今日の「 お気に入り 」は 、山田太一さん ( 1934 - 2023 ) のエッセイ
「 夕暮れの時間に 」から「 小津の戦争 」と題した小文 。 ( 小津安二郎 1903 - 1963 )
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 長いこと『 東京物語 』の瑕瑾 ( かきん ) のように思っていた
台詞 ( せりふ ) がある 。周吉 ( 笠智衆 ) が紀子 ( 原節子 ) に 、
もう戦死した息子のことは忘れてくれ 、『 ええとこ 』があっ
たら 、いつでもお嫁に行っておくれというと 、紀子が『 私
ずるいんです 』という 。そんな『 いい人間じゃない 』という 。
『 いつも昌二さん ( 亡夫 ) のことばっかり考えているわけじゃ
ありません 』『 思い出さない日さえあるんです 。忘れてる日
が多いんです 』と 。それを『 ずるい 』というように自分から
三度もいうのである 。
夫の死から八年がたっている 。いつも亡夫のことばかり考えて
いないのは当然であり思い出さない日があるのも当然であり 、
それを『 ずるい 』という強い言葉でいうのは相手がそれを打ち
消すのを見越した上での偽善の言葉で 、紀子の人物像を小さく傷
つけるように感じた 。それに周吉は『 いやあ 、ずるうはない 』
『 あんたは 、ええ人じゃよ 、正直で 』と応ずる 。
しかし 、紀子は正直だろうか 。本当に自分を『 ずるい 』と思
っているだろうか 。死んで八年もたてば亡夫が遠くなるのは当然
と思いながら 、綺麗な口をきいたのではないだろうか 。紀子は
あきらかに小津作品の肯定的人物なのだから 、こんな疑わしい
やりとりはしない方がいい 、と名作のこのシーンだけは浮いて
いるような気がしてならなかった 。
それがある日 、小津の軍服の写真を見ていて 、紀子が自分を
『 ずるい 』と感じる気持を突然納得した 。
亡夫は戦死をしたのであった 。紀子は ―― そして小津は ――
ただ亡夫を忘れかけていることを『 ずるい 』といったのではな
かった 。八年前までの戦争でおびただしい数の日本人が死んだこ
とを 、半ば忘れかけている自分を ―― 小津を 、『 ずるい 』と
いったのだった 。そのようにとれば八年間は長いとはいえない 。
忘れかけていることを『 ずるい 』と思う感情もよく分る 。小津
は生き残った自分を責める気持を紀子に託したのだと 、見る見る
瑕瑾の消える思いをしたが 、どんなものだろうか 。
( 『 東京人 』2003年10月号 ) 」
引用おわり 。
( ´_ゝ`)
令和5年 師走の平日12日の午後 、NHKBS1で 、小津安二郎
監督作品「 東京物語 」を視聴しつつ 、思い出したのが 、山田太一
さんの上の文章 。
「 東京物語 」は 、1953年 ( 昭和28年 ) 公開の松竹大船のモノクロ
映画 。( 低い位置にカメラを固定し、角度をわずかに上にあげて撮る ) ロー・
ポジション ( ロー・ポジ ) で撮った茶の間の一場面を 、たまたま垣間見た若い
世代の家人が 、一発で 「 小津作品 」と言い当てた 。
物語の時代背景は 、シン・ゴジラに破壊される ずっとずっと前の 昭和
20年代後半の 日本 。ゴジラでいうと 、GODZILLA - 1.0 ( MINUS ONE )
の舞台となった時代に近い 。団塊世代が幼少期を過ごした頃の 東京 、
熱海 、大阪 、そして 蒸気機関の夜行列車で東京から15時間もかかる
のどかな 尾道 が舞台 。温泉地 熱海に 日本旅館はあるが 、ホテル や マ
ンションは 、まだ影も形もない 。
東京だと 、東京都足立区の千住火力発電所 ( 現存しない 4本の「 お化
け煙突 」 ) 、東京駅の旧駅舎 、東京駅八重洲口の発車時刻案内板が 、
列車の発車とともに 、パタパタと更新されていく さま 、・・・ など
見覚えのある 、懐かしい風景がいっぱい 出てきて 、興趣が尽きない 。
日本の家族制度の崩壊や家族形態の変化を描く本作品 、まるまる 136分
大いに楽しめた 。
笠智衆さん 、東山千栄子さん 、原節子さん 、杉村春子さん 、山村聰さん 、
三宅邦子さん 、香川京子さん 、・・・ 。 長澤まさみさん似の 香川京子さん
以外は みな故人 。 ( 笠智衆 1904 1993 、東山千栄子 1890 - 1980 、原節子 1920 - 2015 、
杉村春子 1906 - 1997 、山村聰 1910 - 2000 、三宅邦子 1916 - 1992 、香川京子 1931 - )
近いうちに 、NHKが制作協力したデジタルリマスター版が BS1で
再放送されるかも 。そしたら 、もういっぺんみて 見納めにしましょうか 。
( ´_ゝ`)
戦争の悲惨さを 、肌身にしみて感じたことがない 戦後生まれ が 、日本の
人口の8割以上を占めるという 。太平洋戦争の戦死者について 、小津安二郎
さんや 山田太一さん と 同じような感慨を抱く人も 、すっかり少なくなった
ように思う 。筆者も 、応召した者や職業軍人が近親者にいても 、家族 、親
族に 戦死者や戦争で身体に傷を負ったものはいない 。そうなると 、さきの
大戦ですら 、遠い歴史の中の出来事なのである 。
親の財産なら 、相続するも 、相続放棄もできる 「 個人 」と 違い 、資産も
負債もひっくるめて 受け継がねばならない 「 国 」がしでかしたこと 、国が
遺した「 負債 」や「 負の遺産 」に対して 責任を感じろと言われ続けて ん十
年 、理屈では承知できても 、感情的には 、なかなか首肯することは出来ない 。
いつまで謝れば気が済むのかという 、例の「 あれ 」である 。
観光目的でも China や Korea には行く気がしない というのが正直なところ 。
かつて 打倒米帝 、造反有理 とか叫んでた人が 、今 共産党・中国 や プーチン・
ロシア の専横ぶりを苦々しく思ってる 。
米国に与してきたお蔭で 、今日があるのではないのか 。
その身は 繁栄の成果を享受し 、自由で 、民主的で 、平和な社会で 、勝手気
ままに行動し 、自己主張の活動をめいっぱいする一方で 、日米安保条約には
今でも反対で 、どこかで洗脳でもされたみたいに 、憲法改正には一言一句た
りとも賛成できない 、論議することもやめろ 、安倍晋三は大嫌いだ などとい
う 。それは 、なんだか違うんじゃないかなあ 。思考停止 、自己撞着 、自己
矛盾の極み じゃないか 、と ずっと ずっと 思ってる 。
岸田自民党政権の積極的な支持者でも どこかの学会員でもないけれど 。
( ´_ゝ`)フー 。。
裏金も みんなでやると 党おわる 。
与野党で みんなたべてる 毒饅頭 。
官民で みんなたべてる 毒饅頭 。
孔子の編といわれる中国の「経書」に書かれている「 習い性となる 」 って
やつですね 。これを野放図に民間の会社でやると 、
毒饅頭 みんなでくうと ご倒産 。
ほどほどになさいまし 。
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