そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

庄野潤三

2009年10月26日 | 字余り
10/26
最近、庄野潤三さんが死んだ(2009年9月21日)。文学史的には第三の新人と呼ばれ、わたしの好きな吉行淳之介や遠藤周作、阿川弘之、安岡章太郎などと同時代の作家である。名前は知っていたが、吉行以外の作家はあまり読んでいない。遠藤、阿川、安岡氏は読んでみたいという気はあったが読まないで過ごしてきた。しかし、庄野氏に至っては読みたいという気も起こさなかった。名前がなんか洒落ていなくて、作品もオーラがないような気がしたのがその原因か。ここにきて、ちょっと読むかなと思い『けいこちゃんのゆかた』というのを読んだ。小説だと思い読み始めるが、勝手がどうも違う。随筆というのとも違う。日記でもない。とにかく不思議な本である。いいか悪いかと問われればいいと答える。年老いた夫婦が子供を送り出した後、二人っきりで仲良く生活する日常の様が描かれている。毎日の二回の散歩、近所の人たちとの暖かい交流、鳥や鈴虫のこと、子供と孫との交流、ハーモニカ演奏などが淡々と描かれている。外国生活でのよい習慣として、貰
い物をしたらすぐお礼文を書くということを実行し、子供たちもその習慣を受け継いだとして感謝をする。この文章の中には、波風は吹かず、雨も降らないし、刺もない。
本人は脳梗塞かなにかで倒れて、リハビリの最中である。今は1日約2万歩の散歩をしているが、最初は妻に付き添ってもらいリハビリの散歩をしている。その介助の必要がなくなると杖をついて散歩をし、やがて杖もつかなくなる。今は妻に頼まれた買い物をして帰るまでになる。結構大変なリハビリの途中が省かれているのである。他にも悪いことは省かれいいことしか書かれてない。そのため、まるで夢の中にいるようでもあり、天国はさもありなんと思われるような世界である。著者とその奥さまが体現者なのだが、私が体現するであろう老後とは雲泥の差である。
何でこうなるのかが大切で、これは著者自身の人格や思想のなせる技なのであろう。派手なことを好まず、日常の細かな変化を喜び筆にとる、人の悪口を言わずいたわりつつお付き合いをする。人からものをいただいたらお礼をいい、心を込めてお返しをする。わかっているけど中々できない。そんな庄野さんはいったい何者かと考えて、ふと思い当たる。かれは上質な教育者なんだと・・・
彼の父君はかの帝塚山学院の創立者であるし、彼自身も兵隊から帰ってきて教壇に立っていたことがある。嘘は言わず、ただ前ばかり見ている、教育者だと結論するのがおさまりがいい。亡くなられて残念だし、残された奥さまの寂しさはひとしおだろうし子供や孫も辛かったろう。ご冥福を祈る。
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万葉集#4.0721

2009年10月26日 |  / 万葉集
10/26
「足引の山にし居れば風流ミサヲ無み我がせるわざを咎め給ふな
(天皇スメラミコトに献れる歌一首#4.0721)」
「この歌は聖武に贈りし歌らしい佐保にさがりし郎女のもの(大伴坂上郎女の作)」
「天皇に対して言えるこの余裕きたるところはいずこにありや()」
「この山は佐保のことらし山という山はあるのか少し疑問が()」
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芦ノ湖[実朝]

2009年10月25日 | 日めくり帖
10/25
「たまくしげ箱根のみうみけけれあれやふたくにかけてなかにたゆたふ
(相模と駿河)」
「実朝の歌の言葉は響きいて鳥瞰をしてイメージ結ぶ()」
「箱庭のような景色よ芦ノ湖は駿河と相模かけて鎮まる()」
「けけれとは東言葉で『こころ』さす迷いたゆたふ恋心詠む?()」
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万葉集#4.0714-4.0720

2009年10月25日 |  / 万葉集
10/25
「比較的恋のはじめの段階か相手は誰で成就はしたか
(大伴宿禰家持が娘子に贈れる歌七首)」
「心には思ひ渡れどよしをなみ外のみにして嘆きぞ吾アがする(歌1/7首 #4.0714)」
「心では思っているがチャンスない外濠ソトボリばかりウロウロとする()」
「千鳥鳴く佐保の川門の清き瀬を馬うち渡しいつか通はむ(歌2/7首 #4.0715)」
「千鳥なく佐保の川瀬をいつの日か馬パカパカとわれは通わん()」
「夜昼といふ別ワキ知らに吾が恋ふる心はけだし夢に見えきや(歌3/7首 #4.0716)」
「昼夜なく私が思うこのきもち思うにたぶん夢にも出んや()」
「つれもなくあるらむ人を片思カタモヒに吾アレは思へば惑メグしくもあるか
(歌4/7首 #4.0717)」
「ふりむかぬ人を片思うわがこころとっても悲しく寂しいものよ()」
「思はぬに妹が笑まひを夢に見て心の内に燃えつつぞ居る(歌5/7首 #4.0718)」
「思わぬにあなたの笑顔夢に見てウキウキとしてこころは燃える()」
「丈夫と思へる吾アレをかくばかりみつれにみつれ片思をせむ(歌6/7首 #4.0719)」
「ますらをと自覚はあるがこんなにも支離滅裂に片思いする()」
「むら肝の心砕けてかくばかり吾アが恋ふらくを知らずかあるらむ
(歌7/7首 #4.0720)」
「内臓が破裂するほど思うのにそんなことなど知らずにいるか()」
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万葉集#4.0711-4.0713

2009年10月24日 |  / 万葉集
10/24
「(丹波大女娘子タンバノオホメヲトメが歌三首)」
「鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉散りて浮かべる心吾が思モはなくに
(歌1/3首 #4.0711)」
「鴨浮かぶ池に散りたる木の葉見てついつい思う自分のこころ()」
「味酒ウマサケを三輪の祝ハフリが斎イハふ杉手触りし罪か君に逢ひ難き
(歌2/3首 #4.0712)」
「三輪山の神木の杉触れし故罪であなたに逢えないのかな()」
「垣穂なす人言聞きて我が背子が心たゆたひ逢はぬこの頃(歌3/3首 #4.0713)」
「四面楚歌人の噂に囲まれて彼氏ためらい逢わぬこの頃()」
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