今日の「お気に入り」は、和漢朗詠集から。
「年々歳々花あひ似たり
歳々年々人同じからず 宋之問」
〔現代語訳〕毎年毎年花は色香もかわらず同じように咲きます。
けれども人はそうではありません。
去年いた人はもう今年はなく、毎年毎年同じだというわけにはいかないのです。
「蝸牛の角の上に何事をか争ふ
石火の光の中に此の身を寄せたり 白」
〔現代語訳〕かたつむりの角の上で戦争をするといいます。
彼らはいったい何をなんのために争うのでしょうか。
――人間の争いとはつまりはそうしたものに過ぎないのです。
石を打った時に一瞬の火花の光に身を寄せるといいます。
――人生とはつまりそうした短い時間の中に生きているのです。
「朝に紅顔あつて世路に誇れども
暮に白骨となつて郊原に朽ちぬ 義孝少将」
〔現代語訳〕朝には少年の紅顔もはなやかに、浮き世を我がものがおに誇らしげでありましても、夕には白骨となって、野外の塚に埋もれ朽ちるかもしれません。
人生はつねに無常(mortal)であることです。
(川口久雄全訳註「和漢朗詠集」講談社学術文庫 所収)
「年々歳々花あひ似たり
歳々年々人同じからず 宋之問」
〔現代語訳〕毎年毎年花は色香もかわらず同じように咲きます。
けれども人はそうではありません。
去年いた人はもう今年はなく、毎年毎年同じだというわけにはいかないのです。
「蝸牛の角の上に何事をか争ふ
石火の光の中に此の身を寄せたり 白」
〔現代語訳〕かたつむりの角の上で戦争をするといいます。
彼らはいったい何をなんのために争うのでしょうか。
――人間の争いとはつまりはそうしたものに過ぎないのです。
石を打った時に一瞬の火花の光に身を寄せるといいます。
――人生とはつまりそうした短い時間の中に生きているのです。
「朝に紅顔あつて世路に誇れども
暮に白骨となつて郊原に朽ちぬ 義孝少将」
〔現代語訳〕朝には少年の紅顔もはなやかに、浮き世を我がものがおに誇らしげでありましても、夕には白骨となって、野外の塚に埋もれ朽ちるかもしれません。
人生はつねに無常(mortal)であることです。
(川口久雄全訳註「和漢朗詠集」講談社学術文庫 所収)