、自社に即した人材を採用するためには主体的な採用活動が求められ、更に困難を極めています。

テクノロジーの利用有無による選考負荷の乖離
こうした状況下において、テクノロジーの利用有無により更に負荷のかかり方に差が生じています。

具体的には採用管理システムなどの採用オペレーションを効率化するシステムを導入し負荷を軽減している企業と依然全てマニュアル(人力)で行う企業では、候補者を口説くことや採用手法の最適化などコア業務に投下できる時間が異なり、採用力に差が開きつつあります。

近年の「新卒一括採用」を巡る指摘
このような様々な問題に対して以前より多くの指摘や批判がなされてきましたが、新卒一括採用そのものに大きな影響を与えるまでの力とはなりませんでした。 しかし、最近になって多くの有識者や国の重要人物などがこの問題に対して追求を始めたことによって、やっと変化の兆しが見えてきたのです。

近年の新卒一括採用を巡る一連の流れを振り返ってみましょう。

就職協定の廃止
1929年に一部企業間で結ばれた新規採用についての協定は、1953年に大学、日経連、文部省、労働省を中心とする就職問題懇談会によって就職協定という正式な協定へと生まれ変わることになりました。

しかし、この就職協定には罰則規定が一切なく、紳士協定だったために多くの企業が守らず、 形式だけのものとなってしまったのです。

その結果、幾度もの内容変更や一時廃止を繰り返し、1996年ついに完全廃止が決定してしまいました。

守られない倫理憲章
廃止されてしまった就職協定に代わる新たなガイドラインとして翌年の1997年に登場したのが『新規学卒者の採用・選考に関する倫理憲章』です。 この倫理憲章は経団連が中心となって定めたものであり、今現在も使用されています。

しかし、この倫理憲章においても企業に対する強い制限を行う文面は見られず、『尊重』や『自粛』といった表現が多く使用されていたため、就職協定の頃と大きな変化が見られることはありませんでした。

そのような現状に対し、2003年の改定時に『卒業学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む』という一文を盛り込むことによって、就職活動の早期化による学業への悪影響を無くしたいという強い意思表示が行われました。

そして、この改定内容について当時の日本経団連加盟企業の約半数に当たる644社の企業が賛同の意思を表したのです。

この改変によって選考活動開始時期を遅らせ、在学時の学業集中へ繋げることが出来るのではと期待されましたが、賛同表明を行った644社という企業数は日本全国に存在する企業全体からみれば僅かなものでしかなく、国全体に影響を与えるほどの革命的な変化を起こすことは出来なかったのです。

それどころか、近年では面接ではなく面談という形式を取るリクルーター制度をはじめ、これまでとは異なった採用方法の導入によって更なる就職活動の早期化を図る企業も増えてきています。

【参考】リクルーターの意味とは?制度の全貌と、取り入れている企業について

安倍内閣による労働ビッグバンの閣議決定
就職活動の早期化によりポテンシャル採用思考が高まった結果、新卒者と既卒者の間にある大きな壁は更に厚いものとなっていきました。 同じ大卒者でありながらも新卒か既卒かという僅かな違いだけで採用機会に差が出てしまう採用事情は日本特有のものであり、世界で同じような採用方法をとっている国はほとんどありません。

本人の努力ではどうしようもない差を解消し、やり直しのきかない社会を一新することを目的として、2007年に第1次安倍内閣は労働ビッグバンを提唱しました。

労働ビッグバンでは長期のデフレなどの影響による就職難や経済的困窮状態からの再チャレンジが行えるよう、新卒一括採用システムの根本的見直しや平等な雇用機会の確保など様々な目標を掲げました。

しかし、国が率先して行った構造改革をもってしても、新卒者優先の採用事情を変えることは出来なかったのです。

この構造改革に大きく関わっていた竹中平蔵氏は著書において『既得権益を失う労働組合や、保険や年金の負担増を嫌う財界の反対で頓挫した』と当時を振り返っています。

3大臣が連名で通年採用を呼びかけ
新卒一括採用システムが進まない現状を受けて、2010年に青少年雇用機会確保指針が改正され、その文面内に「卒業後、少なくとも3年間は新卒者として応募できるように」という内容が盛り込まれることとなりました。

さらに翌年の2011年には厚生労働大臣と文部科学大臣、経済産業大臣が連名にて主要経済団体などに対して通年採用の拡大を図っていくように要請を出したのです。

3省連携による未内定就活生向け集中支援の開始
2013年度より、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省連携による未内定就活生支援策として『未内定就活生への集中支援』が開始されました。

