ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

190615 明治、大正、昭和を生きた孤高の小説家、永井荷風の「断腸亭日乗」に終戦前後のあるがままを知る!!

2019年06月15日 | アフターセブンティ

戦後の日本史と共に生きてきた私の74年間、記憶のあいまいな小中学校時代までのグレーゾーン期間を、さらには大正から昭和にかけて軍人が跋扈する時代への趨勢、売春防止法が施行されていなかった戦前の風俗模様など、たまたま知った永井荷風の日記「断腸亭日乗」にみいだすきっかけを得た。

明治、大正、昭和の3時代をいきた作家、永井荷風(1879-1959年S34)が38歳から79歳の死の直前まで42年間にわたって日記を書き続け、胃腸を患っていたことから断腸亭と名付けられた。日乗とはは日記のこと。岩波版全集で3000ページに上るのを編著者が上下2冊にエッセンスをまとめた。図書館で有名な「ぼくとうきだん」も一緒に借りてきて読み始めた。

永井荷風は生涯結婚をせず、作家としての印税や親の遺産などで、悠々と女遊びをしながら個人主義を徹底して生き抜いた有り様が日記として残されている。売れっ子作家として気ままに生きながら世情への批判や社会風俗の実態やそこで働く女たちを実体験をベースに描いている。

 

明治から大正、昭和への改元時のあり様、現人神であった天皇が死去する時の病状が赤裸々に報道されていた事実など、本来ベールに包んでおくべきことが意外と明らかにされていたことなど日記に残っており興味深い。尿毒におかされてなくなったなど君主に対する国民の神に対する私的妄想を傷つけることおびただしいと記述している。

  

 大正12年の大地震、大正151225日大正天皇崩御、昭和への改元、昭和4年1929年世界大恐慌、昭和61931年満州事変、軍人の台頭、軍と新聞の癒着、報道のゆがみ、など近世近代の日本歴史とあわせ読むと面白い。政治家や軍人の馬鹿さ加減を批判しながらワインをのみ女と遊ぶ荷風。バカな政治家やよりカフェの遊び女の方が人情に厚くよほど人間としてましだと言ったり、隠れ家をつくって妾を住まわすなど戦前の富裕男の生き方が日記に縷々展開されて、まあ現在の男たちからみたらうらやましいような生きざまが展開されている。

 

 私もブログを書き始めて10数年、写真も縮小してプリントアウトすると1か月分ざっとA4用紙で30枚、年間にすると400ページ。10年で4000ページ?!今時、映像、文書データなどいやというほど存在する時代だからブログ日記の価値観などないかもしれない。まあ孫たちが残された祖父のブログをみてジージたちは令和改元の前後はこんなことをしていたんだと感じながら読む程度か!

「断腸亭日乗「」下巻ほかを借りてきて今、読んでいる。荷風日記の面白さは「あとをひく」面白さと表紙に記載。とりわけ戦中の記事が生々しい・。昭和20年3月10日の東京大空襲にはじまる5か月間の罹災記事は圧巻とかいてある。まさに私が生まれた5月25日がふくまれる生々しい戦争の実態、東京と大阪と場所は違えど亡父から聞かされていると思ってもほぼ間違いないはず。

眼をしょぼつかせながらではあるがじっくり読んでみよう。

コメント
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