仕事の道楽化

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「9歳の男の子の話」・・・月刊誌「致知」2月号「自靖自献」からの学び

2021年01月22日 | 修養
 「致知」2月号のなかで、中村正和氏が「後世に継いでいきたい日本の心」とうテーマで書いた文章の中に、思わず涙してしまったエピソードがあった。

 長くなるが、引用する。



 ベトナムから日本へ帰化した警察官が語った話でした。東北大震災直後のある夜、その警察官は食料を配る手伝いのために避難所へ向かいました。
 そこにはようやく届けられた食料を受け取るために、たくさんの被災者が列をつくっていました。
 その最後尾に目をやると、九歳ほどの男の子が厳寒の中をTシャツ・短パンという軽装で佇んでいます。
 気になって声を掛けた警察官は、その子が語り出した悲惨な体験に言葉を失いました。
 地震の後、お父さんが小学校に車で迎えに来てくれた。
 けれどもその時、大きな津波が来て、お父さんを車ごと呑み込んでいくのを三階のベランダから見た。
 海の近くの自宅にいた母親や弟妹もたぶん助からないと思う……。
 その九歳の男の子は、不安を打ち消そうと涙を拭いながら、悔しさと寒さに震えながら、必死に話してくれたのです。
 不憫に思った警察官は、男の子に自分のコートを掛けてやり、用意していた食料のパックを渡しました。
 きっと喜んで食べてくれるだろうと思ったのです。
 ところが、その男の子はどうしたか?

 何と、彼はその食料。パックを紀給用の箱に置きに行ったのです。
 そして、戻ってきた男の子は、警察官にポッリと言いました。
 「僕よりお腹をすかせてる人がたくさんいるだろうから……」と。
 何ということだ!警察官は、もう涙で少年を見ることができませんでした。
 両親も弟妹も行方不明で、不安と悲しみに打ちひしがれ、空腹と寒さの中で絶望している九歳の少年が、それでもその困難に耐え、自分のことよりも他人を思いやることができる。
 このような悲惨な境遇に置かれた幼い少年でも、己を捨て、人のために生きようとする。
 日本人は何と偉大な民族なのだろう。
 その話は警察官の口からベトナムに広まり、現地の新聞でも紹介されました。
 新聞は「人情と強固な意志を象徴する男の子の話に、我々ベトナム人は涙を流さずにはいられなかった」と綴り、こう問い掛けています。
 「我が国にはこんな子がいるだろうか」
この話を知ったベトナムの人々は、男の子と日本に称賛を惜しまず、裕福とは言えない人々からも多くの義捐金が寄せられました。
 p.33




 恥ずかしながら、自分だったら、食料をバクバク食べてしまったかもしれない。

 小学校の教員をしていて、よく感じることだが、教科の勉強や体力は、教師の方が優れている。(発想する力は別です。子供の方が優れています。)

 しかし、道徳に関しては、教師よりも優れている子供はたくさんいる。

 つまり、知・徳・体のうち、「徳」は、子供の方が優れている場合もたくさんある。

 例えば、自分がつらいときでも、周りの子に優しくできる子もいる。

 逆境の中でも、大人だったらあきらめそうな場面でも、挑戦する子もいる。



 この「9歳の男の子」も、きっとそんな素晴らしい道徳心の持ち主なのだろう。
コメント
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