既卒者の支援も先々での視野に入れ、まずは新卒者の大学卒業時就職率を高めようという目的から実施された政策であり、毎年多くの未内定就活生が新卒応援ハローワークの利用やジョブサポーターの支援によって就職先を決めることができています。

厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省は『未内定就活生への集中支援』の成果がしっかり出ている現状を確認した上で、次なるステップへと政策を進めることにしたのです。

新卒一括採用という制度

2018年05月27日 05時37分34秒 | 社会・文化・政治・経済
雇用機会均等法

諸外国では、新卒一括採用という制度はない。
「就職活動」日本では当たり前と思われる制度が、世界的に見ると当たり前ではない。
面接の質問で性差別は禁止

事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならず、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない(第9条1項、2項)。
また事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法上の産前産後休業を請求し、又は産前産後休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない(第9条3項)。
第9条3項は強行規定であるので、これに違反する行為は無効となる(最判平26.10.23)。なお、「厚生労働省令で定めるもの」としては、以下の通り挙げられている(施行規則第2条の2)。
妊娠したこと。
出産したこと。
第12条若しくは第13条1項の規定による措置(後掲)を求め、又はこれらの規定による措置を受けたこと。
労働基準法第64条の2第1号(坑内業務の就業制限)若しくは第64条の3第1項(妊産婦の危険有害業務の就業制限)の規定により業務に就くことができず、若しくはこれらの規定により業務に従事しなかったこと又は同法第64条の2第1号若しくは女性労働基準規則第2条2項(産婦に係る危険有害業務の就業制限の範囲)の規定による申出をし、若しくはこれらの規定により業務に従事しなかったこと。
労働基準法第65条1項(産前休業)の規定による休業を請求し、若しくは同項の規定による休業をしたこと又は同条第2項(産後休業)の規定により就業できず、若しくは同項の規定による休業をしたこと。
労働基準法第65条3項(軽易な業務への転換請求)の規定による請求をし、又は同項の規定により他の軽易な業務に転換したこと。

地域若者サポートステーション

2018年05月27日 05時17分19秒 | 医科・歯科・介護
ニーとなどの自立を後押しするため、登録を簡素化

地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。

サポステは、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などが実施しています。
「身近に相談できる機関」として、全国の方が利用しやすいよう全ての都道府県に必ず設置しています(全国173箇所)。

サポステの支援対象者
「働きたいけど、どうしたらよいのかわからない・・・」、「働きたいけど、自信が持てず一歩を踏み出せない・・・」、「働きたいけど、コミュニケーションが苦手で・・・不安」、「働きたいけど、人間関係のつまずきで退職後、ブランクが長くなってしまった・・・」など、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者の就労を支援しています。


サポステネット
「サポステって、どんなところ?」といった疑問を解決するため、サポステの情報を分かりやすくご紹介しています。

また、サポステスタッフや卒業生からの力強いメッセージ、企業の皆様や教育機関の皆様に向けた施策紹介も掲載しています。

詳しくはサポステネットへ 

お問い合わせ先
厚生労働省 人材開発統括官付若年者・キャリア形成支援担当参事官室
電話 03-5253-1111(内線:5937・5954)

輪子の競輪日記

2018年05月26日 11時01分48秒 | 未来予測研究会の掲示板
川崎の4レースは、481 692 357の並びだった。
新人の3番選手は最初から、7番手狙いで中断や前段の位置を取りに行かない。
輪子の思惑は、その時点で裏切られたも同然。
3番選手を軸に車券を買っていたので嫌な予感がした。
押さえは5-3である。
3-5の3連単で、7番はあえて外す。
3連単の1番人気で決着するのが希な競輪。
案の定、3番選手は逃げる展開となる。
逃げたら、力量が断トツでも沈むのが競輪の常。
結果は逃げた本命3番は4着に。
5-7-8の3連単は、23万余の大穴となる。
結果的に、3番に付けた先輩の5-7ラインを勝たせるための逃げ戦法だったのだ。
これが新人の犠牲的役割の一つ。
ファンの思惑、期待は、しばしば踏みにじられる。
3番選手は、多くのファンたちから<お金を賭けられている>自分の責任感を完全に無視したのものであろう。
輪子は、新人に期待し過ぎたこと、自分の<その甘さ>を自戒。

