1966年12月。年末の賞与の一部を頭金にして、月賦でステレオを買った。もちろん社内販売のNメーカーのものを。買うことを職場の先輩に話していたら、「俺のステレオを買わないか?安くするよ」と言われたが、断って新品を購入することにした。
会社から帰ると、居間に注文したステレオが置いてあった。家族には言っていなかったので、電気屋が運んで来た時はびっくりしたらしい。早速、この日、買って帰ったドーナツ盤のレコードをかけて家族に聞かせた。「この世の果てに」(The End Of The World)という曲だ。なぜこのレコードか?・・・その頃流行っていて、ラジオからよく流れていて少し英語で歌えるようになっていたから。
次の日、土曜日で休みだったので、改めてステレオを明るいところで見てみると、新品にしてはどうも薄汚く?あちこちに小さなキズがある?俺はピーンときた。多分だが、この機種は少し旧型だったので新品の在庫がなく、どこかの店にあった展示品を持ってきたのでは?と。電気屋にそのことを電話したら、「在庫がないので、同じくらいの値段の新型に代えましょうか?」と言う。図星だった。ひどい電気屋だ。
その後、軽音楽・映画音楽・ハワイアン・クラシックなど、賞与をもらうごとに二枚組のアルバムを一冊づつ買うようになった。休みの日に、レコードを聴きながら本を読むひと時が俺の癒しの時間だった。