秋が深まってきました。柄でもないですが、時々シャンソンを聞いています。
好きなシャンソン歌手は黒川泰子です。
曲は「つばめ」「パリ コンシャス」「次の秋が来るまで」など。
好きなシャンソン歌手は黒川泰子です。
曲は「つばめ」「パリ コンシャス」「次の秋が来るまで」など。
1965年12月。
やっと俺も成人に。市からも成人式の案内が来たが、俺は会社で行われた成人式だけに参加した。なんで、市の式典に行かなかったかというと、高校を卒業して有名企業に就職したやつとか大学に進学したやつらと顔を合わすのが嫌だったからだ。
俺は、年末ボーナス全部を当て込んで成人式用の背広の誂えを、職場に時々来ていたテーラーのおっちゃんに頼んだ。おっちゃんがメジャーを当てながら「兄ちゃんは足も長いし、ええ体してしてるから、かっこええ背広になるで」と言ってくれた。色は紺で、生地はおっちゃんの勧めた、少しいいものを。デザインはシングルだったが、前開きの裾を丸くではなく少し角をもたせたものにし、ズボンは流行りのノータックにした。
それから一週間ほどで仮縫いが出来てきて、年末には初めて誂えの背広が出来上がってきた。終業後、試着してみた。体にぴったりして、着心地が最高や。
おっちゃんは、両肩のところをちょっと持ち上げて、いつもの調子で「かっこえーでー!」と。俺もうれしくなった。
家に帰って、早速、カッターシャツにネクタイを締めて鏡台の前に立ってみた。自分で言うのもなんやが、なかなかのもの。これで成人式も万端や。