十界(じっかい) 六道輪廻

2018年05月26日 10時22分19秒 | 社会・文化・政治・経済
十界(じっかい)とは、天台宗の教義において、人間の心の全ての境地を十種に分類したもので、六道に声聞・縁覚・菩薩・仏の四を付加したものである。十界論、十方界あるいは十法界(じっぽうかい)とも言われる。天台教学の伝統を表した『仏祖統紀』巻50に出る。

地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界に分類され、これらの総称が十界である。
六道とは、主に人間の内面において繰り返される(輪廻)世界を指す。
地獄界 あらゆる恐怖に苛まれた状態。
地獄も参照。
餓鬼界 眼前の事象に固執する餓鬼の状態。
畜生界 動物的本能のままに行動する状態。
食欲、睡眠欲、性欲、物欲、支配欲など、欲望のままに行動する状態を指す。
修羅界 会話を持たず「武力」をもって解決を目指す状態。
日常的な喧嘩から国家間の戦争に至るまでの全般を指す。
人界 平常心である状態。
だが、人間的な疑心暗鬼を指すともされる。 天界 諸々の「喜び」を感じる状態。主に瞬間的な喜びを指す。
また、
人間の忌むべき部分、地獄界・餓鬼界・畜生界の三種をもって三悪趣(三悪道とも)と括られる場合がある。
三悪趣に「修羅界」を加え四悪趣(しあくしゅ)とされる場合もある。
三悪道に対し、修羅界・人間界・天上界の三種を三善道ともいわれる。
四聖(後述)を悟界というのに対し、六道を迷界ともいう。
四聖とは、天台宗において六道輪廻に付加された4つの世界を指す。
六道輪廻の教えが、インドの文化や宗教の伝統的な寓話的世界から成立し、仏教に取り入れられたのに対して、むしろ仏教的解釈の中から生まれた人間の精神状態や、仏教における覚りに関する教えといった意味合いが強い。
この四聖を悟界(ごかい)という。最初の二つは「声聞」(しょうもん)と「縁覚」(えんがく)と呼ばれる小乗の「阿羅漢」による世界、次は大乗の「菩薩」による世界、そして最後はそれらを越える存在として、仏陀や諸仏を指す「如来」の世界を表している。

声聞界 仏法を学んでいる状態。
仏法に限らず、哲学・文学・物理学、さらには大衆娯楽や子供の戯言に至るまで「学ぶ」状態を指す。 縁覚界 仏道に縁することで、自己の内面において自意識的な悟りに至った状態。仏界における「悟り」とは根本的に異なる。
菩薩界 仏の使いとして行動する状態。
自己の意思はともかく「行動」そのものを指すとされる。
仏界 悟りを開いた状態。

5月の連休をどのように過ごしたのか

2018年05月26日 10時12分59秒 | 日記・断片
昨日は、午後7時からの会合なのに、6時過ぎに中田宅へ行ってしまう。
阪神と巨人戦が行われていたので、はじめから午後7時と気付いていたら、野球もう少し見られたのだ。
「食事中だけど、上がってお茶を飲んでいて」と中田さんの奥さんに促がされる。
部屋に入ると、煮魚の臭いが漂っていた。
テーブルの正面に座る旦那さんに挨拶をしたら、「座布団に座って」と言う。
部屋の隅に座布団が5枚ほど積んであり、奥さんがその一枚を「どうぞ」と持参した。
「では、座らせていただきます」と分厚い座布団に腰を下ろした。
10分ほどで、ご夫妻の食事が終わる。
「今、仏法の勉強をしているけど、6道輪廻だね。餓鬼界、人界はまだまだ」と笑う。
「十界(じっかい)論ですね」
「奥が深いんだね」と中田さん。
その後、渡辺さんが来たので、2階の会場へ向かう。
すでに、2階には友人の内村さん奥さんのお母さんが居た。
常に穏やかな笑顔で、人の心を慰め方だ。
80歳の伴野さんは元気そのもので、娘さんのマンションに福岡県から来られて6年と言う。
会合は10分遅れで始まり、まず、みんなで歌を合唱。
富田さんが作成したカラオケビデオは、奥さんの故郷・大分の滝の風景で、伴野さんも知っていた。
ゴルフ場の支配人をしている大野さんが20分ほど遅れてきた。
しかし、ゲストの金田さんは忘れたのか来なかった。
後から来られた園さんから、取手の新開発の話を聞く。
日本一のショッピングモールのことであり、7000人の新規雇用が期待されているそうだ。
だが、取手市とその近隣、20㌔圏で集客が見込めるのか?
大手企業の研修場も誘致される予定。
なお、昨日、大手企業が利根川の5つの野球場を使い社内グループの野球が開かれたそうだ。
その人たちが居酒屋へ。
さぞ、1日のことであるが取手駅周辺は賑ったことだろう。
なお、会合では5月の連休をどのように過ごしたのかを皆さんに話してもらった。

