「ここに住んでいると便利でしょう?
ちょっと歩けば、ファミレスや回転寿司、和食屋さんもあるし・・・。
私が住んでいるところなんて、歩いても歩いても田んぼばかり。」
と私が言うと、
「いや~。そうでもないんですよ。
近所のスーパーが撤退したり、移転したりで・・・。
私たちは車の運転ができるからいいけど、
運転ができないお年寄りは、買い物に本当に困っています。」
という返事が返ってきました。
【一見、何でもそろって便利そうに見えますが・・・】
最寄りのスーパーや食料品店が閉店し、
生鮮食料品の入手が困難になる人が増えている・・・
この状態を、買い物難民、買い物弱者、
フードデザート(食の砂漠)などと表現しますが、
これは都市部の中心市街地や、過疎山村だけで起きている問題ではなく、
袋井市内の身近なところでも起きていました。
交通手段が徒歩か自転車しかないお年寄りは、
郊外の大型ショッピングモールやファーマーズマーケットには行けません。
食材の配達をしてくれるスーパーもありますが、
体が元気なお年寄りは、自分の目で食材を選びたいと願っています。
時々、ランチタイムの混雑が一段落したファミレスで
一人でお食事をとっているお年寄りの姿を目にします。
お年には似つかわしくないようなこってりしたものを召し上がる人もいれば、
ご飯とスープだけをゆっくり召し上がる人もいます。
欧米では、買い物弱者の偏食による肥満や低栄養など
健康被害も問題になっていますが、こちらも他人事ではありません。
では、どうしたらいいのか?
軽トラに野菜などの生鮮食料品を積んで移動販売?
空き地を使って定期市?
それらを行うに当たり、どんな許可をとったらいいのか、
保健所や警察署にお尋ねしたこともあります。
でも、なかなか行動に移せないのは、
「善意」という軽トラでは、食の砂漠にタイヤをめりこませて
立ち往生してしまうことが目に見えているからではないでしょうか?
善意、笑顔、美しい心映えだけでは、砂漠は越えられないのです。