月刊誌「致知」2月号「自靖自献」を読んでの学びを記す。
まず興味を持ったのが、アカオアルミ会長の赤尾由美氏 と 文芸評論家の小川榮太郞の対談である。
それは、タイトルが「働き方改革は日本を豊かにするのか」だからである。
自分は、単純に労働時間を削る働き方改革には反対である。
働く楽しさを味わえるようにする改革こそが重要だと考えている。
だからこそ、このブログのタイトルも「仕事の道楽化」としている。
(「仕事の道楽化」は、本多静六氏の言葉である。「努力すれば、職業を道楽にできる」と言っている。)
お二人の対談で、印象に残る言葉がある。
根本的な部分で「労働は悪」という意識を国民に植え付けているわけでしょう。日本人を働かせまいとする一方で、外国人労働者は無制限に受け入れてようとしている。まさに日本弱体化計画そのもの、このままいったら十年後、二十年後に日本がどうなるのか、本当に心配です。(赤尾氏)
根本的なことをいえば、働くというのは人生そのものなんですね。人生の大きな部分を占める仕事の時間を充実させてこそ、人生の質が高まるし、自分の人生を生きたという実感が生まれる。(小川氏)
キリスト教社会では、労働は人間が神様の戒めを破って罪を犯したことへの罰と捉えられているようですが、日本はそうではありません。
天皇陛下が宮中で稲刈りをされることでも分かるように、稲作は古来、神事とされていました。それは稲作だから特別そうだというのではなく、アルミの加工も笹餅づくりもすべてが神事なのですね。
労働を罰と考える社会の考え方と、本来の日本人の労働感はまるっきり反対ですよね。(赤尾氏)
八百万神にしても、火の神、竈の神、包丁の神と、すべて人間の働きを守る存在と考えられているわけですからね。日本人にとっては労働は神様事なんです。(小川氏)
以上である。
読みながら「同感です」と言いたくなるところがたくさんあった。
そもそも今の日本における働き方改革は、「労働は悪」というキリスト教社会の労働観で進められているところが不満である。
そりゃあアダムとイブは楽園を追放されて、罰として労働することになったかもしれないが、日本は違う。
日本神話に主神として登場する神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が機織りの仕事をしている。
他の国と違って、日本における仕事は神事なのである。
多くの場合、自分の仕事に打ち込み、努力を5年もやっていれば、プロと言われるレベルになれる。
さらに、5年続ければ、その仕事の面白さ、やり甲斐を味わえるようになるだろう。
今の日本における働き方改革は、その仕事の面白さを味わえない若者を量産しそうである。
だから単純に労働時間を削る働き方改革には反対である。
自分が考える究極の働き方改革は、「仕事が楽しくてたまらない」「仕事を通して自分は社会の役に立っている」と思える社会人を増やす改革である。