風のメルヘン

2018年05月25日 16時48分33秒 | 創作欄
先輩の小峰広子はクリスチャンであった。
浪江は新宿・大久保の教会に誘われたが、聖書を読む気になれなかったし、牧師の説法を聞くことにもあまり興味がないので、「私はいいわ」と断った。
「信仰は必要よ。いつか浪江さんも、きっと解る時がくると思うの」広子は残念がった。
それは、太宰治の桜桃忌の前日のことであった。
5階の事務所の開けられた窓から、白い蝶が舞い込んできて、呆気なく突然亡くなった寺田勝雄が座っていた机に止まったのである。
蝶は静かな羽ばたきを繰り返した。
「浪江さん、この蝶、寺田さんじゃないかしら?」と目を見開く。
大きな彼女の瞳が一層、輝いて見えた。
「きっと、寺田さんが蝶になって戻ってきたのね」と興味深く広子は見つめる。
風が吹き込んできて、その蝶は事務内を舞う。
そして、1分余り舞うと窓の外へ姿を消した。
浪江にはこの時、風のメルヘンの歌詞が浮かんだ。

都会の風は きまぐれで
今にも別れが 来そうだけれど
花は散っては 咲くように
この次の人生も 会いましょう

「そうか、人は蝶に生れ変わることもあるのかしら?」
クリスチャンの広子の生命観を肯定したい気持ちとなった。
「わたしも、何時かは死ぬ。そして、何に生れれ変わるのかしら。このつぎの人生もあるのね」と見えない世界を知りたくなった。

悪質タックル問題 高齢の女性がら悪態

2018年05月25日 16時27分24秒 | 社会・文化・政治・経済
 日大・大塚学長が緊急会見で謝罪 宮川選手「追い込んでしまった」
5/25(金) 15:32配信

会見する日本大学・大塚吉兵衛学長=千代田区の日本大学会館(撮影・棚橋慶太)
 日本大学は25日、悪質なタックル問題を起こしたアメリカンフットボール部について、都内の日大本部で大塚吉兵衛学長が会見を開いた。
会見冒頭、司会の男性が説明をしているところで、最前列に座っていた高齢の女性が「そんなまどろっこしいことをしている場合じゃないんだ」と悪態をつきながら立ち上がり、関係者に両脇を抱えられて退場する一幕があった。

『国立療養所大島青松園』

2018年05月25日 15時34分10秒 | 医科・歯科・介護
歯  科
【ハンセン病の既往をもつ入所者の口腔管理】

 口腔細菌は、歯周病やう蝕などの歯科疾患の原因になるだけでなく、誤嚥性肺炎などの全身疾患にも影響を及ぼす。
 ハンセン病療養所の入所者は、ハンセン病特有の知覚・運動神経麻痺、手足の障害、視覚障害などの後遺症を有しており、さらに高齢化による心身の機能低下がある。そのため、入所者自身で口腔ケアを行うことが難しくなっている。従って、入所者個々の特性およびハンセン病後遺症の程度を考慮した口腔管理が必要である。
【大島青松園の歯科】

 当園の歯科診療室では、障害をもつ高齢の入所者に対応できるように多種多様な医療機器を設置し、感染対策も徹底して行っている。整備された環境において、歯科医師、看護師、歯科衛生士、歯科技工士および介護員が協力して、歯科治療および専門的な口腔ケアを入所者に提供している。
 歯科医師が行う歯科診療は入所者の口腔環境の整備が主であり、約95%の入所者が定期的に歯科診療を受けている。また、当園には歯科診療とは別に、歯科衛生士および看護師が担当する「口腔ケア外来」がある。月曜日から金曜日の午前・午後および土曜日の午前に、入所者個々に適した専門的な口腔ケアを実施しており、約70%の入所者が、口腔ケア外来を受診している。

