1958年11月。12歳の秋。
今日は学校行事のウサギ狩りだ。今年はオレら6年生の男が網番やから準備に忙しい。この前は、近くの山に網を立てるための三つ又(みつまた)の木を採りに行ってきた。
三つ又は和紙の原料になる木で、茎の太さは親指くらいだが枝が3方に分かれているので、そこに網を引っ掛けるのがちょうどいいのだ。長さを1メートルくらいに揃えて、100本ほどをリヤカーで持ち帰った。それと、網番のオレらは、網にかかったウサギを殴るための1尺くらいの長さの棍棒も一本ずつ用意した。
当日は山歩きがしやすいように、風呂敷に包んだ弁当を背中や腰に括り付けた装束で校庭に集合した。網を積んだリヤカーを引いたオレらを先頭に山に向かった。登り口には地元のオッチャン3人が待っててくれた。
オッチャンと先生の指図で山の上手に網と三つ又を担いで登り、山の傾斜に水平の細い道に出た。ここが網張り場だ。立ち木と三つ又を支えにして、道に沿いながら長さ50メートルの網を張った。この作業は音を発てると近くにいる?ウサギに逃げられるから、静かにさっさとやらんといかんのだ。
網張りが終わると、合図とともに6年生の女子など、下級生の追い込み隊が山の下から“ホーイ ホーイ”の声を出しながら、道のない雑木林の中を網の方に向かって上って来る。オレらは網の内側に棍棒を握り締め5メートル間隔にしゃがみ込み、いまかいまかとウサギが掛かるのを待った。
1回目、2回目もダメだった。あと1回を残して、みんな山の尾根の開けたところで弁当を食った。オッチャンらは「近頃、ウサギもおらんようになったからな」といっている。去年は一匹も取れず仕舞いだった。
「さあ、最後やで。みんな頑張りや!」のオッチャンの掛け声に、みんなは次の場所に向かって腰を上げた。オレら6年生はこれが最後のウサギ狩りになる。疲れていたが、ヨシ!と気合が入った。
ホーイホーイの声が聞こえてきて間もなくやった。2人向こうのところのにウサギが掛かった。ウサギは網から逃げようと必死に暴れた。2、3人がワーツと網ごとウサギに覆いかぶさるように倒れ込んで棍棒で一撃した。少し離れたところでも「ヤッター」という声が聞こえてきた。オレは興奮して心臓がドキドキした。
オッチャンが、立ち木を切り作ってくれた担ぎ棒にウサギを逆さに吊り下げ山を下った。オレらはもちろん、先生も下級生らもみんな誇らしげだった。オッチャンも、「2匹も獲れて、上出来や!」とにこにこしていた。
次の日の給食に、給食のおばちゃんが料理してくれたウサギ汁が出た。ウサギの肉はちょっとしか入っていなかったが、スープはもちろん、具のゴボウもジャガイモもほんまにうまっかた。ちょっと気持ち悪そうにしてる女の子はおったが、オレは最高に満足やった。
今日は学校行事のウサギ狩りだ。今年はオレら6年生の男が網番やから準備に忙しい。この前は、近くの山に網を立てるための三つ又(みつまた)の木を採りに行ってきた。
三つ又は和紙の原料になる木で、茎の太さは親指くらいだが枝が3方に分かれているので、そこに網を引っ掛けるのがちょうどいいのだ。長さを1メートルくらいに揃えて、100本ほどをリヤカーで持ち帰った。それと、網番のオレらは、網にかかったウサギを殴るための1尺くらいの長さの棍棒も一本ずつ用意した。
当日は山歩きがしやすいように、風呂敷に包んだ弁当を背中や腰に括り付けた装束で校庭に集合した。網を積んだリヤカーを引いたオレらを先頭に山に向かった。登り口には地元のオッチャン3人が待っててくれた。
オッチャンと先生の指図で山の上手に網と三つ又を担いで登り、山の傾斜に水平の細い道に出た。ここが網張り場だ。立ち木と三つ又を支えにして、道に沿いながら長さ50メートルの網を張った。この作業は音を発てると近くにいる?ウサギに逃げられるから、静かにさっさとやらんといかんのだ。
網張りが終わると、合図とともに6年生の女子など、下級生の追い込み隊が山の下から“ホーイ ホーイ”の声を出しながら、道のない雑木林の中を網の方に向かって上って来る。オレらは網の内側に棍棒を握り締め5メートル間隔にしゃがみ込み、いまかいまかとウサギが掛かるのを待った。
1回目、2回目もダメだった。あと1回を残して、みんな山の尾根の開けたところで弁当を食った。オッチャンらは「近頃、ウサギもおらんようになったからな」といっている。去年は一匹も取れず仕舞いだった。
「さあ、最後やで。みんな頑張りや!」のオッチャンの掛け声に、みんなは次の場所に向かって腰を上げた。オレら6年生はこれが最後のウサギ狩りになる。疲れていたが、ヨシ!と気合が入った。
ホーイホーイの声が聞こえてきて間もなくやった。2人向こうのところのにウサギが掛かった。ウサギは網から逃げようと必死に暴れた。2、3人がワーツと網ごとウサギに覆いかぶさるように倒れ込んで棍棒で一撃した。少し離れたところでも「ヤッター」という声が聞こえてきた。オレは興奮して心臓がドキドキした。
オッチャンが、立ち木を切り作ってくれた担ぎ棒にウサギを逆さに吊り下げ山を下った。オレらはもちろん、先生も下級生らもみんな誇らしげだった。オッチャンも、「2匹も獲れて、上出来や!」とにこにこしていた。
次の日の給食に、給食のおばちゃんが料理してくれたウサギ汁が出た。ウサギの肉はちょっとしか入っていなかったが、スープはもちろん、具のゴボウもジャガイモもほんまにうまっかた。ちょっと気持ち悪そうにしてる女の子はおったが、オレは最高に満足やった。
小学校の時、学校から行ったように思います。
こんな準備をしてなかったと思いますが、山の土手を皆で追ったような気がします。
勿論取れませんでした。
でもワクワクした覚えがあります。
「地元の猟友会の人が射殺…」ということを聞くと、少し悲しくなります。
原因はいろいろ言われていますが、人と獣が共生できないような環境にしてきたは人間ですよね。