今日の「お気に入り」は、中原中也(1907-1937)の詩一篇と短歌二首。
詩人は辛い
私はもう歌なぞ歌はない
誰が歌なぞ歌ふものか
みんな歌なぞ聴いてはゐない
聴いてるやうなふりだけはする
みんなたゞ冷たい心を持つてゐて
歌なぞどうだつたつてかまはないのだ
それなのに聴いてるやうなふりはする
そして盛んに拍手を送る
拍手を送るからもう一つ歌はうとすると
もう沢山といつた顔
私はもう歌なぞ歌はない
こんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない
命なき石の悲しさよければころがりまた止まるのみ
怒りたるあとの怒よ仁丹の二三十個をカリカリと噛む
(角川春樹事務所刊 「中原中也詩集」 所収)
詩人は辛い
私はもう歌なぞ歌はない
誰が歌なぞ歌ふものか
みんな歌なぞ聴いてはゐない
聴いてるやうなふりだけはする
みんなたゞ冷たい心を持つてゐて
歌なぞどうだつたつてかまはないのだ
それなのに聴いてるやうなふりはする
そして盛んに拍手を送る
拍手を送るからもう一つ歌はうとすると
もう沢山といつた顔
私はもう歌なぞ歌はない
こんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない
命なき石の悲しさよければころがりまた止まるのみ
怒りたるあとの怒よ仁丹の二三十個をカリカリと噛む
(角川春樹事務所刊 「中原中也詩集」 所収)