 入所者が発熱、骨折などの全身状況のため「口腔ケア外来」を受診できない場合は、歯科衛生士・看護師が病棟や不自由者棟へ出向いて、口腔ケアを実施している。
 また、病室および不自由者棟の居室において、それぞれの受け持ち看護師あるいは介護員が口腔ケアを実施している入所者については、歯科衛生士が週一回病棟および不自由者棟を回診して、口腔ケアの実施状況を確認している。

【歯科が取り組む食支援】

 平成18年10月に発足した当園の栄養サポートチーム(NST)は、「口から十分な栄養量をおいしく食べることができるように、入所者の栄養管理を行うこと」を目的として活動している。このNSTに歯科医師、歯科衛生士および歯科技工士が参加し、多職種と連携して入所者の食支援・生活支援に取り組んでいる。

 さらに、「食べられる口づくり」のためには摂食嚥下機能の維持・向上が必要であり、摂食嚥下機能低下のある入所者に対しては、歯科スタッフが摂食嚥下機能訓練も実施している。

歯科技工士室

 当園の歯科技工士室には歯科技工士が常時勤務している。高周波真空加圧鋳造機などの新しい機器を設置し、入所者の口腔内に装着する義歯やインレー、クラウン、ブリッジなどの補綴物の製作・加工を主として行っている。
また、義歯破損などの不測の事態にも対処している。
 歯科技工士室は歯科診療室に隣接しているので、歯科医師の診察時に立ち会い、入所者の全身状況やハンセン病後遺症の程度を考慮した補綴物を製作している。
さらに、その補綴物が口腔内で実際に機能することができるように、フォローアップも常に行っている。

沿 革

 明治40年3月19日に法律第11号「ライ予防法ニ関スル件」が制定され、同年7月22日「内務省令第20号・同施行規則」が発令されたことにより、全国を5区域に分けて、それぞれに療養所を設立することになった。

第4区においては、岡山県・広島県・山口県・島根県・徳島県・香川県・愛媛県。高知県の8県連合で第4区療養所として設置された。本園の創設に際して、明治40年9月26日に設立申請を行い、明治41年1月27日に認可・決定された。そして「第4区療養所」として、明治42年4月1日に発足し、所在地・香川県知事の管理になった。患者定床は200床で、21名の職員定数が配置された。

明治43年に「大島療養所」と改称した。その後、入所者の増加に伴って増床が逐次行われ、最大時には860床となった。

昭和16年7月1日、所轄を厚生省に移管して「国立らい療養所大島青松園」と改称し、さらに昭和21年11月2日に『国立療養所大島青松園』と改称した。

昭和22年4月から、入所者に患者慰安金が支給された(昭和46年『患者給与金』に変更し、国民年金拠出制障害年金一級相当額の支給に改められた)

昭和24年から、スルフォン剤によるハンセン病の治療が予算化され、全入所者に対する治療が開始され、治療による軽快退所が始まった。

昭和27年4月、付属准看護学院が併設されて、本園の看護職員の確保対策となった。
 (昭和53年『付属准看護学校』と改称され、平成11年3月31日に閉校となる。)

 昭和28年8月、『法律第214号 らい予防法』が公布された。
 昭和29年4月から、患者家族への家族援護が開始された。
 昭和36年から、不自由者の介護要員が患者から職員へ切り替えられた。
 昭和48年から、園内の患者作業が職員による作業に返還された。

 平成8年4月1日『らい予防法』が廃止され、新患者の治療は一般医療機関において健康保険適応疾患として取り扱われるようになった。
 さらに、『らい予防法廃止に関する法律』が施行され、入所者は『患者』から『入所者』に改称され、入所者に対する療養の保証や『退所』『再入所』に関する規定が定められた。

現在(平成11年10月1日)までの入所者数     3,923 名
                     退所者数     823 名
                     園内死亡者数 1,970 名

ハンセン病医療

2018年05月25日 15時31分17秒 | 医科・歯科・介護
人間にはあらゆる困難を乗り越える力が本来、備わっている。

多くの患者たちは、差別され、忌み嫌われ、不当な苦しみを味わされてきた。
隔離され、入所者の多くは、家族や親族と関係を断たれたままで、療養所の中で人生を終えていくしかないという絶望や諦めの心で覆われていた。
国の隔離政策で、恐怖心が国民の間に広まった。
「プロミン」などんの有効な治療薬が使用され、ハンセン病は治癒可能な病となった。
「らい予防法」が試行され、福祉の増進にも力を注ぐことが定められた。
しかし、依然として隔離された状態が続けられた。
ハンセン病への偏見が根深く浸透していたのだ。

