ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

190712 屋根診断終了!イトトンボ撮影最終回。永井荷風「断腸亭日乗」より戦中戦後のなまなましい日本を知る!

2019年07月12日 | 趣味と交遊

6月29日の屋根塗り替えセミナーのO社のUさんとSさん来宅。屋根や外壁廻り、塗装面積算出などの目的。無料ほど怖いものはないよという妻、昨夜、ひと悶着。そんなこと言われなくても百も承知。セミナーの運営や人柄をみて判断したまで。

 庭木の空きスペースに延長式梯子スライダーを玄関側屋根に設置。丁寧な対応と作業ぶり。コミセンでA2建築図面をA3、2枚でコピーしたの4組、Sさんにわたす。屋根や外壁の塗装面積をキャドで割り出すため。コミセンでA3、1枚10円だった。

Uさんは二級建築士で外装劣化診断士の有資格者と名刺に記載してある。Sさんも診断士。顧客にあたえる信頼度は10年前に依頼した地元のT社とは相当違う。診断か所をコメントしながらビデオに撮っている。1時間あまりで作業終了。診断結果をDVDに落とし込んで29日説明してもらうことになった。

雲の晴れ間に糸トンボが2頭、裏庭に来た。9回目の撮影。最初の1~2回を上回るショットは難しいかもしれないがFZ300を引っ張り出し、撮影。

太陽光が弱い。ぐっと引き寄せてメカロボット風にねらう。しかし神の造形はすばらしい。

 永井荷風の『断腸亭日乗】上下巻をやっと読み終える。

あらためて、永井荷風という小説家は、二十代後半、アメリカ、フランスで働き、そして学んだ自由というものの真のあり難さ素晴らしさ】体感、高級官僚の家に生まれ、中学時代の病気療養時の世界文学への関心の高まりから文学的素養が開花した。そんな永井荷風の日記からみた昭和12年から、死去した昭和34年4月までの軍部の台頭、無謀な大東亜戦争、そして敗戦、戦後の飢餓状態から復興へのなまなましい状況が描かれている。

  徹底して軍部、政府を批判、国民のけなげな耐乏生活への対応、そんな中での男女のありようなど作家的視点からみつめ、戦時においても小説を書き続けた孤高の人生。

  1942年真珠湾攻撃の兵士たちを軍部が熱海、箱根に逗留させ、好き放題に女、酒を与え、新聞は何も報道しなかったという世間の噂を記述。殺し合いをして帰ってきた沖縄海兵隊の兵士が沖縄でどんなふるまいをするのか想像にかたくない。

 1944年、食料いよいよ乏しく、唯一の荷風の楽しみであったロマン館も取り壊され悲嘆にくれる。大学教授が紙きれ1枚で工場の助っ人要員、給料激減しても国民は暴動を起こさない。国家総動員法。こんな時に荷風がきっちり高額納税をし、健康診断などうけていることなどおかしい感じがする。日本は海外との交流で発展してきた。これを断ち切った日本の将来はないと落胆。

  私が大阪で昭和20年5月25日生まれた時、東京ではどうだった?荷風は3月9日10日の東京大空襲で25年住んだ彼の館、偏奇館がやけおち、通いなれた浅草界隈も焼け野原。焼夷弾で焼けつくされ、人が逃げ惑う描写はなまなましい。なんとか友人の俳優夫婦の家に同居。5月25日はさらなる米軍の大空襲でこんどはどうにもならず、しかし幸運にも大阪行きの汽車にのることができ明石へ生きのびた。よくもまあ列車が動いたものよね。

 焼夷弾で焼けつくされ逃げ惑う姿は大阪でも多分同じであったろうね。よくぞ私の母は出産ができ、その後も生き永らえたものだ。湯など沸かせたのだろうか。産婆さんも運よくいたのだろうね。母親の母乳だけで生きのびた。

 荷風はその後岡山まで移動、終戦の詔勅はラジオ嫌い故聞かず、巷の話でさとり、夜祝杯をあげたらしい。敗戦後、昨日まで鬼畜米英といっていた日本人がはやくもアメリカ人に媚を売ってる姿に荷風先生がっくり。しかれども空腹はいかんともしがたし、日本の将来に憂いあるのみ。

 天皇陛下が礼装してマッカーサーに挨拶にいったことを聞いて、軍閥は何をしているのか、義ある人間はいないのかと憤慨。早くも米兵相手の娼婦が出没、娼館もでき高値高騰。終戦直後の感慨はこんなものかもしれないが一般庶民は食い物をどうするか、雨露をどこで防ぐかで頭がいっぱいだったはず。大阪でのわが両親も同じだったのだろう。

 荷風は3年後にやっと自らの住まいを確保したようである。私の生後数年間、小学校に入学するあたりまでの状況を知りたいと思ってこの本を読んだ。ネットで調べてみると大阪市戦災復興誌というのがあるらしい。今度、筑紫野市図書館に行った時あるかどうか確かめてみよう。まあいずれにしても日本国民はまったく焼け野原の中からよくぞ復興を成し遂げたものだね。

 こんな戦争の悲惨さをしらない若い政治家が戦争で北方4島を取り返せなどと、おどろくべき発言をする。悲惨体験を北京で体験している瀬戸内寂聴さんなんかは安倍首相は憲法改正ばかり言って戦争をできる日本にしようとしていると今の日本の政治状況を危ぶんデータいる。さてさて2~30年後の孫たちの時代の世界情勢はどうなっているかね・・・・

コメント
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