ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

170416熊本巨大地震からはや1年。仮設なお47725人。寂聴仏教塾、祈る心、祈れば救われるか?

2017年04月16日 | 瀬戸内寂聴

 わが家のみどり亀、カメコが4か月ぶりに冬眠から元気に目覚めた。自然界の摂理は粛々と命をつないでゆく。しかし4か月も泥水のなかで何も食べずによく生きてゆけるものだ。

  

 ところが、人間界は簡単に蘇生はうまくいかない。未曽有の震度7の巨大地震が去年の4月14、16と夜中に勃発、阿蘇大橋がくずれおち、県民のシンボル熊本城も瓦解寸前、阿蘇神社も崩れ落ち、死者222人の大災害となった。あれから1年、人生を狂わされた人たちが復興途上で苦しんでおられる。いまだに仮設住宅住まいの人たちが47725人、子供たちの勉強場所や遊び場所がなく大変。こんな時、なんで自分たちだけがこんな目に会わなくてはいけないのか、何とかしてくれと神仏に頼みたくもなる。

 

(満開のリキュウバイ)

 瀬戸内寂聴さんは仏壇屋の娘でありながら仏さんの存在などまったく信じなかった。50歳で出家して仏教を学び、1000日回峰行などやりとげたえらいお坊さんからも学び、奇跡を体験し、今では神仏を信じられるという。ー痛快!寂聴 仏教塾 第五章祈る心 信じる心ー

 キリスト教は一神教、ゴッドのみだが仏教は過去、現在、未来に三千諸仏がおられるという。釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、観世音菩薩、弥勒菩薩、地蔵菩薩、不動明王、七福神いろいろ。そのうち一番ポピュラーなのが観音さんと地蔵さん。

 寂聴さんは岡本太郎の母の岡本かの子さんがえらく観音さんを信心していた影響で出家したあと、京都寂庵の持仏を聖観音にしたとか。菩薩というのは如来と衆生の間に位置する仏さん。観音さんは衆生をいつでも救済できるようずっと立ち姿でいる。

 さてこの観音さんのことは法華経のなかの一部の観音経にしるされている。天台宗の根本経典が法華経で、私がいつも写経に通っている武蔵寺は天台宗で写経法会が本殿であるとき参加者はみな観音経を読経する。するとその中で念彼観音力(ねんぴかんのんりき)という言葉が12回ぐらい出てきて、人間にふりかかるあらゆる苦難が観音様の名前を唱えれば危機を脱出できると説いている。当時は一般民衆を安心させるためにこんな説き方をしたのかもしれないが今ではこんなことあるはずがないと皆おもう!寂聴さんも出家当初は半信半疑。

 寂聴さんは出家するまでは飛ぶ鳥落とす勢いの小説家でカネも名声も能力も手に余るほどあったのだがなぜか小説を書くことへの情熱がうせてしまった。人生はこんなものでいつまでも同じことは続かない、いわゆる無常の世界。熊本地震の被災者の立場からいえばいつまでも不運の人生が続くわけではないと考えてみる。人生は努力や才能だけの問題ではないと瀬戸内晴美さんは悟り出家してしまった。

 天台寺の住職を頼まれた時も、出家させてくれた今東光さんが住職をしておられたことを知り、そこも持仏は観音様であったりして引き受けることになった。これもやはり観音様のお導きと考えるしかなった。なんでこんなに忙しいのに天台寺の住職をせねばならないのだという驕りがあった、謙虚さを忘れていたとおおいに反省。天台寺で青空説法をしている時、癌になってしまった奥様をかかえる失意の菓子店主に泣きつかれる。そのとき、比叡山で千日回峰行を2回もされた酒井雄哉大阿闍梨が天台寺に立ち寄ることになり、菓子店主の奥さんの寝間着をもってこさせ大阿闍梨に加持をしていただいた。1か月後奇跡がおこった。奥さんのがんが消えてしまった。一心不乱に祈れば必ず通じるのだと寂聴さんは自分に誓った

 現世を住まいとしている仏さまは釈迦如来と観世音菩薩、未来を住まいとしているのは阿弥陀如来様。理屈抜きに南無観世音、どうかお助けくださいと一心に祈る、宇宙と一体になる気持ちで祈れば必ず観音さんに声が届くというわけ。観音経には観音様が人間にふりかかる七難を救ってくれると書いてある。そのとおり解釈するのが事釈でうらみつらみ、煩悩の火の中で苦しくて仕方ない時には「南無観世音」どうか私をたすけて下さいと一心にお願いする。そうすると心の中に不思議な力が湧いてくると考えるのが理釈というわけ。

 寂聴さん曰く、一心に観音様にお祈りしていると観音様はいろんな姿に変身して助けに来てくれる、これを観音様の「三十三化身」という。するとわが妻の笑顔をみていると観音様のように思えてくる。いままで有難う、いつもおいしい料理有難う! 「南無〇〇観音様」合唱!!

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