大島青松園

「精神の戦いを起こせ」

2018年05月25日 12時32分48秒 | 医科・歯科・介護
現代の風潮を打破する「精神の力」に復興を訴えた。
何ものにも侵されぬ確固たる自分、輝く<本物>としての自身をつくりあげることだ。
<精神の戦い>に勝ちゆくためには、学びに徹する以外にない。
もはや黙っている人が賢こそうに見える時代は終わった。
<対話の時代>である。
どんどん語り、対話を重ねていく時代だ。
決して引っ込み思案になってはならない。
自分自身の考えや思いを生き生きと表現し、大勢の人々に伝達していける力を培うこと。

雪を再生可能エネルギーに 媚山政良さん

2018年05月25日 11時08分01秒 | 医科・歯科・介護
火曜「学ぶ」【知の達人たち】朝日デジタル

雪や氷の活用法の研究を続ける媚山政良・名誉教授=室蘭市の室蘭工業大(機械熱工学)

「雪の科学館」に貯蔵されている雪

「雪の科学館」では、町民が預けたコメなどの農作物を雪(左奥)で低温貯蔵している=いずれも沼田町

有り余るほど降る雪を何かに使えないか――。
室蘭工業大の媚(こび)山政良名誉教授は「利雪」を1980年代半ばから提唱、同大を定年後も国内外を飛び回り、研究を続けている。

札幌市生まれ。やむことなく降り、捨てられる雪をどうにかして使えないか、と幼い頃から考えていた。
「太陽光や風力がもてはやされているが、雪だって再生可能エネルギーだ」
食べ物や農作物を保管するために氷1トンをつくろうと機械を動かすと、石油約10リットルを消費し、二酸化炭素約30キログラムを排出するという。逆に雪を利用すれば、その分の石油や二酸化炭素を減らせる。
雪を捨てるにはお金がかかる。都市部の人口が増えて道路の総延長も伸び、除排雪が必要な距離は右肩上がりだ。昨年度の札幌市の雪対策費は総額190億円で、うち除雪費は146億円だった。1人あたりの年間除雪費用は、札幌や江別市で1万円近く、石狩市では1万数千円になることもある。

「化石燃料をたくさん使って雪を運んだり溶かしたりし続ければ、いずれ立ちゆかなくなる」。雪を捨てるエネルギーを減らし、逆に冷房のエネルギー源にする方法を考えてきた。

氷をためて食物の保管に使う「氷室」は、日本書紀に記述されるなど長い歴史がある。
「昔と今の違いは、人力ではなく機械が使えること。断熱材の進化と、それを生かす設計技術の進歩だ」。道内外で、雪冷房の施設の構想作りに携わってきた。

■コメ保管に活用

その一例が、空知地方北部に位置する沼田町の取り組みだ。

町や農協は1996年、1500トンの雪を貯蔵することでコメ2750トンをもみのまま低温保管できる倉庫をつくった。
GATT(関税貿易一般協定)ウルグアイ・ラウンド交渉が94年に終わり、コメ市場の部分開放が見込まれたため、他産地と差別化を図ろうとしたのだ。

もみ倉庫の上部に滞留している暖かい空気を、雪倉庫に送り出す。空気は対流し、雪倉庫の下部にたまった冷気をもみ倉庫の下部に循環させる。
雪を使うことで庫内の温度を5度、湿度を70%に保つことができ、電気もほとんど使わないため省エネにもなる。

町ではその後、郊外の雪捨て場にためてある雪を、シイタケやイチゴの栽培施設、老人ホームの冷房、町民が作ったり買ったりしたコメや野菜などを無料で預かる倉庫に使う仕組みもつくった。
4~10月には、雪を本州や沖縄などに1トン1千円(輸送費別)で売って財源にもしている。

■NPOが啓発も
NPO法人「雪氷環境プロジェクト」(札幌市)は沼田町などの活動を紹介したり、雪で貯蔵した食品の試食会を重ねたりして雪氷保存を広めようとしている。媚山さんは研究の面から活動を支えてきた。
実践してきた小嶋英生理事長(74)は「実績を積み重ね、真夏の2020年東京五輪の会場で、北海道の雪で低温貯蔵した花々で会場を彩り、エコに貢献したい」と夢を語る。
(上地兼太郎)